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第4話-8・〜脱 走 ヒ ゲ キ


「はぁっ…はっ……」


走り続けるレイラ。それはひたすら孤独な少女の為に。このままでは彼女が死んでしまう。多分、彼女は自分だけ先に逃げるなんてしないから…僕を待ち続けるはずだから………。まさか……ね。



―フツキ











☆++++++++++++++++++++☆

何の…音?

今、すごい音がしたような気がしたんだけど………


「きゃあ!?」


部屋が揺れている?何が起きているの?地震…じゃないよね………


「レイラ―――」

怖いよ…私を一人にさせないんだよね?じゃあ早く来てよ………やだ、一人はキライなの。銃を強く握る。

その時だった。


フツキの部屋の扉や壁が一気に崩れ落ちた。


ウソでしょう?一体、レイラ達はどうしてるの?てか人ん家ぶっ壊すくらいの事すんなよ!!!本気で器物損害で訴えられるよ!


ぱらっと壁から欠片が落ちる。左右の壁が崩れる。


「きゃああ!!!―げほっ!ごほっ!」


前が見えなくなるくらいの砂埃でフツキはむせ返る。目にも入り、涙が止まらない。


どうしよう…埃と瓦礫で何も見えないし、……息苦しい。涙が溢れる。レイラっ…早く来て、苦しいの…。

ベッドの上にも瓦礫が落ち跳ねている。



だめ……このままじゃ。

彼の元に行かなきゃ!


フツキは銃を持って立ち上がった。


「あ。」

ついでにあの黒薔薇もね。ちょっとは心の支えになってくれるもの。私は不自由な左腕を抱えたまま左手に黒薔薇、右手に銃を握って瓦礫を越えていった……




「きゃあぁッ!!!」

どんどん崩れていく家。黒いネグリジェが白く薄汚れていって灰色に近くなっている。やっぱり怖い!

ど…どうしよ〜。レイラが瓦礫の下敷きとかになってなんかほら、式神みたくになってぺら〜って。てかぺら〜っていうかぐちゃっだよね?


「うっ…。」

ごめん、レイラ。想像して気持ち悪くなった。レイラが下敷きになってぐちゃってなったトコ。真っ赤になってレイラじゃないじめじめしたモノになってしまった彼。

ふと顔を横に向けると煙の中に青薔薇園の景色があるのが目に入った。


「外だ…。」

私は何かに…そう何かに引き寄せられるかのように瓦礫の山を越えて外へ飛び出していった―――。




すとんと裸足の足で芝生と花弁のカーペットに足をつける。花弁はちょっとつるつるしていて気持ち良かったけれど砂埃のせいで若干、足の裏が粉っぽくなったのが嫌だった。


「とりあえず正面玄関の方へ行かなきゃ。」

そっから馬小屋へ行って誰かいるか確かめてあの地下室の方へ向かおう。

息を吸う度に砂埃が入ってきてむせそうになる。恐らく、私の肺はかなりそれで汚染されてるはずだ。


急いで正面玄関の方に向かう。でも青薔薇園はかなり膨大な敷地のうちで膨大な範囲を占領してるから正面玄関まではまだまだだ。

早くしなきゃ…レイラが死んじゃうかもしれない…。

やだやだ、そんなの絶対に嫌だ!それにアリシアが野垂れ死んだ所なんて考えられないもの!!私は早足から駆け足に変える。


「ふぶッ!?」

何かに引っ掛かり思いっきり転んだ。手は両方真直ぐに伸ばしてて左膝を曲げたような格好で地面に張り付いた私。痛い…しおまけに恥ずかしい。


右足首に激痛が走った。

「こんな時にもう…、馬鹿。」と独り言を言ってから座り直そうと手をついて右足を曲げようとした。が…



ズキッ!



足が曲がらなくて…ていうか足首が痛くて痛くて思わず顔を歪める。


嫌な予感がしてゆっくり後ろに向いた。


嫌な予感は的中。

右足首にはどこからか青々した薔薇の蔓が巻き付いていて肉が盛り上がるくらい(とげ)が食い込んでいた。刺さっている所からはつーっと赤い生ぬるいものが幾筋も流れていた。


誰…なの?






どくん…






心臓が脈打つ。






どくんどくん……






蔓の向こう側を見るのが怖い。私は改めて自分が狙われていて、レイラ達に護られていた事を身に染みて感じた。



ずる…

「…!」

右足首に絡まった蔓が後ろに引っ張られて必死に芝を掴むけれど体がずるりと後ろへやられる。むなしく手の中に青臭い芝が残る。










青薔薇…




誰かに呼ばれて背筋がぞぞっとする。

なんて…冷たい声なの?

まるで男でも女でもない心のないような声で………。



それは黒いマントを被っていて性別ですら区別つかなかった。顔もよく見えないがただ暗黒のオーラが出ている事は間違いなかった。

「い…や…。っ!!!」

それは蔓を思い切り引き更に私を引き寄せた。


やめて――


声は恐怖に押し潰されて、ただ出るのは目尻から押し出されるように零れる涙と足首からまるで絵の具で落書きしたように彩る血。






ただ出た私の一声…




















「レイラ…たすけて。」


















はっと顔を上げた彼。

「フツキ姫!?」

確かに今、姫が助けを呼んだ。聞こえた――!


彼女の寝室は既に瓦礫の山と化していて人がいる気配も、ましてや姫がいない事は確実だった。


助けに行かなければ…!


「!」

重い魔力を再び感じる。

ティーティではない誰かの魔力。それは外から感じた。


姫が…危ない!


レイラは窓ガラスに飛び込んで外の青薔薇園へ落ちていった―――。


















私は座り込んで出来るだけそれの思惑通りにならないように努力するが効果は皆無。ただひたすら引っ張られる。


それとの距離5メートル


3メートル


1メートル




もうダメ…。それは私の首筋に手を伸ばすきっと私はもうすぐ………






ヤ ラ レ ル


ヤラレルクライナラ…


私は直ぐに死ねそうでそいつに触れられそうなトコに無理矢理、銃を押し込み脈に当てる。






ごめんなさい


ゴメンナサイ……




私は引き金を引いた。




がその瞬間に…


「姫ーーッ!!!」と叫ぶレイラを見たけれどもう遅くて私は意識を失った―――。


なんか台詞はほとんど「きゃー」しか無かった気がします(汗

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