12歳 兼業農家
短いので今日更新。
12歳になった年の春、卒業試験に合格し学校を卒業した。卒業した事で、これから俺は闇属性医師(前世で言う所の内科医)及び薬剤師として働く事が出来るようになった。
「これからどうするつもりだ?」
「色々考えたんですが、やっぱり俺は農家ですから。農業中心で暮らしていくつもりです」
先生は俺らしいと苦笑し、農家として薬草類を中心に育て、それを用いて薬を作り月1回ギルドに卸し、週1回学校付属の医院で医師として働く事を提案してきた。
「今までとあまり変わらない気がするんですけど」
「お前みたいな使い勝手のいい人間を、俺が手放すと思うか?」
「後で冴先生にちくっておきます」
「イイ性格になったな、お前」
「恐縮です」
その後交渉し、今後も学校の図書館及び設備全般を使わせて貰う事を条件に、今までは研修の一環として無給だった医師業務及び調剤業務に対し日給1万円(勤務時間は午前9時~12時まで、学生食堂のお昼つき)の雇用契約を結んだ。給料はかなり安いけど、倭の国一の蔵書を誇る図書館及び最上級の設備を好きに使えるのは実においしいから仕方ない。
なお、倭の国は通貨単位が円で、価値もほぼ同一だが物価が安い。どれだけ安いかと言うと、コンビニのおにぎりレベルが50円で買える。普段使いの薬草を中心に栽培を手がけ、副業として調薬と医師業務、時々ダンジョンに潜れば十分生活していけるし貯金だって出来る。
「お前くらいのギルドランクなら、ダンジョンで魔石取り巻くって大金持ちになってやるぜ!とでも言いそうなのに」
「46のおっさんに、そんな若さや冒険心がある訳ないでしょうが」
「中身おっさんで外見子供か、詐欺だな」
「先生は中身じじいで外見若年寄ですね」
「……ほんっとうにイイ性格になったな、お前」
「先生に鍛えられましたので」
先生を言い負かし、きっちり冴先生にちくって(説教しておくわと満面の笑みで言ってくれた)学校から出る。
凱さんにも学校を卒業した事を伝えると、ギルドの診療所でも診察してくれないかと言ってきた。
雇用条件として、
・週2回、勤務時間は午後1時から午後5時まで(3時休憩つき)
・給料は1回の勤務あたり3万円
・患者がいない時は、ギルド提供の薬草で調薬をする
・1回の勤務でギルドポイントが5ポイント貰える
(依頼を達成すると依頼の難易度によってギルドポイントが貰える。Gランクの雑用依頼(犬の散歩や荷物運びなど)のギルドポイントが1なので、結構破格だと思う)
・たまに書類作業あり
(凱さんの手伝い。あまり書類作業は得意じゃない凱さんの手伝いは今までもちょくちょくやっていたので、別に仕事として扱わなくていいと言ったら軽く泣かれた。優菜さんにいい加減にしろと怒られたらしい)
ギルドでも今まで週2回、手伝いとして1回1万で診療していたのでそのまま雇用契約を結んだ。
「こんなに給料上げて大丈夫?」
「むしろ今までが安すぎたと思うんだが」
「いやだって今まで俺学生だったし」
「いやむしろちぎれた腕をくっつけられる奴が学生だったのがおかしいだろ」
「先生は、身体の部位が8割程度揃っていて死因が病死か老衰じゃない限り、死後数日程度ならバラバラ死体でも繋ぎあわせて蘇生出来るけど」
「あんな神の奇跡レベルの規格外じゃなく普通の医師で考えてくれ、普通の医師で」
やっぱり先生は規格外だった。そりゃそうか。
医術神級・薬術神級スキル持ってるし更に光と闇の異能持ちだし時々国外にも治療で呼ばれる位だ、医者としてなら尊敬出来る。医者としてなら。
「世界一の名医って呼ばれるだけあるんだね、普段は俺が調薬失敗するとめちゃくちゃ嬉しげにいびってくるサディストで、患者の状態が酷ければ酷いほど満面の笑みを浮かべる変人だけど」
「……そんな情報は聞きたくなかった」
天才は変人を地でいってるからな、先生。
「ま、これからもよろしく、勇希」
「俺こそよろしく、凱さん」
ようやく一人前の大人になれた。
これからガンガン稼いで、親孝行が出来たらいいな。
家に帰ったら、父さんと母さん、當間家の皆さんがお祝いをしてくれた。もちろん幸も。
学校を卒業したので、今後は一応一人前の扱いとなる。
就職先も2ヶ所決まったし、農業をしつつ一也や幸とダンジョンに潜りたいと思っていると伝えると、みんな賛成してくれた。
「うちの息子をよろしくね、勇希君」
「君に任せておけば安心出来る」
「いえ、いつも助けて貰っているのは俺ですから」
「一也君、うちの勇希を頼むよ」
「何か馬鹿をしそうになったら、遠慮なくしつけてくれてかまわないわよ」
「そもそも勇希の何処をしつけりゃいいんですか何処を」
「わふぅ、わふぅ」
わきあいあいと歓談を楽しみながら食事を取り、呑むらしい5人をそっと放置し(一也が苦笑しつつ任せろと言ってくれた。むしろ一也の方が大人だよな……)幸と二人、部屋に帰る。
「幸、これからもよろしく」
「わふっ」
ふわふわもこもこの身体をぎゅっと抱きしめる。
幸を生かす為、両親に恩を返す為、そして自分自身の為に、がんばろう。




