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ミバドゥ

お二方に評価していただきました!

ありがとうございました!!

 

 さて、変態はともかく翌朝、私達はミバドゥに向けて旅だった。


 ……変態からは逃げ切った。

 いや、別にどうでもいい話だが。

 本当にディーノさんがいてくれて何よりだった。


 ミバドゥは、山岳地帯を越えていった先にある、大きな湾を抱えた港町だ。

 この、ミバドゥに至る山岳地帯がなかなかのくせ者で、セト様のダンジョンでレベル上げを怠った者にはそのツケを強制的に払わせられる、けっこうイヤな敵が出てくるのだ。

 まずは……


「モルボルっ!」


 必殺技の”臭い息”が余りにも有名な、イヤンなモンスターだ。

 かつてのゲームでは、複数の状態異常に陥って壊滅したことだってあった。

 回復役のルーナが沈黙し、混乱に陥ったディーノさんが仲間に襲いかかる殺人鬼になるという、今なら怖すぎて想像もしたくないゲームオーバーを経験したものだ。


 だがしかしっ!

 私達には脳筋シーフが原作ガン無視でゲットした、インテリモノクルとガーネットリングがあるのだよ!!

 これがあればルーナの沈黙は防げるしジャンは混乱を防げるので、万が一ディーノさんご乱心の状態になっても、どっちかがどつくなり状態異常回復のリカバーをかけるなりで解除できるのだ。

 ソル君は……勝手な思い込みだけど、状態異常にならない気がする。


 だって彼は今、恋という状態異常にかかってるからね!


「ラビー、妙なドヤ顔はやめて、こいつの弱点を教えてくれないかな」


 はっ?

 ソル君が私の不穏な感想に気づいたようだ。

 (ライバル)ながら天晴れである!


「臭い物には火でござるよっ!本気の短期決戦で倒すでござるよっ!」


 雑魚とはいえ、こいつはHpも高い。

 そして戦いが長引けば長引くほど”臭い息”を吐く率も高まるのだ。


「っしゃ、本気でいいんだな?」


 そしてギラギラし始める脳筋シーフ。

 状態異常はきっとバーサクだ。


「ふっ、久しぶりだな」


 な、なんかディーノさんまでギラギラしてる?!

 そ、そんなにこれまでのアビリティ無駄打ち戦法がストレスだったんだろうか?




 ……そして。

 ”臭い息”の一つも吐かせてもらえることなくご臨終なモルボル一世。


 いやもうね、あいつらのステータスヤバいよ。

 ジャンの攻撃力とか、きっと200近いよ。

 素早さ170だよ、きっと。

 ソル君の魔力なんて200越えてるんじゃないかな?

 だってソル君だもん。

 きっと粘着系勇者のための魔力補正とかあるんだよ。


「はふぅぅ、ソルさんって強いのねぇ……」


 いやいやルーナ、そこはうっとりする所じゃなくてどん引きする所だから!


「ね、ラビーちゃんもジャンさんのこと、素敵って思うでしょ?」


 ……あのさ、ルーナたんからルーナに戻っても、その妙な思い込みが変わらないのはなんでかな?!


「……ディーノ殿は格好良かったでござる」


 ボソッと呟くと、


「照れたラビーちゃんも可愛いわね」


と言われた。

 ……可愛いのはルーナ(あなた)だよ。

 むしろ可愛いだけじゃなくて綺麗で美人だよ!




「おいラビー、あいつは?弱点は?」


 生き生きした声でジャンが聞いてきた。

 新たに岩だらけの上り坂に出現したのは、赤い表皮のサラマンダー。

 地を這う竜だ。


「あ~、氷でござる……」


 このアドバイスっている?

 ソル君はともかく、ジャンとディーノさんはひたすら殴りまくってるだけだよね?

 そんで、速攻で倒してるよね?

 レベルはまだ40の後半……いや、セト様倒したから50ちょっとのはずだよ?

 それでこの強さって……おかしくない?

 ゲームバランス舐めてんのか、あぁ?!


「は~、案外チョロかったな」

「だね」

「……物足りんな」


 くっ、この脳筋勇者達め!!


「すごいわね、ラビーちゃん」


 くっ、この大人可愛いヒロインめ!!

 ……これでレベルカンストさせれば、裏ボスなんてけっこう余裕で倒せるんじゃなかろうか?


 ま、まぁいいけどね。

 安心できるし。

 裏ボス倒せばハッピーエンドは決まったようなものだし。

 むしろ今の状況でも、勝つだけならルヴナンにも勝てそうだし。

 まぁ倒すには色々足りないアイテムが多いけどね。

 あ……モルボル以外はアビリティ無駄打ち戦法でって言うの、忘れてた……。


 こうして私達は、けっこう余裕で最後の町・ミバドゥに到着したのだった。




 ミバドゥは、港湾都市だけあって城壁のない、広々とした空間を誇る町だった。

 入り口こそ天然の要塞である崖をくり抜いて作ってあるものの、そこを抜ければ青々とした空が広がる、開放的な町だった。

 その港の沖合に立つ、巨大な塔。

 これこそが水の聖域だ。

 船で乗り付けて地上を上がって行く造りになっている。


「来たぜミバドゥ!おいセンセイ、チーズと魚介が美味いんだってよ、ここ!」


 開放的な雰囲気が嬉しいのか、ジャンが若干はしゃいでいるように感じる。


「へぇ、ルーナ、魚は好きかい?」


 なんかさ、もう二人でデートに行ってきたら?

 私はディーノさんと行動するからさ。


「ふむ、では俺も用事がある。今日は自由行動してくるといい」

「は?!!」


 ビックリしすぎて目が点になった。

 

「や、いやいやディーノ殿。ラビーもディーノさんと一緒に行くでござるよ!」


 バカップルが二人でデートするとなると、残りものの私とジャンが二人で行動することになるではないか!

 なんか良く分かんないけど、それはいかん気がするのですよ!!


「む……?しかし、子供には詰まらない話だろうからな……」


 やっぱり!!

 ディーノさん、私のこと子供だって思ってたね?!


「ラビーは大人のレディでござるよっ!!」


 ぐいっと胸を張る。


「はいはい、大人のセンセイは俺と仲良くお留守番しましょうねぇ~」


 ヒョイッと抱き上げられて……なんたることか、脳筋変態シーフに捕獲されてしまった……!!


「ぎゃ、ぎゃあぁぁぁぁっっ!?」

「うむ、ではな、また後で」


 ディ、ディーノさん、見捨てないでよぉぉぉっっっ?!

 私はガクッと項垂れた。


「ま、まさかの裏切りでござった……」

「まぁまぁ、センセイには聞きたいこともあったし、美味い飯でも食いながら話そうぜ?」

「ッルーナ!!ルーナ~~ッッ!!」


 私の叫びは、遙か彼方に去って行くルーナの背中に、空しくこだましたのだった……。




え~、まことに残念ながら次話に変態のエロ話は入りませ~ん♪


……たぶん、斜め上の話になるかと。だってラビーですから。

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