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異世界でネトゲに埋もれた者達  作者: Spell
Story 1 MMORPGに似た異世界物語
4/25

第4話 紅蓮の竜が宿る時、俺は俺で無くなる

人は争いながら生き抜く生き物

戦争に勝ち見事に生き残れたものが勝ち

戦争の負けて死んだ者は負ける

それがあの世界の原理で

人が争う事をやめないのは

自分の名誉の為、自分の名誉の為、生き残る為

お金を奪う為、強さを見せるため、そして、自分自身の価値観をその人に押し付けるために

人は戦争を起こす、そして大人数の死者があらわれる

命は戦争のためなら簡単に捨てられていく代用品でしかない

人は地球上で4秒で1人誕生される、そんな命を簡単に人は人を殺すことができる

自分の強さを見せつけるために人は争いながら生き抜く

日本ではもう戦争は終わったが今でも別の国で戦争は日常茶飯事で行われて

簡単に命が捨てられていく、そんな世界ならいっそのことなくなればいいのにって思ったことがある

こんな弱肉強食の世界なんて消えればいいのに

そんな事を思っている人間もいるのではないか、俺も含めて

強いものだけ生き残る、自然界だってそうだ、弱い者は強い者に狩られて食われて生きる

そして強いものだけが優勢な立場をてにいれる

人間はその中でもかなり上位にたっているが

俺は上位にたっていたも嬉しいとは思わない

もし自分が弱い立場だったら強いものに殺される

そんな立場も嬉しくない、だったらいっその事地球なんて消えればいい

そうすれば全て丸く収まる

でも、これは仕方ないことだから俺も認めないといけない

だから、俺は決めた

もうなりふり構うのはやめたって...!!

「はぁぁぁぁぁ!!」

大声を出しながら謎の女性の持つ大剣を降り下ろす

その瞬間、爆風が舞い散る、そして白光さんが

俺を庇うかのように声をかける

「北川さん!逃げて!」

そう言われた通り俺は無我夢中で走る

そして白光さんから20m程度離れて

闘いを眺める、そうだ、俺は見ていることしかできない

なにもできない人間なんだ、あの子に必要とされているだけで

本当はなにも変わっていなかったんだ

白光さんのHPバーがすでに60%を切っていた、このままだと死んじゃうかもしれない

だけどレベル4の俺になにができる、回復もできないし補助も攻撃もできない

結局俺は誰からも必要とされていない、あの深紅の炎だってどうやって使うのか知らない

もう、今の俺はただの凡人だ

「ふん!しぶとい子ね!いい加減死んだらどうよ!」

「嫌ですっ!私はまだ使命を果たすまでこの命を失うわけにはいかないのです!」

使命ってなんだよ、あぁあの世界を救うためってやつか

今の俺はあの力があったとしても何もできない

なら今はこの闘いを見ているしかない

そんな事を考えていてる最中にも

あの女性が大剣を掲げ無惨に降り下ろし

大ダメージを喰らわせる

「ふん、弱い奴って本当不幸よね」

今の白光さんはもうボロボロ、HPも黄色ゲージにまで下がっていて

もう身動きが取れないほどになっていた

俺が考えている時にあの子がもうこんなことになってしまったんだ

俺のせいなんだ、こんな屑な男のせいで、一人の女の子を救うこともできないんだ

だけど、もうこんな事を考えるのも嫌だ

大切なものがあるうちはまだその大切なものを失いたくない

それは自分の心、せっかく希望を見つけたのに

それを嘲笑うようにあの女性がそれを奪って行く

そんなこと、許せない、この人殺しの女をするせない

今の俺の目的は、駄目なことかもしれないけど

やらなきゃいけないということ

そうか、俺は何もできない人間だなんて勝手に思って

あの子の想いを棒に振るう事をしてしまったんだ

たとえそれが数分の事でも

それは許せることじゃないんだ

さっき悩んでいた自分はあの子以外に必要とされていないのは事実だと思う

でも必要じゃなくても自分は自分、人は人、だから周りがどう思っていても

俺が俺だって事には変わりはないんだ

だから、俺、また頑張ってみるよ

絶望を味わっても、嫌なことがあっても

きっと乗り越えられるはず、だから今回もいけるよな

さっき手出しするなってあの女は言ったがそんなの知ったことじゃない

だって人が死ぬのって嫌だから

たとえ数秒で一人誕生する小さな生命体だとしても

個体数の人数の命だとしても

俺は尽くす

でもそれって自分のエゴだよな、偽善だよな

だけど...俺は...

偽善だとしても護りたい者があるから

「う...あぁ...嫌...まだ...死にたくない」

もう白光さんのHPが10%以下にまで到達していた

死ぬ寸前の極限状態だ、もう死ぬかもしれない命だが

俺は、その命を救済する

「私は...もう...死に...ま...す...だか...ら貴方だけでも....生き...て...く...だ..さ..ぃ」

そう言い残し意識を失った

「ふ...ふ...あははははは!!こんなにアッサリ死ぬなんてザマァみろよぉ!!」

(まだ...だ...まだ...終わらない...ぜ...)

その瞬間俺は理性を失い、もう俺が俺ではなくなっていた

そしてそれは内面的な変化だけでなく外面にも現れていた

そう、俺の体の周りには紅蓮の炎を宿し、腕は炎に飲まれ、俺の後ろには

炎のドラゴンが現れていた

「な...なんだ...こいつは...!?」

この女は最低だ、だから、もう俺は怒りが押さえられず

それはもう北川哲ではない、そう、今の俺の名は...

「紅蓮の竜...だと...!!」

「くそガキ...なぜこの力をぉおおお!」

「あはははははははははっは!!!!」

「もう...死ね...死ね...死ねぇぇぇぇえええええええええ!!」

その声は低くのしかかり

そして、俺はこの女を食いちぎる、紅蓮の竜の力で

「お前なんか...お前なんかああああこうやって食いちぎられてええええ!!こんなまだ幼い子を殺そうとしてええええ!!そんな屑野郎はぁぁぁ!!この世界からは消える運命なんだぁ!!死ね...死ね...死んで償ええええ!この屑女ぁああああああああああああ!!」

「や...やめ...やめろおおおおおおおお!!!!!!」

最後の断末魔を言い残し俺はこいつを人間の形じゃなくなるまで

食いちぎり奴を暗黒の闇に還した

そう、こいつは異世界の魔物だったのだ

だから死んだら暗黒の闇に還るのが運命だったのだ

そしてその瞬間、俺は元の俺を取り戻した

「終わった...か...」

目の前にまたこんな画面が映し出された

EXP35000 Next exp9560 Gold9260

こんなに大量の経験値の為

レベルが4から19まで上昇してお金も潤った

そんなに強い魔物を俺はたった数十秒で倒したとは、改めて実感が湧かない

俺って一体何者なんだろう、実に不思議でしかたない

だが、そんなことより俺は白光さんの事が気になる、だから

あの子の所へ今すぐに行く、すると

もうこの子のHPは3しかない、MPも全魔力使い果たしていてボロボロ

だけどそれよりもこの子が今生きているということが何より嬉しかった

嬉しいのに何故か俺の瞳に涙が出る

これは悲しみの涙ではなく嬉しさ涙、この子が生きているという一番の嬉しさが

涙になってポタポタとあふれでる

溢れ出す涙を抑えることも出来ずに今は、回復アイテムを彼女に使い

全回復した彼女の姿を見て、俺は再び涙がでる

「北...川...さん...なんで泣いている...んで..すか...」

「そんな...顔...しないで...お願い...じゃないと...私まで涙が出てきちゃうじゃないですか...」

「ごめん、だけど俺、君が今生きていることが嬉しくて泣いているんだ」

そう、嬉しいんだ、あの女から救うことができた

それが嬉しい、死んでいないという現実が嬉しい

「そう...ですか...ごめんなさい...私...いつも周り迷惑ばかりかけて...生きてきて...」

「ううん、いいんだよ、今君が生きている、それが一番だから」

俺はまだ会って数時間しか経たない女の子にこんなにも尽くしてしまうほど

心が変わっていた、なんでだろうか、これが好きってことなのだろうか

人を好きになるってなんか切ない気分になるのだろうか

「私も怖か...った、死にたくなかった...まだ生きていたいと思った...」

「そうか...それは俺も同じだ、人は誰だって死ぬのは嫌だよな、生きていたいと思ううちは死ぬのは嫌」

「だけど、人はいつかは死ぬ、だから生きてるうちはいろんなことをして幸せになりたいよな」

俺はずっと5年間何気のない生活を送っていた

だけど、それも今日で終わり、これからは大切な友達と一緒にいたい

ずっと、ずっと、死ぬまでいたい

だから...

「俺、君と友達になっていいかな?」

すると彼女は数秒経ってから返事がきた

「はいっ!宜しくお願いしますっ!北川さん!じゃなくて...哲...くん...!」

「あぁ!宜しくな!」

そして俺は握手を交わし、しばらく二人で

周りの景色を見渡し

二人で、街へ帰っていった


人は生きている間で必ず幸せが訪れる

たとえ不幸な人生を送っていても

それはいつか必ず報われる

だから頑張って生きていけば幸せになれる

辛くても生きていれば良いことばかりではないけど

幸せになれるから...だから、生きて...生き抜いて...

この世界で...


続く...

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