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序章 3

 通し枕のロトリーが空いた席に座った。木の壁としてトタンとたんたんとガーニッシュ。追い越し車線のシャンゼリゼでエアマッカチンを売るペーパーパースペクティブを彷彿とさせる。ほぐれたグリスのにおいがして、モーターの葉緑体、埋め込まれた灯篭ガラスの音が生える。モニターに映し出されたのは目的地ではなく、ただ茫漠としたラクダ、あとヘロインの様なナイスミドルだけだった。夜通し走るバスはもう掘っ建て小屋の姿をしていない。トランスして酸球をひとつふたつ穴に詰める役割を果たせば、たちどころに腰痛は治る。況やマッコイをや。ドアはみっつ。これはいかなる場合も変わらない。


 はっきり言うと、青年はエテメンアンキにとっての癌だった。押し並べて椅子、怪鳥、ヒッポの順になる。少しC調が過ぎるが、セベクも同じ様なものだったと言われているのはそのせいだ。

 道半ばで白と黒の連続するメモリーになる。錯綜と今罰のハテルマ。ゲルニカの目を欠いて、信長が河童になった様に、彼もまた、いみじくもてふてふをあしらう形となる。


 てふてふは赤い。

 てふてふは錆びている。

 てふてふの鱗は5月に良い。

 てふてふとは猩々である。

 てふてふとは黒雲母である。

 てふてふを呼ぶとゼンマイが四散する。

 てふてふ案。

 てふてふの取っ手。

 酩酊てふてふの群れと飼い少女。

 イメージとしてのてふてふ。

 次のてふてふ。

 てふてふ自体……


 仮面の下には誰しも複眼を持っている。目を覚ました青年はクローゼットの森にいた。調律された憤怒を啄む夜光虫と、一面に敷かれた新聞紙が、見えない紙袋の概念をよしとしていた。

 血統は何よりも優先されるが、プラグからのぞぞめきが信号に変わる瞬間を待ち続けているのは何も裏返しの雛だけではない。苔のむす笹のひとつひとつに、別々の温度が施されている。言葉を交わさない種族にとって唯一の夭折になる。

 多面体のウッドストックを見つけるのは容易だった。その惚けた口にプチトマトをひとつ放り込んでやった。キイキイ鳴くのは蜜入りで、青年にとっては慣れ親しんだ漆喰のソファを扱うのと何ら変わらなかった。指を増やす訓練を怠らなかったのが功を奏したのか、焚き木を産む上流階級を耕して、ようやく森に朝が来た。

 まずは犬の弟を訪ねるべきである。

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