表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/105

ポッド君


 愛すべきストーカーとシューロス(二つめの街)を後にして、私達はカティア(最初の街)に着いた。


「ちょっと待つでござるよ」


 私はこの時のために、ルーナが乗ってきた宇宙船……というか脱出ポッドみたいな物を枯れ葉などで隠しておいたのだ。


「え~と、確かこの辺……」


 カティアの入り口から横に大きくずれた、森の中。

 その辺の窪みにポッドはあったんだけど、一見してソレだとは分かりにくくなってしまっていた。

 私の偽装能力が高すぎる件!!


「あ~……センセイ、アレじゃね?」


 気まずそうにポリポリと頬を掻きながら示すジャンの指先を見て……私は瞠目した。

 あった!!

 え?

 さっきまでなかったよ?


「さっきからあったよ。ラビー、注意力なさ過ぎ」


 ソル君にダメ出しされてしまった。

 え、だってなかったよ!

 なんかフワフワ~って感じの靄に覆われてたよ!!


「……アンヌもそうだったな」


 ディーノさん。

 頭ポンポンは嬉しいんだけど、ちょっと抜けてるのが可愛いヒロインキャラと私を同列に並べないで欲しい。

 そんなのルーナだけで充分じゃん。


「え、えぇと、じゃあ起動するわね」


 ルーナお願い、口ごもって私から視線を外すのヤメテ。

 ルーナが翳した手に、こんもり枯れ葉で覆われた物体が反応して、一部が赤く光った。

 キュィーン、シュシュシュシュ、と僅かな作動音が耳に届く。

 やがてその物体はブルブルッと枯れ葉を払い落とすと、ピョンッと軽く飛び上がってルーナの前に下り立った。


『マスター、オハヨウゴザイマス』


 片言っぽい響きだけど、いかにもな自動音声がちょっと可愛い。

 ポッド君と命名しようと、私は密かに決意した。


「月に帰りたいの。可能ですか?」


 ルーナが凜々しくポッド君に話しかけている。

 ポッド君は、ルーナの身長の約2倍ほどの身長だ。

 直径は、大の大人が3人ぐらいで囲めそうな感じ。

 もちろん勇者達が乗り込むには小さい。

 色は、どうやら変色できるみたいで、今は枯れ葉っぽい茶色をしている。


「……可能デス」


 ポッド君はピコピコ考えた後、そう答えた。


『ろーらいとサマガ、遠隔操作デ最上位命令者ノ権限ヲ、委譲サレマシタ』

「……お兄様が……?」

『デスノデ、月ヘノ帰還ハ、可能デス』


 ルーナは少し考え込んだが、ややあって頷いた。


「……わたくしは、月から追放された身です。正直、この脱出ポッドを操作する権限がないのでどうしようかと思っていたのですが……お兄様が最上位命令者の権限を委譲してくださったようです」


 ルーナはそう、勇者達に説明し、そしてポッド君に向き直った。


「今、月では何が起こっているのですか?なぜ、ローライトお兄様がそのような指示を出されたのか、理由は分かりますか?」


 ポッド君の答えは無常だった。


『ワカリ、マセン』


 ルーナは項垂れて、ただ


「そう……」


と呟くのみだった。




 ソル君、君がこっそり


「――ローライト……」


って呟いたの、聞こえてるからね?

 さてはルーナがローライトの名前呼んで失神した件、ばっちり覚えてるんでしょ?

 だって元祖粘着系勇者だもんね!


「なぁ、ローライトって誰?」


 そんでもって君は遠慮なく質問できるんだな、このシーフ!!


「お兄様は……幼馴染み、です。小さい頃からお世話になっておりました」


 ……ほほぅ、ルーナ、婚約の件は言わないつもりなんだね?

 どうせバレるんだから、言っとけばいいのに。


「――幼馴染み」


 ソル君、笑顔で威圧、やめとこう?


「――……婚約者、でした……」


 ルーナが威圧に負けた~!!

 大人げないな、ソル君!!


「……へぇ」

「あの!ですがその、形ばかりの関係でしたので……むしろ本当の兄のような方で……」


 ルーナ。

 別にソル君とつき合ってるわけじゃないんだから、言い訳しなくていいんじゃ?


「おい、これは乗れるのか?俺たち全員が乗れる大きさではないぞ?」


 ヒグマ父がソル君の口を封じてくれた。

 うんうん、つき合ってもいないのにねちこい男は、嫌われると思うのだよ。


「あっ、それは――」


 ちょっと影のできたソル君。


「……嫉妬するのは見苦しいでござるよ」


 囁いたら襟首を掴んで宙釣りにされた。ぐえぇ……。


「ソォル。センセイに八つ当たりすんなよ」


 シーフが救出してくれた。


「女の過去には口出さないこと。モテたいなら気をつけろって」


 う~~~~む。

 言い方がチャラい。

 150点減点。


「うるさいよ。自分が狙う相手にモテてから言ったらどうなんだい?」


 な・ぜ!!

 チラッとこっちを見るかなぁ?!!


「人のことはよく分かるって言うだろ」 


 へらへら笑うジャンに、ちょっと安心してしまった。

 ……ん?

 なんで安心?

 私が首を傾げている隙に、ルーナがポッド君に命令して巨大化させていた。

 おぉぉ!

 ポッド君、すごい!

 デキる子だね!!




「ほら、圏外だろう?」

「う~ん、ソルはそういう細かいこと言わなきゃルーナにもモテんのに……」

「変態は黙れ」


 聞こえない。

 聞こえないったら聞こえない。

 うわ~、ポッド君すご~ぉい!!


 こうして私は、心を無にすることに成功したのだった。

 




読んでくださってありがとうございます!!


迫られ~る~の~が、苦手~な~の~さ~~~♪♪♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ