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ムーンピアス

お二方に評価していただきました!

ありがとうございました!!


 拗ねてない。

 仲間はずれにされたからって、拗ねてない。


 あ~、暇だな~、暇すぎて地面に落書きしてるだけだよ~。

 ゲームとは違う、リアルモルボルの凄さを絵画に残そうと、格闘しているのだ!


 ゴゴゴゴッ


 ……終わったな、戦闘。

 きっと、寂しがり屋のキマイラ様もびっくりするほど圧倒的火力で押し切ったんだろうな……。

 脳筋パーティだもんね……。

 ルーナは別として。


 ルーナは別として!!


「センセイが黄昏れてる……」


 気配もせずに現われるな、シーフ氏よ。


「ラビーちゃん、勝てたわよ」


 楽しそうだね、ルーナ。

 ……ルーナは補助役、だったんだよね……?


「……弱かったな」


 だから、サーペント様が最強だから。


「なんだいこれ。……太陽?」

「モルボル!でござる!!」


 ブハッと吹き出す音が聞こえた。

 おいジャン、目を逸らしたってお前が発生源だということは見切っている。


「……うむ。臭気が漂ってくるようだ」


 でしょ、ディーノさん!


 


 まぁ、私の絵画力についてはどうでもいいのだ。

 問題は、全状態異常耐性のムーンピアスを誰に装備させるか、ということなのだ。


「ルーナは確定だね」


 もちろん。

 でも、もう一つを誰に装備させるか。

 う~ん、やはりソル君、かなぁ?


「私には”アイテム2回”のアビリティがあるから?」

「そうでござる。万能薬を2回渡せるソルが装備する方がいいでござるかねぇ」


 ジャンにはインテリモノクルがあるし、ディーノさんは体力あるから、混乱した場合でも殴っとけば治るだろうし。


「……じゃあ、私が装備しようか」


 心なしかウキウキとしてソル君はムーンピアスを装備した。

 ……はっ?!

 ペア装備?!!


「……リア充め……」


 ルーナが、意味ありげなソル君の目線に頬を赤らめている。

 くそぅ、私のルーナになんてこと……!


「微笑ましいな」


 嫁にもらう側のディーノさんからしたら、そうでしょうとも!!




 雷の聖域を出た後は、可能な限り急いで街道沿いの宿屋に入った。

 例の、屋根に宝箱のある宿屋だ。

 そこで一泊した後は、氷の聖域まで強行軍。


 ……あのさ、けっこうルーナが平気な顔してるのが不思議なんだけど。

 ……ステータス、上げすぎた?!

 薄幸のプリンセスが、ちょっぴり脳筋気味に染まってる?!!

 いやいやそんな、まさか私のルーナがそんなこと。


「懐かしいな、あの洞穴」


 かつて脳筋クライマーが制覇した丘を見上げて、当の本人がそう呟いた。

 だからもう一回戻ってくるって言ったのに。

 ……まぁ、インテリモノクルとガーネットリングは役に立ったけどね……。


「で、どうやってこの中に入るんだよ?」

「うむ。ソルは入り口にある石版に、手を当てるでござる」


 小高い丘の真下にある、いかにもダンジョン入り口だって書いてあるような大きな石の扉に、さらに四角い石版がはめ込んである。

 その石版にソル君が手を当てると、四つの文様が現われた。

 赤い花のような模様、青白い結晶のような模様、黄色い線形の模様、藍の波模様。

 それらが組み合わさって白熱すると、音も立てずに石の扉が開いた。

 

 ……現実世界でこういう、封印が解ける瞬間を見ると無性に感動するね。

 聖なるものがここにあるって感じで。

 まぁ、いるのは封印モンスターのアーリマン様なんだけどね。

 彼は、この洞窟の大広間でフワフワ浮いて待ってらっしゃるはずだ。


 ……ジャンが宝箱開けちゃったから、レア宝箱ゲットの喜びがないのが残念だ。

 洞窟内の宝箱は、スーパーエリクサーとかのアイテムばっかりなんだよね。

 いや、嬉しいけどね?

 スーパーエリクサー。




 くねくねした洞窟を巡り、宝箱のない枝道をばっさりカットしながら私は思った。

 この洞窟にかかってる松明、誰が管理してるんだろう、と。


「な、センセイ、そろそろおやつでもいいんじゃね?」


 こんなおどろおどろしい空間でリラックスしようとするシーフがすごい。

 いやまぁここの敵は勇者達にとってはもう雑魚以外のなにものでもないんだけどね。

 ステータス上げの肥やしだからね。


 時々クリティカルのダメージ受けてムッとして、相手をボコボコにやっつけられる程度の敵ではあるけどね。

 油断してるせいもあるから、ボコボコはないんじゃないかと思うのだよ。

 いずれ同じ道を辿る身としては。


「さ、ここならいいだろう」


 なんと!

 お侍さんがさっさとピクニックの準備を完了してしまっていた!


「え~……封印モンスター倒してからにするでござるよ~」

「お前の言によれば、弱いのだろう?食後の運動にちょうどいい」


 まぁ弱いけどさぁ。


「……しょうがないでござるねぇ」


 とっておきのティラミスを出すしかあるまい。


「美味しそう!」


 喜ぶルーナの顔を見てると、嬉しさが伝染する。

 でも、それと同じくらい切なさも降り積もる。

 

『ラビーちゃんを殺せない!』


 なんて言われても困る。


『騙してたのか』


 なんて責められたら、辛い。


「センセイ、これ絶対に店売りな!」


 ジャンが、私がついた嘘を嬉々としてみんなに伝えてる。

 でもルーナは、必ず買いに行くわなんて言わない。

 性格的に言いそうだけど、決して。

 だってルーナは自分の未来を諦めてるから。

 だから未来の約束は、してくれない。


「あ~、はいはいそうでござるね~」


 平気で嘘つく私は、やっぱりちょっと不誠実だよな。

 大好きなんだけど、愛情はあるんだけど。

 でも、本当のことは言えない。


 不意に、ポンポン、とディーノさんに頭を優しく撫でられた。


「……疲れたのか。もうすぐだ」


 ……うん、月の世界が終わったら、もうすぐだね。




読んでくださってありがとうございます!!

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