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蛇VSウサギ


 お説教のテーマは、同性との友情の正しいはぐくみ方について。

 講師はソル君。


 っておかしいよねそれ?!

 口に出したらお説教時間が延びるだけだから言わないけどさ!

 ……まぁいい。

 私には考えなければならないことがあるのだ。

 このお説教をスルーするためにも、神妙な顔で時間を潰す必要がある。


 なんかさ、怪しまれてない?私。

 ルーナもそうだけど、ジャンもなんか勘づいているような。

 う~む。

 ルーナは繊細な気遣いに満ちた乙女心で気づいてくれたんだろうけど、ジャンは何がきっかけで気づいたのかなぁ、私の決意に。

 ……やっぱりおやつのお代わり自由はやり過ぎだっただろうか。

 

 たぶん、私が戦線離脱するんじゃないかという疑惑に、いずれたどり着くとは思う。

 そうなる前に迷いの森イベントが来ればそれでいいんだけど、それまでにつるし上げられたら色々困る。

 何が困るって、真のエンディングに至らないかもしれない可能性が怖い。

 ……あと、やっぱり土壇場で死ぬのが怖くて泣きついたりしちゃうかもしれない自分も怖い。

 ここは事前情報なしのぶっつけ本番がいいと思うのだ!

 サクッと終わらせて真のエンディングに邁進してもらうのがベストなのだ!


 ……あ!

 今、びびっと閃いたよ?

 すんばらしい弁明が閃いた。

 まさに天啓!

 私が戦線離脱するかもしれないという可能性を全面拒否しないながらも、あくまで私の不安によるため、なんの確定事項でもないという弁解が!

 この言い訳を使えば、堂々とソル君への知識の伝達が出来るはずである。

 さすが私。

 ピンチになればなるほど使える女。


「――聞いているのかい、ラビー」

 目の前にソル君の冷えた蒼い目があった。

 わりと、目と鼻の先だった。

「ひぃっ?!」

 思わず土下座で謝り倒したくなる迫力に満ちていた。

 いたいけなラビウサをそんな目で見るなんて、まさに鬼畜!

 鬼畜勇者!

「ご、ごめんでござるぅ!」

 私は躊躇なく土下座した。

 プライド?

 ないない、そんなもの。


「まったく……。それで?どういうわけで意味深な行動を取っているんだい?」

 私は顔を上げてきょとんとソル君を見上げた。

 ソル君は私の隣にとさっと座った。

 同じ方向に座っているので、横顔しか見えないが、どうやらもう怒ってはいないようだった。

 ――怒っていない?!

 粘着系勇者のソル君が、もう怒っていない?!


 思わず空を見上げた。

 晴れだった。

 雪もみぞれも氷柱(つらら)も槍も降ってきそうにはない。

「ひ、ひぃぃぃっ!」

「なんでそんな失礼な悲鳴をあげるかな?」

 冷たく刺すような視線で私を横目に見ながら笑うソル君に、ようやく私はホッとした。

 良かった。

 ソル君だった。


「え、えぇと、ラビーは弱いでござるよね?」

 早速、思いついた天啓を試す時が来た。

 内心ワクワクしながら、話を切り出した。

「あぁ……まぁ、そうだね。むしろ戦闘能力なんてないようだね」

 くっ、BF6マスターに対してなんたる暴言っ。

「さ、最近の雑魚敵は強いでござるよね?」

 頬をひくつかせながら続けた。

 ナイスファイトだ、私!


「そうだね……かつての私達なら、とうてい太刀打ちできないような敵ばかりだね」

「だからでござる!」

 力強く叫んだ。

「ソル達の戦闘中に、間違って雑魚からの攻撃を受けたら、一撃で死ぬほどラビーが弱いからでござる!

 万が一そうなったとしてもソル達の冒険が無事に終わるように、ソルにラビーの知識を伝授したいんでござるよっ!」

 なんて完璧な言い分だろうか。

 これなら、ごくナチュラルにソル君達に知識を教えられるはずである。


「――なるほどねぇ」

 ジャンの声が聞こえて、思わず振り返った。

 距離にして数歩。

 そんな場所に、ジャンが腕を組んで立っていた。

 片足に重心を置いた、ジャンらしい不真面目な立ち方だ。

「いっ、いつの間にいたでござるよっ?」

 気配ゼロだった。

 しかも、いつものへらへらした笑いがない、妙に真剣な顔をしているからちょっと嫌な感じでドキドキする。

 なんだろう……蛇VS蛙、みたいな。

「ま、確かに俺もこの前のは油断してたし?

 センセイがそう思ってもしょうがないかもしんないけど?」

 蛇が!

 蛇が近寄ってくる!

 しかもソル君は

「じゃあ私の話は終わったから」

とか言ってさっさと立ち上がって去って行った!

 わ、私も!と思うが時既に遅く……。

 

 ……エロシーフに捕獲されました~……。

「っ!離すでござるよぅっ!」

「センセイは体に教えね~と分かってくんねぇからなぁ」

 がしっと全身をホールドされて、耳元で囁かれた。

 絶妙に低くてエロい声だった。

「センセイはぜってぇに死なせねぇ。いいな?」

 セクハラだ!

 お巡りさん!

 痴漢の現行犯で、逮捕しに来てください!

 異世界まで!


 くっそ~!

 そんなこと言ったって、結局はモンスターだって分かったら容赦ないの知ってるんだからね?!

 バーサーカーでこっちに向かってきて五月雨斬りで瞬殺してくるの、知ってるんだから!

 ん?

 バーサーカーだとアビリティ使えない?

 やつは特別仕様なんだよっ!

 絶対に絶対に絆されるもんかっ!




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