真のうさ耳フード
お一方に評価していただきました!
ありがとうございました!!
17階からセト様のボス部屋に向かった。
15階と16階の宝箱は、セト戦が終わってから回収する予定だ。
勇者達の平均レベルは40後半。
……もう、デザートプリンセスでも勇者達には勝てないかもしれない。
吸収しない属性が雷だとバレた時点で終了だ。
最近は雑魚敵も強くなってきているから、今までのように落ち着き払って悠然としたガイド役は務められないかもしれない……。
「ラビー、助言は?」
「あ~、これまでと同じで。大丈夫大丈夫、これだけレベルが上がっていれば楽勝でござるよ。これまでの経験を踏まえればいいだけでござる」
アドバイスも目新しい物はないよねぇ。
防御・魔法防御上げるのは今までと同じでしょ?
アクセルかけるでしょ?
水属性の攻撃で袋叩きにするでしょ?
……むしろこれで負けたら私がビックリだよ。
「センセイ……盗むはやっぱり……?」
「まだ諦めてなかったでござるか」
ジャンをジト目で睨む。
確信犯な顔を見る感じ、構って欲しくてわざと言ってみたんじゃないかと思う。
寂しがり屋か?!
「――行くぞ」
ディーノさんは特に私への突っ込みもなく、剣を片手にゆったりと20階への階段を上がり始めた。
黙って戦う男の背中、非常においし――見事だ!
「ラビーちゃん、頑張ってくるね!」
「危なくなったらジャンを盾にするといいでござるよ!」
ルーナたんへのアドバイスは怠らない。
大事な体だからね!
「おぉ、俺って信頼されてるな~」
にへらっと笑いながらルーナたんの後を追うジャン。
私はソル君と目を合わせて首を傾げた。
「今、褒めたのかい?」
「いや、全然でござる」
ソル君はジャンの背中を可哀想なものを見る目で眺めて呟いた。
「――盲目だねぇ」
なんていうかポジティブだよね、ジャンは。
20階は屋上になっていた。
空には雷。
とどろく雷鳴。
所々崩れかけた石畳の上に、壊れかけた石の玉座がある。
勇者達が屋上に揃ったその瞬間、辺りに白熱した光が満ちる。
あたかも雷が落ちたような、眩い光。
だが音はない。
しん、と静まりかえったその場で、光が収まると同時に現われた荘厳な玉座。
崩れかけた石は深い緑色の玉に変わり、肘掛けや背もたれは金色で飾られている。
その玉座に座る王こそ……セト様!!
マッチョ狼!
銅色にてかてか輝くムキムキボディのセト様は、顔面が狼だ。
黒狼。
目は金色で、下半身にだけ黒いゆったりしたズボンを身につけている。
素足だ。
尖って鋭い獣のような爪を持っている。
『浄化も己でなし得ぬ、未熟な民の末裔よ、父祖の罪は重い。いかにして償うつもりぞ』
気っぷのいい男前なセト兄貴様も、月の民には憤りを隠せないようだ。
ルーナたんに向ける眼差しは冷たい……が、その10倍くらいソル君の眼差しの方が冷たかった。
「――意味深なご託にはうんざりしているんですよ」
ビュンッとクラウディスタッフを振って構える。
殺る気満々だ。
『その意気や良し』
肉体派なセト様は、ソル君の反応に嬉しそうだ。
話し合いより殴り合いという名の肉体言語を好むセト様らしい。
『いざ、戦わん』
戦闘開始だ!!
私は階段の最上段から屋上を覗き込んでいた。
もちろんプリン体に変化している。
……ず~っと気になってたんだよね。
うさ耳フードっておかしくない?
ソル君のアレ、もはやほ乳類の耳フードだよね?
ウサギじゃないよね?
そう思った私は、冷静に優勢に戦っているソル君のうさ耳フードに意識を凝らした。
”鑑定”だ!!
うさ耳フード:身につける人間に似合った生き物に変化するフード。
ウサギ限定じゃなかったよ!!
え?
それってもはやうさ耳じゃないじゃん?!と思って鑑定結果を凝視していると、ふわっと文字がほどけて新しい文字が浮かび上がった。
うさ耳フード:動きの素早いウサギの特性を活かし、回避力に優れたフード。人によって似合う生き物を変えるが、ウサギに選ばれた人間が身につけると特別な効果を発揮する。
ウサギのアイデンティティすごいな?!
心の中で突っ込んでいると、さらに文字は変化した。
うさ耳フード:人によって生き物を変えるフードだが、ウサギに選ばれると、相手に与える状態異常効果の発現率が倍増する。
ルーナたんすごいな?!
いや、この場合すごいのはうさ耳フードなのか?!
確かにセイレーンハープの効果はすごかったけども!
あれってルーナたんの歌ってだけじゃなくてうさ耳フードの効果もあったんだろうか?
『罪を贖う勇気を持て、さすれば我の加護をそなたにも与えん』
……あ!
……セト戦終わった……!!
ほ、ほら!
楽勝だって言ったじゃん!
〈その後〉
「ちょっとジャン、うさ耳フードを着てみるでござるよ!」
「ん?いいけど」
うさ耳フードがヒョウ柄フードに変わった……!!
……ちょっとバーサーカーっぽかった。
「じゃ、じゃあディーノ殿も着てみるでござるよ!」
うさ耳フードがクマの頭フードに変わった……!!
……マタギ……みたいな。
なんというかこう、山の民、みたいな。
手に持つ武器は剣じゃなくて、斧推奨な感じの。
「センセイは?センセイも着てみろよ!」
楽しげなジャンに被せられたうさ耳フードは……ペンギン……?
「お、センセイ可愛いぜ」
「ほ、ほ乳類ですらなかった……!!」
打ちひしがれるペンギン改めラビウサ。
どこまでも奥深いうさ耳フードだった。
読んでくださってありがとうございます!!
べ、別に後出しじゃなくてデスね、ちゃんと予め考えていた設定デスよ!伏線デスよ!!前話書き終わった後から天啓のように降ってきた後出し設定じゃないデスよ!!!




