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第7話-8・〜襲撃

久々です、更新率悪くてごめんなさーい(涙)藤咲は学生なんで文化祭とか文化祭とか文化祭で忙しいんですよ〜!では楽しんで下さいね♪

「どけと言っているでしょうッ!?」

 レイラは強烈な回し蹴りを軍人の顔面に入れる。

「さっさと散りなさい」

 サブリナもレイラの後方で疾風を巻き起こし、得意の魔法でサポートする。

 だが増えるのは敵の数だけで、減るのは体力と魔力のみ。

「ほんっと……至れり尽くせりな歓迎ですねぇっ! あぁ、洒落臭い!」

 飛び掛かる軍人のみぞおちにレイラは膝蹴りを入れる。軍人は口から大量の血を吐き出し、レイラのベストにかかる。がレイラはお構い無く、再び新たな軍人と組み合う。

「レイラ君、息切れしてるけど大丈夫?」

「し……仕方ないです。武器が無い分、体術メインでいかないとっ……。僕が魔法使いすぎたらフツキ姫に影響出るんでっ……」

 レイラの額からは滝のように汗が流れていた。髪は乱れ、体と同じように服も汗や血で重くなっていく。

 その時、ふと振り向いたレイラは驚愕の表情を浮かべた。

「……? レイラく――」

「危ないッ!」

 咄嗟の事だったので、レイラは組み合っていた軍人を()ぎ倒し、サブリナを押して覆い被さった。

 彼の肩から背中に走ったのは鋭い痛み。

「っ……!」

「レイラ君!! ごめんなさい、私……」

「いやぁ〜、君達余裕っすねぇ!? しかしさすが紅の豹。スピードと反射神経はたいしたもんさ。それは誉めてやる。それだけは、な」

「結構です。っ……誉められたくもありませんから」

 斬られた肩を押さえ、ゆっくりとレイラは立ち上がる。レイラの真剣な瞳と、マントの奥の瞳がぶつかり合う。

「剣士にとって背中を斬られるなんて恥だぜィ?」

(誰だ、この男?)

 身長はレイラよりも僅かに高く、黒いマントを被っている為顔を見る事は出来ないが声や喋り方からだと若そうだ。武器はといえば手には盾と大剣が握られていた。

「女性を背中から斬り付ける方が最低だと僕は思いますが」

「ははっ! まじ減らず口だな、あんた。男の喋りは嫌われんぜ?」

「は? 僕の事、勝手に分析しないでもらえますか?」

 一歩、踏み出しかかろうとしたが武器が無い今、勝ち目も無い事はレイラでもサブリナでも分かった。

(サブリナ、そっちの軍人勢の相手をお願いできますか?)

「えぇ」

(今はともかく逃げます。で武器が見つかり次第、闘います。任せましたよ、サブリナ)

「オーケー。ついでにその男も足止めするわ」

(そんな無茶な……!)

「いけるわ。任せてったら」

 サブリナは目にも止まらぬ早さで指を組み、印を作る。すると周りにいた軍人達は何かに操られるように奇妙な動きをし始めた。

「かかりなさい」

 サブリナは真っすぐと黒マントの男を指差した。

「うわっ! てめぇら何すんだっ!」

 サブリナに魅入られた軍人達はサブリナの下僕となり、奴隷に化す。サブリナの言う事に逆らうなど出来やしない。

 軍人達はサブリナに言われた通りにどんどん黒マントの上に乗り掛かる。

「レイラ君、行って! 今のうちよ!」

「直ぐに戻りますから!」 レイラは飛ぶように走り去る。そう、それは木の上を駆けていく豹の如く。

「待ちやがれっ! 逃げるなよ、紅の豹!」

「今の相手は私よ。よそ見しないでくれる?」

「俺は女には興味が無いんだよ、あァ? このクソババアが!」

 サブリナの額に一本の青筋が走る。

「クソババア!! ……馬鹿にするのも程々になさいね? 貴方達、腕を一本もいでやりなさい」

「は?」

 もはや顔は傷だらけで、白目を向いた軍人達は次々に大剣へへばりつく。そして彼の手にぞろぞろと手を添えていって大剣が持ち上がる――。

「やめっ……うわああああッ!!」

 彼らは大剣を取り上げ、彼の肩を斬り付けたのだ。「レイラ君を斬った罰、そして私を馬鹿にした罰よ」

「てめぇ、いい度胸だな……」

「火炙りの時間ね」

 その場で手を大きく広げターンを繰り返し、どんどん加速していく。サブリナの四肢には炎の塊が宿り始め、煌めく。

 手を真っ直ぐに伸ばすと炎の塊が手の中で溜ってごうごうと音を立てて燃え上がり、丸みと膨らみを増していった。

「さぁ、どうしましょうか。私的には火炙りがオススメなんだけど」

「やめろっ! 離せ、てめぇらっ!」

「サ・ヨ・ナ・ラ」

 サブリナの詞の合図で炎の塊は勢い良く飛び出す。「やめろォォォッ!」

 軍人もろとも業火に焼かれていく。炎の中から聞こえる叫び声。

「魔の煉獄で、せいぜいあがきなさい」

 軍人達の骨がゴロゴロ転がり、黒マントの男はマントを残して灰となって全て消えてしまった。





















「はっ……はっ」

 全速力で廊下を駆け抜けるレイラ。レイラが走った廊下には一本の赤い糸のような血のラインが出来ていく。レイラは重傷を負ったまま、ひたすら自分のダガーや仲間の武器を探していた。

 一体、武器をどこにやったんだ……!

 とりあえず姫の所にはクロウかジャイロか誰かいるから任せなきゃ仕方ないですね。にしてもサブリナもアリシアも気になる。ほら、ティーティも。――ティーティ?

「ああああーッ!」

 色々、事が進むのが早すぎて忘れてた! ティーティ! どこにいるんですか!?

「一応、僕の右腕なのにっ……。一応」

 レイラは目をしかめた。

 なんだ、あれは?廊下を横に遮る細い糸……。遠いから見にくいけれど黒っぽい。顔から肩のどこかにぶつかりそうな高さだ。

「う……わっ!」

 あまりに急だったのでレイラは避けると同時に床に横転し、転がった。

「危な……」

 広い廊下を遮っていたそれは細くて、光を反射しているワイヤー。危なかった。床は僕のせいで血の赤に染まってしまったし少しは痛かったけれど、転んで正解だった。

 つまり何が言いたいのかというと、もし僕がここを強行突破していたら間違いなく首が吹っ飛んでいたこと。すごい早さで走ってたし。いや、僕の早さを知っていて敢えてこんな事をしたのだろう。

「誰ですか、こんな幼稚な罠は」

「わ・た・し。こうでもしなきゃ立ち止まってもらえそうになかったし」 声に反応して、レイラは即座に後方へ下がる。

 レイラの前に立っていたのは再び黒マント。しかし小柄で細く、声も高かった。

「貴方は……あの黒マント達の仲間ですね」

「まぁ私も黒マントだけどね。そうよ、さっきの口の悪い男も青薔薇城で会った蔓の手の黒マントも。みーんな私の仲間」

 そう言うと彼女は握った拳をすっと前に差し出し、手を開けた。

「ティーティ!!」

 彼女の手の平の上でぐったりしたティーティは人形のように手足に力は入っていなかった。

「お前!」

「あー、ウェイウェイウェイ! 今は攻撃しないから、ね? 紅の豹さん」

 人差し指を小さく振って駆け出そうとしたレイラに待ての指示を出す。

「ウェイト、よ。武器でしょ?」

 どこからか大きな麻袋を取り出し、紐を指でぶちりと切った。すると袋を逆さまに向けて中の物を乱雑に出した。

「こんなものくれてやるわ」

 中から出てきたのは、軍人に没収されたはずの金色のダガーや、皆お揃いの銃、パーソナルの武器、フツキの銃など沢山。

「この妖精さんはこれを貴方の元へ届けたかったみたいよ? 貴方の名を必死に呼んでいらしたわ」

「ティーティに何した? 場合によっては貴方にも手を出さざるを得ません」

 レイラが真剣な眼差しで言うと彼女はあはは、と大きな声で笑い始めた。

「失礼ねぇ。私が助けたのよ、感謝して欲しいくらいよ」

「……」

「疑うがいいわ。あと注意しといてあげる」

 速さには自信があったレイラも驚いた。先程まで3メートルは前方にいた彼女が一瞬の内に3センチ後方にいるのだから。

「あなたの元隊長さん。気を付けなさいね、どうぞ」

 彼女はレイラの背中にすっと手を当てる。

 傷口はみるみる閉じて、血は乾き失せ、服も元通りになった。

「大事にしてね、貴方が本当に大切なモノ。じゃないといつ誰が奪いにくるか分からないわよ?」

 レイラの肩にティーティを乗せると、彼女はヒールを音立て飛躍した。

「次に会う時は……きっと真剣勝負だからね。さ、仲間が来たわよ」

「レイラ君!」

「レイラ! 出るよ、今すぐここを。急ごう、馬車は用意してある」

 いつの間にかサブリナはフツキを抱いたクロウを先頭にジャイロ、アリシアと合流していた。

「はい! 武器を取って下さい」

 全員が出口に向かって走りだした。

「全員、揃いましたね。これで青薔薇姫を……フツキを護れる」

「だね」

「クロウ」

「何?」

 レイラは少し黙ってから、クロウの漆黒の瞳を見つめて言った。

「ありがとう」

 レイラとクロウはお互い頬笑みを交わす。










 彼らが駆け出した行方は輝く未来か否か。それは誰も知らない、きっと。


愛憎劇はまだ始まったばかりで、彼らの旅はまだまだ続くのだから。

第7話(半無理矢理)終了です。やっと全員揃いましたね〜、うん。長かったです。第8話から色んな謎を出して、明かしていくつもりです←再びあくまで予定

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