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封印モンスター狩り


 ……あ、危ないところだった……。


 危うく、お父様お母様属性の二人からリンチに遭うところだった。

 だが私が、


「ラビーもう眠い……」


と目を擦りながら訴えることで、全てをうやむやにすませることに成功したのだ。


 ……いや、ディーノさんには効くといいな、とは思ってたんだよ。

 ディーノさんは私をお子ちゃま扱いしてるからね。

 成人女性だって分かってるところを思うと、敢えてポリシーをもってお子ちゃま扱いをしてるんだろう。

 お侍さんのポリシーなんかさっぱり分からないが。

 でも、まさかジャンまで


「しょ、しょうがないなぁ……抱っこして連れてってやろうか」


とか言い出すなんて思わなかったよ。

 ……なんか鼻息荒い気がした。

 ……思ってない。

 捨ててはいけない何かを犠牲にして乗り切っただなんて思っちゃダメだ!!


 落ち着け私。

 えぇと、これからの攻略ナビを考えないと!


「センセイ、本当に抱っこで連れてってやらなくていいのか?」


 シャラップ!!

 い、いや、ここは話を蒸し返される前に素直に従った方がいいんだろうか?

 ……いや、ダメだ!

 この女好きにそんな隙見せたらあっという間にああなってこうなっちゃってポイ捨てにされる未来しか見えない!!


「へ、平気でござるよ~……あ~眠いでござるな~……」


 うふふ~と笑いながら短い足をサカサカ動かしてフェードアウト。


 パタン。


 ふっ、乗り切ったぜ!!

 私ってば演技派!!

 さ、ダッシュで帰ろう。




 翌朝。


 ルーナが昨夜帰ってきたのはちょっと遅かったが、様子を見る限り肉体的な進展はなさそうだったので一安心である。

 ……深夜に大好きな女の子とベッドの上で、よく耐えたよね、ソル君。

 私は君を尊敬するよ。

 ちょっと味見するぐらいならやりかねないと思っていたけど、その誤解を今解こうではないか!


「……なんだいラビー」


 目の下に隈があるソル君が、朝食のトレーを持ちながら私を見下ろした。


「……ソル。よく頑張ったでござるね……!」


 宿の食堂に来るなりそう言って褒め称えたのに、ソル君は不愉快そうに顔を顰めた。


「……このウサギ……ジャンに差し出してやろうか……」

「忍耐力を褒め称えたのに、なんでそういう話になるでござるよ」


 まったく、これだから恋する男子は面倒である。


「ラビーちゃん、ご飯もらってきたわよ」


 ルーナが薄く隈の浮いた顔で、でもキラキラした様子でトレーを二つ両手に持って歩いてきた。


「ちょ、重いでござるよっ!」


 プリンセスがどんどん逞しくなっていく現状を、どうするべきかも今後の課題であるね。




 宿を引き払った私達は、もと来た街道を戻ることにした。


 ロランさんにはディーノさんから話がいったらしい。

 穏やかな顔でミバドゥをたつ私達を見送ってくれた。

 よれっとしたくすんだ白シャツがいかにも過ぎて、ちょっと笑いそうになったのは秘密だ。


 さて、いよいよ封印モンスター狩りである。

 私以外の。

 封印の四獣は四つの聖域の近くに潜んでいる。

 もろに聖域に隠れているやつもいれば、その途中にある街道に出没するやつもいる。


 今の勇者達はもう余裕で封印モンスターを倒せるので、カティア(最初の町)に戻る道すがら倒していこうと思う次第だ。


「ところでジャン。”良いものだけを盗む”はもう覚えたでござるか?」


 確認は重要だ。


「う~ん、まだなんだよなぁ」

「ふむ……では、この山道でひたすら”良いものを盗む”を使いまくってアビリティ進化させるしかないでござるねぇ」


 もうそろそろだと思うんだよなぁ。


 もうそろそろが、本当に直前だったことに笑った。

 モルボル16世を倒した時、ジャンが叫んだのだ。

 あ、来る時にすでにモルボルは15世まで倒していたから、帰り道で出会う最初のモルボルだったのだ。


「うぉっ、……覚えたみたいだ!」


 なんか……すんごいイイ笑顔だった。

 よっぽど嫌だったんだな、攻撃しないで盗むだけの日々が……。


「これ覚えたってことは、もう”ぶんどる”で攻撃してもいいってことだよな?!」

「いいでござるよ~。むしろ”五月雨斬り”でもいいでござるよ?もちろん、それ使うならみんながアビリティ使い終わってからにして欲しいでござるが」


 今のジャンが五月雨斬ると、ほぼ確実に雑魚的は昇天なさってしまう。

 なので使う順番には気をつけてほしいものだが。


「っっっしゃああぁぁぁぁぁっっ!」


 ……うわ~。

 すっごい嬉しそう。

 そしてそんなジャンを羨ましそうな目で見ないで、ルーナ!

 ルーナは”誘惑の歌”だけでいいんだよ!

 別にその華奢な短杖で敵を殴らなくていいから!

 お願い、早まらないで!!


 私はそっとルーナから目を逸らした。


「さ、そこのちょっと分かりにくい小道を行った先に、封印モンスターがいるでござる。ジャンは必ず、絶対に”良いものだけを盗む”で盗み、後は全力で倒すでござるよ!」

 

 ここの先にある袋小路に、ぼ~っとゲーム時間で5分ほど突っ立っていると突如現われるサーペント様。

 彼が封印モンスターの中で最強なのだ。

 ま、でもアテ嬢ほど強くないからもう大丈夫といえる。


「封印モンスターか……手応えがあるといいんだけどね」


 ソル君、アテ嬢が今のところ最強だから。

 で、このサーペント様が封印モンスター中最強だから、こいつ倒したら後はどんどん手応えなくなってくから。

 デザートプリンセスなんて、たぶん二撃で死ぬから。

 五月雨斬ったら一撃だから。


「弱い敵ばかりだと、体が鈍るからな」


 鈍る暇なんてありました?

 ディーノさん。


「倒す前に盗まなきゃな~」


 あ、それはデザートプリンセスの時にくれぐれもよろしくお願いしたいな。

 秒殺したから盗むの忘れてたなんて切なすぎる。


「頑張るね、ラビーちゃん」


 うん、ルーナは無理しないで……。

 殺気出すなんてどこで覚えてきたの……。

 ルーナ、ルーナが遠いぃぃ。


 ゲームと違って、30分ぐらい待たせた挙げ句にサーペント氏はボコボコにされてました。

 無事にムーンピアスゲット~。

 いえ~い……。




読んでくださってありがとうございます!!


もちろん、ラビーの演技なんてバレバレですよ。ダッシュの足音聞こえまくりですもん(笑)


ジ「あざと可愛さに完敗しちゃって、つい……」

デ「…………(変態)」

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