1.爽やかな朝…?
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〈魔王の城 食堂にて〉
朝を告げる鐘が鳴り響く。
今日は、よく晴れた爽やかな朝だ。
やたらと広い食堂には、獣人や魔族、さらには魔物なども集まっている。もうすぐ朝礼の時間だ。
そこへやって来る、1人の若い男。
彼は扉を開けて入ってくると、ふわぁーっと欠伸する。
そして、よく通る声であいさつ。
「みんなー、おはよう!」
全員が、声をそろえて返す。
「おはようございます、魔王様!」
そう、彼は魔王である。
見た目は25歳くらい、でも実際は100歳を超えているらしい。髪は暗い青、目は血のような赤色をしている。
人間と違うのは、赤い角と、翼と尻尾が生えていることくらい。ほかはあまり違いがないようにも見える。
ところで、「さっきから語りかけてくるお前は何者なんだ」と思っているかもしれないが…
僕は普通の人間だ。
2年前、ある事件のせいで体の成長が18歳のまま止まってしまった。だから、ここに置いてもらっている。別に、召喚されたとかそういうことではない。残念なことといえば、身長が伸びないことくらいだ。172cmだから、そこまで困らないのだが…
前の生活と比べると、ここはだいぶ変わっている。違う種族だろうと関係ない。みんな、魔王に仕えている。そんな環境も、1年もすると慣れてしまった。不思議なものだ。
「…今日は出かけるから、絶対に誰も入れないように。頼むぞ。夕方には戻るから…」
ここで、朝礼では恒例の、魔王様からのお知らせタイム。今日はどれくらいあるだろうか。いつもは長くて30分、短くて2分くらい。貧血で倒れるヤツは、多くても月に1人。
「…に隣の国を見てくる。あと、今日の掃除当番はどこの班だ?これが終わったら来てくれ。」
……僕らの班だ。何かあるようだ。
ちなみに、1つの班に15人ほどいる。全部でいくつかは忘れた。
「今日の連絡は以上。朝食にしよう」
えーっと…。今日は少し話が短かった。
僕を含む掃除当番の班が呼ばれたが、その内容はまったく予想がつかない。
「今日は1.2班か?誰でもいいが、それぞれ1人残して戻ってくれ。」
すぐに話し合って、2班は僕が残ることになった。1班は、僕と同じくらいのときに入った獣人の女の子。銀色の髪にオオカミの耳を生やした、かわいらしい子だ。15歳くらい。名前はレイナと言っていた。
みんなが戻っていくと、魔王は口を開く。
「さっき、隣の国に行くといっただろう?2人には、一緒に来てもらう。朝食のあと、またここに来い」
衝撃的な一言。魔王と一緒に出かける…?
思わずレイナと顔を見合わせる。
「とりあえず、今はこれで終わりだ。詳しいことは後で話すから、戻ってくれ。」
「「は、はい!」」
僕とレイナは慌てて返事した。
「早く食べて準備しに行こう」
心の中でそう呟き、空いている席につく。
時間が無いから、いつもより急いで口に詰め込む。パンとサラダだけ食べてコーヒーを飲み、あとは近くの人たちにあげた。
〈魔王の城 2班の部屋〉
部屋に戻ると、誰かの気配がした。もう戻っている人がいるみたいだ。
「ただいまー……ってうわぁ!?」
突然目の前が真っ暗になる。これは…男の人の手?
どうやら目隠しされたみたいだ。
「おっかえりー!私は誰でし…」
やたら明るい声で問いかけてくる男。
「はいはい、先輩ですよねー…」
手を払い除けてスルーしながら、その犯人の顔を確認する。
ああ、やっぱり思った通りだ…。
どうでもいいかもしれないですが、登場人物の声について。細かいことは、皆さんの想像力で補ってください。
魔王様は、声低いです。語り手くんはthe普通です。レイナはかわいい系です。