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僕、泣いた『最後の運動会』

今から18年前の10月

僕は今の地域に転校した。当時、小学4年生。


初めは9月の初めに来る予定だっが、10月には運動会がある。

なのでもちろん、9月の体育の授業は運動会の練習ばかり


僕は転校するにも関わらず練習に参加しざるを得ない状況だった。


そんな僕を見て、担任の先生が親に話してくれた


「運動会に出場してから引っ越しに出来ませんか?」


「練習にも参加していて、みんな楽しみにしてるんです」


親は、すぐに納得してくた


「わかりました。10月に転校にします」


僕は嬉しかった。


「よっしゃー、やったんぞー!!」と、

テンションが上がって練習頑張った


友達も「良い思い出にしような!」と、一緒に喜んでくれて、嬉しかった



そして、運動会当日


学校へ気合いを入れて行った!


「オカン、見とけよ!」と

その時の僕はまさに、男の顔だったと思う。

運動会ってそんな大した事でもないのだろうけど、僕は間違いなく、その時『男』だった。


学校に着くなり、沢山の友達が、連絡先や住所を聞いてきた。

今のように携帯電話がなかったので、

各自『メモ帳』のような物を持ってきていて、それに書いてくれてた。


「連絡するからな!待ってろよ」


「絶対家に行くから!」


「年賀状、送るから返事くれよな!」


男も女も、本当に沢山の友達が声をかけてくれて、連絡先を聞いてくれて嬉しかった。

ドラマの主人公にでもなった気持ちになった


カメラを持ってきてる子も沢山いた。


「いっぱい写真撮って送ってあげるよ!」


「カッコ悪い写真でも捨てるなよ?」


「思い出沢山作ろう!」


おそらく僕の人生で一番、人からかまってもらえた日……



無事に運動会が終わった



いくつかの競技に参加させてもらった。まあまあの成績だったと思う。


「写真いっぱい撮ったぞ!」と言ってくれる子もいて照れた。


簡単な組体操なんかもした。一生懸命頑張った。


「最後に記念撮影しよう」と提案があり、先生を含めたクラス全員で写真を撮った。結構沢山、写真撮った。


「またなー」


「元気でなー」


「写真送るからー」


「連絡するからー」


みんなが色々と言葉をかけてくれて、

みんなとお別れした。泣いた。車でめちゃ泣いた。




あれから18年……。


いくつかの季節を過ぎて、大晦日だって18回は来てるはずだけど


未だに、年賀状はおろか、誰からも一度たりとも音沙汰無し……




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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分だけ違う道を辿るという辛さに感動しました。 最後の『音沙汰無し…』で止めるところに文的表現も素晴らしく。普通に書くよりもっといろんなものを考えさせられます。
2014/12/02 16:02 退会済み
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