第8話 闘いの前日
祝福会が終了してから
5日が経った、それはつまり異世界に来てから15日が経過したってことだ
もうこの世界の生活にもなれたため
剣を自由に操れるようになった
凡人もたった2週間程度でここまで強くなれるなんて想像すらしていなかった
いくら深紅の炎があるからってそんなにぐんぐん強くなるなんて信じられないと思った
どうしてだろう?ネットゲームだからだろうか
今の俺のレベルは31で恋聖は34で霧男は32
たったの15日でここまで強くなれたのは
適切なレベリング方法を恋聖が教えてくれたことだった
あの5日前から俺は霧男をパーティーに入れることにした
人数が多い方が効率がよいのに気づいたからだ
そりゃあ経験値は多少減らされるが
効率は2倍にはねあがったから
俺達はほんの数日でここまで強くなれたのだ
今日もいつものように3人で狩りをしていた
俺は最近深紅の炎を自我で現せたり
自我で止めたりすることができるようになった
これは5日間ずっと鍛練してきた結果だ
我ながら飲み込みが早いのがすごい
やはりこの世界に来てから俺はどんどん強くなっているんだ
まぁ向こうの世界では友達彼女0人だが
「さて、哲!いつものあれ使っちゃって!」
オレが取り出したのは経験値取得を2倍にする薬だ
この薬を飲むとパーティーメンバー全員に経験値が二倍になる
いままで何故この薬を使わなかったかというと
この薬が開発されたのは、バージョンアップもどきの機能で追加された薬だからだ
そう、この異世界にもバージョンアップが存在しており
コンテンツなどが増えているのだ、今回のバージョンアップで開放されたのは
この薬と決闘対決システム、つまりサバイバルバトルが登場したことだ
このサバイバルバトルというのは
72人の冒険者が参加して開催される
その72人の中で一人だけ勝ち誇ればその人が優勝となる
なおこのバトルではHPが0になっても死なない仕様となっている
つまり、殺し合いにはならないということだ
そこんとこはこの世界を管理している運営に感謝しないとな
なお、さっきの薬の効果時間は15分
それまでにどれだけ狩れるか楽しみだ
ちなみに今回の狩り対象は
ゼリー、こいつは通常攻撃が効かないので俺と霧男がいる俺たちにとっては
効率が悪いと思うだろ?だが違うんだ、こいつは通常攻撃が効かないだけで
スキルアビリティはちゃんと効くんだ
そして恋聖の全体攻撃魔法で最近取得したヒーリングホーリーで討伐する
そう、このゼリーは一度に複数現れるためいっぺんに終わらせるのが効率的で
ヒーリングホーリーはレベル31で取得できて
MPは85使うが威力が強いため俺と霧男が全体技をかけながら狙うと
数十秒で経験値を稼ぐことが可能で
このゼリーがいる洞窟はグランドタウンから西へ5km離れた所にある
神秘の洞窟にて存在する
ここはかなりの距離があるため
記憶転送を利用して移動するが
帰りは転送機能がないため
帰り道に関しては効率が悪い
だが効率はいままでの狩りと比べると一段と効率が高いため
レベル上げ目的で訪れる冒険者も絶えない
そう、今最も効率がよいレベリング方法は
ゼリー狩りだ
「恋聖ちゃんいまだ!動いてないうちに魔術を発動して!」
「神聖なる光を対象者の命を潰し破壊を遂行せよ...」
「汝の力を我の魔術を発動させその輝く光をプリズムの力に変えて全ての力を今解き放たれん...」
「踊れ!光の舞!ヒーリングホーリー発動実行開始!!」
するといくつもの光が全体に襲いかかりその眩い光の熱が
ゼリーを討伐した
そして、経験値取得画面が表示される
Exp25000 Next Exp198000 Gold5200
凄い効率のよさだ、これならあと10回程度闘えば
レベルが上がるほど効率が良い
だから15分の薬の効果がなくても12500のExpのため
超絶効率が良い、感動的だ
一回の狩りでおよそ1分20秒かかるため
この薬を飲みながら狩るとレベルがバンバン上がるだろう
うーん実に効率良い
だけどいつも思うのだが恋聖が使う魔法詠唱は意味があるのだろうか
気になるんだよなぁ、聞いてみるか
「あのさぁ、恋聖」
「呪文詠唱って必要なのか?」
「勿論です、まぁ正確に言えば使わなくても良いのですが呪文詠唱すると攻撃魔法の威力が3倍になるため効率も上がるんです、それに私この魔法詠唱が好きなんです、なんか厨二心が出てしまうんですよ」
「うむ、そうなんだそれはなんか分かる気がする」
俺も厨二設定とかかっこよくて好きだから分かるんだ恋聖の気持ちがわかるぜ
俺達は今この異世界にいる
現実の世界に存在を消した
神隠したる存在
そしてこの世界に召喚された者だ
ある日俺は強い強い能力を持っているという事に気づいた
それから俺は恋聖や霧男とともにこの世界での仲間同士
レベル上げをして、そしてこの世界の関係でしか作れない
仲を作り上げている
俺もたった二週間でレベルが1から31になった
それは効率的な狩りと恋聖と霧男のおかげだ
ところでなんで俺は霧男とこんなに距離が縮まったんだろう
最初は太陽のレストランで喋る程度の縁だったのに
いつの間にか仲間になっている、毎日一緒にいている気がする
これは狩りの為なのか…?あるいは仲間として共同戦線してんのか?
あの5日前から俺の日常が変わっていった気がする
あの焔心さんとも最近よく喋ったりしているし
やっぱり俺は独りじゃないんだなって気づいた
そうだ、俺には仲間がいるじゃないか
仲間と共にいるならどんなことがあっても
乗り越えられるはずじゃないか
そう思うと俺は更にレベル上げが楽しくなり
レベル上げの効率が良くなると
どんどん強くなってゆく
しかも仲間が増えてゆく、最高じゃないか
たぶん仲間っていうのは気が付けばなっていくものなんだろ思う
さて、そんなわけで俺は2時間以上の狩りをして
闘いを終わらせた
今回の戦いで俺はレベルが31から34まで上がり
恋聖も霧男もレベルが上がっていた
「ふぅ、今回の闘いは終わりだな」
「だな」
「たったの二時間でこんなにレベルが上がるなんて感激ですね!」
まさにその通りだ
「あぁ、本当にすげぇヌルゲー仕様になったな、今回のバージョンアップもどきのおかげで」
すると霧男がにやけながら俺の顔を見つめてきた
「ほほーお前さんもレベル上げヌルヌルでつまらんくなったんだろー?」
まぁそれも一理あるな
「まぁ、一理あるがこのデスゲームで生き抜くためならヌルヌル仕様にしてくれた方が助かるのだがな」
「だよな、死ぬリスクが減ったバージョンアップに感謝しねーとな」
そんな話を町へ戻る際に
していた
1時間程度たって、ようやくグランドタウンへ戻ってこれた
「んじゃー解散な」
「おう」
「了解です」
3人解散した、そして気づくともう夕方だった
それと同時に俺の腹も空腹になった
だからいつものあの店に行くことにした
「転送装置起動、場所は太陽のレストラン」
その言葉に反応し光の渦に飲まれ
俺はいつも通りワープ機能を利用して
あの店へ行った
「うぅーんやっぱうまいなぁ」
そう、今回俺が食っているのは
またあのいつもの3神メニューだ
いいかげん飽きないのかというと
俺はこの飯をなぜか毎日食っても飽きていない
むしろうますぎて逆にもっと食いたくなる
料金も安いこの3つの食い物
インフェルノステーキとクリスタルサラダとタイタンスープ
この三つ合わせてなんとたったの640Goldなんだ
インフェルノステーキが320Goldでクリスタルサラダが200Gold
タイタンスープが120Goldであまりにも破格だ
こんな事してたら店潰れるんじゃね?って思ったが
どうやらその様子はないようだが
なんでだろう、まさかバザーで手に入れた素材が安いのか?
だとしたら人気繁盛だな、だけどこの店はなぜかあまり高くないため
行列にはならないらしい
宣伝すれば絶対儲かるのにな、こんなにうまいのに残念だな
「よぉ、また会ったな」
俺の肩をなれなれしくぽんっと叩いた
霧男の姿が俺の後ろに現れた
「またあのカマンベールと食パンを食いに来たのか?」
「あったりめぇだぁ!あと今日は奮発するぜぇ」
「今回の狩りでGoldが潤いまくったからな」
そうだ、ゼリー狩りのおかげで
お金が7万以上溜まっていたなそういえば
「お前所持金いくらなんだよ?」
「27万Gold」
すげぇ金持ちじゃねぇか!
ゼリー狩り月収いくらになるんだこの野郎!
なお俺の所持金は24万Gold
「俺は24万Goldだ」
「つーかこんなに金持ってると強盗が襲ってきそうだな」
「だったら所持金全額店に持ってくんなよ」
「お前が言うな」
しゃーない、帰りに銀行もどきにお金預けに行くか
カードもこの前契約したばかりだしな
銀行もどきというのは
銀行そっくりな異世界版銀行の事を言う
ちなみに異世界銀行カードがないと預ける事が出来ない
その異世界銀行カードがある場合にだけ預けることができる
そのカードの発行方法はクエストクリアだ
クエスト番号0025 銀行カード発行術
というクエストでこのクエストは300Gold払うだけでクリアできる
簡単なクエスト、これをクリアした以降はいつでも利用できる
なので冒険者たちには必需コンテンツだ
この世界の冒険者のほとんどはこのコンテンツに契約をしている
この銀行預かりサービスは異世界銀行サービスセンターにて行え
そのサービスセンターは俺が通う宿屋の近くに存在していて
この町では15カ所存在する
「店員ちゃーんカマンベールと食パン、あと高級ステーキー」
「かしこまりましたー!」
高級ステーキ、値段は4500Gold
かなり値段が高いため買う人はあまりいない
だが俺達冒険者にとってはその値段もあまり高いとは思わないだろう
理由はゼリー狩りであんなにGoldがもらえたのだから
しかしNPCは魔物討伐の金策は仕様の為かいけないので
町で仕事をしないといけないんだ
それにもし狩りにいけたとしても
HPが致命的に低いためNPCは狩りでの金策ができないのだ
NPCのHPは平均で50、俺達冒険者レベル30の剣士の平均HPは3400
俺のHPはレベル30の時は3450で中の上だ
だがNPCの場合はすぐにHPが0になり死んでしまう
あの5日前のリザードドラゴンが襲ってきて
2日後に死亡者リストが張ってあった
そのデータを見たら
死亡者はNPCが知らないうちに82人も死んだそうだ
冒険者は1人死んでいた、そう、あの冒険者だ
こんなに被害があり、そして建物の一部も破壊され
大変なことになっていて今も復旧の見込みがないらしく
町の被害総額はおよそ3000万Gold
こんなに荒れたことはいままでないって
焔心さんがそうおっしゃっていたほど恐ろしいレイドバトルだったのだ
もうこんな事起きてほしくねぇなぁ
そんな他人事のレベルじゃあすまないほどの被害だった
「どうした?考え事か?」
「あの5日前のレイドバトルの事なんだが」
「あれか、例の件か」
「そうだ、あの日冒険者だけでなくNPCまでもが犠牲になったあの日だ」
「死んだ冒険者とNPCってどうなるんだろうな」
そう、死んだ冒険者とNPCがどうなるのか俺は知りたい
もしかしたらこの異世界に消えただけで元の世界へと本当は帰還しているかもしれないな
だが、NPCの死ってどうなんだろう
「おそらくはNPCも冒険者と同様に死後の世界へ行ったんだと思う」
「そうか…」
あいつ、どこかで生きていたらいいな
死んでるなんてあまりにも残酷だからな
そうやって自分の為に逃げ道を作って自分を励ませば
なんとかやっていけるってそう思う
そして俺は飯を全部食って
霧男よりと別れ
帰りに銀行に拠った
「えっと18万Goldお預かりします」
「ジュウハチマンGoldオアズカリシマシタ」
このロボット声で俺の18万Goldを預けた
「ふぅ、さて帰るか」
俺は夜の中で歩き
宿屋に向かい
宿屋でお金を払い、いつもの寝床で
活動内容を書き取り
就寝した
(俺は絶対にこの世界で生き抜いてやる)
恋聖の為に世界の為に生き残るために
異世界へ帰るために、このすべての望みをかなえるために
俺はいまここにいる
次の朝、俺は朝6時に起床しさりげなく
外の窓を開き町の景色を見た
するとなんだかざわざわしている様子が見える
人がたくさんいる
なんだろうなんかのイベントかな
俺は気になるからすぐに旅の支度を済ませ
宿屋を去った
そして俺はすぐに人が多いところに行った
すると目の前には一つの看板があった
それはサバイバル大会の開催日にちが書かれてあった
こんなの昨日はなかったのに
これもバージョンアップの影響だろうか
それとも冒険者かNPCがこの看板を作って立てたのか
この看板によると開催日はどうやら
なんと今日の15時からSurvivalhallという西地区に存在する場所で
バトルをするらしい
この大会に優勝すればなんと
栄光の証というアクセサリーが入手できる
このアクセサリーは凄くレアで強力なアクセサリーで
これを装備すると各ステータス3倍上昇
消費MP半減 耐性40%アップなど
チートすぎる性能の為か
考え事してたら参加者がどんどんサインをしている
参加書にバンバン書かれている
そう、この戦いのルールでは死なないという仕様になっているので
安全だし優勝賞品があのレアアクセだから…冒険者たちは
「よし!ぜってぇ優勝するぜ!」
とまぁそんなテンション上げている奴もいるわけだ
「おいおいーこれは何の騒ぎだぁ?」
霧男も騒がしいせいか
俺の元へ現れた
「なんかさ、Survival大会が今日開催されるらしーよ
しかもその大会で優勝すればあの栄光の証というレアアクセがもらえるらしいぜ」
「マジかよ!じゃあ俺も参加するぜ!」
このバトルは全員レベル30にレベルシンクされるので
レベルが高い奴が優勢ということはまずない
装備している武器防具もみんな威力が低下する
だから平等のバトルが可能
なお、ジョブについては制限はない
「俺もレアアイテム欲しいから闘うぜ」
「そうか、だがもし俺とお前があったときも手加減はしねぇからな」
「おう、当たり前だ」
ところで恋聖は参加するのかな
いや、あの子はそういうガラじゃなさそうだしな
でも一応連絡してみるか
まずチャット対象ボタンを押して
tellボタンを押して対象者を恋聖にしてから
ボイスチャットを発生させる
プルルルル・・・・
(はい、もしもし?哲くんですか?)
(うん、俺だ、ねぇ恋聖、今日は狩りお休みにしてくれないか?)
(ん?どうしたんです?)
(実はね、俺さ霧男とサバイバル大会に出場することになったからさ)
(え?今日開催なんですか?)
(うん、だから俺今日は大会に出場するからよろしくー)
(あ、そうだ恋聖も参加する?)
(うーん私あまり自信ないので今回はパスにします)
(そうかーじゃあまた今度ね)
(はーい)
そして、午後の2時40分になったため
俺はそろそろ支度を始めた
いつも装備している武器を持ち
転送装置を起動させ
西地区へ移動し、そしてSurvivalhallの近くで大会の開催を待った
周りには72人もの人がうろついていて
ざわざわと盛り上がっていた
そして、俺は霧男とも再会をした
「よぉ、哲」
「あぁ」
こんな短い会話をしたあと
再びあの女性とである
「北川君じゃないか、また会ったな」
すると焔心さんが俺の前に現れた
「もしかしてお前たちもこの大会に参加するのか?」
「はい!俺あれから強くなりましたから自身があります!」
そしたら焔心さんがにやけながら話してきた
「ほーそれは良いなぁ」
「お互い頑張ろうな!」
「はいっ!」
俺は焔心さんと握手をした
それをみている霧男は
「あのー俺も参加するんですがー」
「あー霧男居たんだ」
ガーン!そんな音が聞こえた
「俺の存在感がぁああ!」
「まぁまぁ…落ち着けよ」
「くっそー絶対俺も優勝するんだからな!見ててください焔心さん!」
「おぅ!よろしく頼むぞ!」
そして3時になった
優勝賞品は最強のアクセ
この最強のアクセを手に入れるために
72人が争う、一つのアイテムをかけた争いが
遂に始まった
「じゃあ負けねぇからな!」
「おう!全力でこい!」
俺と霧男の最後の別れの言葉で
俺は決められた場所へ移動した
72人それぞれの思いが揺らぐ
果たして優勝するのは誰なのか…!
続く