2019大晦日特別編
スポットライトが着き、ステージ上の4人(+1匹と一個)を照らす。
『ヒーローヴァース』より、シルバースレイヤーこと氷山リク。
『X-サイボーグ-見張りを見張る者-』より、X-9thこと朱雀キョウジ。
『チャンピオン・オブ・モンスターズ』より、芹沢優助&古代怪獣ティアマト。
『幻想冒険譚アーベントイアー』より、トモノリ・ヨシザワ&意思持つ帽子のフート爺。
四大作品の主人公が勢揃いしていた。
音楽が流れだすと、4人(+1匹と1個)は景気よく歌い出した。
アニメ『異世○か○てっ○』のオープニングテーマだ。
ちなみにポジションは、
トモノリ=カ○マ
優助=ター○ャ
リク=ス○ル
キョウジ=ア○ン○
となっている。
歌も振り付けも完璧ではあったのだが・・・
「・・・」
途中でリクの動きが停止し、真顔になった。
「・・・ワリぃ、歌詞忘れた」
『えぇ~!?』
リクの爆弾発言に残り3人が目を見開いた。
「す、すいませんストップ!音楽ストップ!」
音響係に向かってトモノリが叫び、音楽が停止した。
「ちょ、ちょっとリク君!何回練習してるのさ!?いい加減ちゃんと覚えてよ!」
「・・・つってもよぉ~」
キョウジに叱られながら、リクは頭をポリポリと掻く。
反省しているようにはあまり見えなかった。
「てかさぁ~・・・練習始めて2日で、完璧になる訳ねぇじゃねぇか。てか、本番の2日前に練習開始って遅すぎだろうが」
「それはまぁ・・・そうだけど・・・」
リクから正論を突かれて、キョウジは目頭を押さえながら首を振った。
「ご、ごめんなさい・・・」
そこに、それまで黙っていた優助が口を開いた。
「・・・僕の話が投稿されるのが遅かったから」
「グルルルゥ~・・・」
優助とティアマトは申し訳なさそうに頭を下げた。
「あ、いや・・・別にお前が悪い訳じゃなくってだなぁ・・・」
「そうだよ、優助君。君の性じゃないよ。リク君が真面目に練習してくれないのが問題なんだからさぁ」
「・・・それはそれで酷くね?」
リクはジトっとした視線をキョウジに向けた。。
「まぁまぁ・・・そうケンカ腰になったり責任の擦り付け合いをしたりするのは止めて、ちゃんと練習を・・・」
そこにトモノリが間に入って、ケンカになるのを止めようとしたのだが・・・
『更新停止している(奴)(人)は黙って(ろ)(て下さい)!』
「うぐっ・・・」
痛いところを突かれて逆に黙らせられてしまったのだった。
「・・・墓穴を掘ってしまったようじゃな」
「・・・ほっといてよ、フート爺」
頭の上のフート爺にまで追い討ちをかけられて、トモノリはふてくされたのだった。
何故にこの4人がステージ上で歌と踊りの練習をしているのか?
実は大晦日の夜、ジョニー杉本作品のキャラ全員で新年のカウントダウンパーティーを行うことになり、そのパーティーで各々が隠し芸を披露することになったのだ。
そして、主人公組はちょうど人数が4人だったので、『異世○か○てっ○』の歌唱とダンスを行うことになったという訳である。
とは言え、本番まで残り1日。
果たして上手くいくかどうか・・・。
「俺の名前は氷山リク!人呼んで、シルバースレイヤーだ!」
「X-9th、朱雀キョウジさ」
「芹沢優助です。この子はティア」
「グガアァァァ!!」
「どうも、トモノリ・ヨシザワと申します」
「Zzz・・・」
サビ前のセリフの場面でフート爺が眠りこけ・・・
「・・・」
またしてもリクが歌詞を忘れてしまい・・・
「グガアァァァ!グガアァァァ!!」
「あぁ!ティア、落ち着いて!!」
興奮のあまり暴れだしたティアマトを優助がなだめ・・・
「み、みんなしっかり!しっかりしてよ!!」
唯一真面目にやっているキョウジがそれを嗜める・・・くそみそも良い所だった。
「ハァ・・・」
休憩時間となり、キョウジは缶コーヒー片手にベンチでため息をついた。
「どうかしました?キョウジさん?」
「トモノリ君・・・」
ペットボトルの烏龍茶を持ったトモノリがキョウジに話しかけてきた。
「なんか酷い仏頂面になってますよ?大丈夫ですか?」
「あぁ・・・その・・・ハァ」
キョウジは深いため息をつくと、缶コーヒーを一口含んだ。
「どうもその・・・リク君達と上手く呼吸が合わさらないって言うか・・・なんか、ちぐはぐな感じになっちゃってるんだよね・・・まぁ、そんなに長く付き合っている訳じゃないんだけど、どうしたら上手くやれるのかなぁ・・・って思ってさ」
「ハァ・・・」
キョウジの呟きにトモノリは上手い答えが思い付かなかったが・・・
「・・・そう難しく考えることではないと思うぞ」
トモノリの頭に被さっているフート爺が口を開いた。
フート爺はトモノリの頭から離れると、キョウジの顔の高さにプカプカと浮かんだ。
「例えばじゃな・・・お前さんはX-サイボーグという仲間がおるらしいが・・・最初からその仲間達と息の合った仲だったのかの?」
「えっ?いや、そういう訳じゃ・・・むしろ初対面の時はお互いギスギスしていたというか・・・」
「なら、そういう事じゃ」
「・・・えっ?」
キョウジは目を見開いて眼前のフート爺を見た。
「・・・昨日今日出会ったばかりの者同士で、そう簡単に息ピッタリになれというのが難しいんじゃ。まずは、自分から相手に歩みよることじゃ。それでも上手くいかんなら・・・また来年から頑張ればよかろう」
それだけ伝えると、フート爺は再びトモノリの頭に戻り「Zzz・・・」と寝息をたて始めた。
「・・・簡単に言ってくれるね、君の帽子は」
「す、すいません・・・後でちゃんと言っておきます・・・」
「いや、良いよ。『ありがとう』って言っておいて」
キョウジは憑き物がとれたような爽やかな顔になっていた。
そして本番-
ステージ裏では・・・
「すぅ・・・ハァ・・・すぅ・・・ハァ」
トモノリは自分を落ち着かせるように深呼吸をし、
「いいティア?ここでこうしたら・・・」
「グルルゥ~」
優助はパートナーであるティアマトと念入りに打ち合わせを行い、
『マスター!マフラーが曲がっていますよ!』
「ヘイヘイ」
リクは首から下をシルバースレイヤーに変身させてブレイブスターと話ていた。
「・・・」
そして、戦闘服姿のキョウジは静かに目を閉じて、自分たちの出番を待っていた。
「・・・みんな」
『?』
キョウジが口を開くと、残り三人(+一匹と一個)は一斉にキョウジに向き直った。
全員の視線を感じながらキョウジは語り出した。
「・・・今日までよく頑張ってくれたね。上手くいくかどうか、正直微妙だけど・・・」
キョウジは一端言葉を区切ると、改めて三人(+一匹と一個)に向き直った。
「・・・上手くやるより、楽しみながらやろう!それが一番だ!」
「「「・・・」」」
キョウジの言葉にトモノリもリクも優助も一瞬顔を見合わせる。そして
「何、当たり前の事言ってんだよ!」
「せっかくの新年パーティーなんだから、楽しんだ者勝ちじゃないですか!」
「それにあれだけ練習したんだから、失敗する方が難しいですってば!」
すぐに満面の笑みで答えたのだった。
「みんな・・・」
リク達の言葉にキョウジの両目から涙が流れ出した。
キョウジはそれを腕で拭うと、同じく笑顔を浮かべた。
「・・・よし、じゃあ行こう!」
『オォー!!』
そして主人公組によるパフォーマンスが始まったのだった。