Ж グラム編その1
番外編
ハイル達が奮闘していたころ、彼女は?
血海の断崖絶壁の上にある大きな城に、彼女は住んでいた。
白い髪に蒼のコートと瞳がとても合う女性で腰まである髪をポニーテールにしていた。
顔には一筋の大きな傷が入っており、その美しい顔をカッコいいに変えていた。
そして、その首にはルビーがはめられたアミュレットがあった。
しかし、その女性の顔はあのハイル=プフェルトナにひどく似ていた。
それもそうだろう、彼女はグラム=プフェルトナ、ハイル=プフェルトナの実の母であり、魔界の三柱と言われている最強最悪の吸血鬼・・・なのだか。
「チェックメイト」
「は!グラム!待って!」
9つの狐の尻尾を生やした男と呑気にチェスをしていた。
「待ってて、今日何回目?さすがにもう待ちません♪」
「くっ!将棋なら勝てるのに何故チェスでは負けるのだ・・・」
今チェスで負けたこの男はシロウ=プフェルトナ、ハイルの父であり、九尻尾の妖狐であり、グラムより強く、ハイルに日本刀の使い方を(主に居合い切り)教えた人物なのだか・・・ご覧のとうり今はグラムの尻に引かれている。
「あ、ところでシロウ、ハイルに送った手紙の返事、返ってきた?」
「いや、まだだが・・・お前そんなに心配なら人間界に行ってこい!」
・・・ただ尻に引かれているだけではなかった、シロウはグラムを掴むと(どうやって開けたかは分からないが)小さな次元の穴にグラムを放り込んだ。
「ちょ!あなた!まっ・・・ぎぃやあああああ!!」
それが、影世界での彼女の断末魔だった(死んでいないよ)。
人間界 某所
私の名前はグラム!こう見えても吸血鬼の最強の種族、真祖だよ~ん。
今、私はチョーピンチなんだ!
どんな風にピンチって、いや~さっき夫に次元の穴に投げ込まれてね・・・酔ったの・・・もう、今すぐにでも吐きたいのです。
何故放り込んだの!貴方!
とにかく、周りにトイレは・・・ない!
「ナンテコッタ(T▽T)」
結局、私はその場で吐くはめになった。
それから数分間、私は1000年ぶりの人間界をさ迷っていた。
「たった1000年でここまで発展するとはね・・・流石は人間!」
私は人間の文明を素直に素晴らしいと思った。
私達悪魔がまだ知り得ない道具、[けーたい]や、[いんたーねっと]を使って魔力を消費せず、情報のやり取りをしている。
私達悪魔は念話と言う方法で情報のやり取りをする、何処に居ても会話できるけど魔力をアホみたいに使うので、下級悪魔は使えないのだ。
影世界に帰るとき、出来ればシロウに買ってあげようかな?
と、そんなに事を考えながら私はハイルのいる洋館に向かうのでした。
結局、迷子になったお(´・ω・`)
いやね、だってさ、1000年前とこんだけ土地が変わってたら迷うよ!
何で山があった場所が工場になってんの!
何で海だった場所が市街地になってんの!
もうワケわかんないし!
「はぁ、もう泣きたい」
そんな風に私が考えていると、
「GYAAAA!」
そう叫びながらなにかが出てきた!
その姿は巨人にワニの頭をくっ付けたようで、右手には槍をもち、左腕はコブラになっていた。
「あら、ファントムじゃん。人間界にも来れる様になったんだ!」
「あ?なんだ小娘、ぶち殺されたいか?」
ファントムと呼ばれた奴は槍を私に向けていった。
相変わらず下品な口調ね、とは言え、彼は一様中級悪魔の下位、そこらの悪魔より強い。
まったく、面倒な事になっちゃったね~。
とりあえず私は彼を挑発する事にした♪
「ヒュー♪、その頭イカスね!殴りがいがありそう♪」
「あぁ!あんだとこの糞アマ!ぶっ殺されてぇか!」
おっと、挑発に乗ってきた!
私はこの状況を楽しみながら挑発を続けた。
「あら、そっちこそ殺されたいの?糞餓鬼♪」
「糞アマ!」
「糞餓鬼♪」
「糞アマァァァァァァ!」
完全にぶちギレたファントムは、私のいた場所に槍で凪ぎ払う、だけどそれじゃあ私には当てれない。
「あは♪ここだよ」
私は奴の槍の上にいた。
凪ぎ払った奴の槍の上だ、流石にこれは奴も考えていなかったらしく若干混乱している。
「さぁ、Let's Show Time!!(ショーの始まり、始まり♪)」
私は腰に隠していた愛銃[蒼薔薇]を引き抜き、奴の顔面に黒い花を咲かせやった!
しかし、流石は中級悪魔、その程度では死なず私は投げ飛ばされた。
飛ばされた場所には壁、普通じゃ頭をぶつけて即死コース、だけど私は普通じゃな~い(*´ω`*)
すぐさま体制を立て直し、その壁を走って昇った。
文字通り、壁を私は現在進行形でダッシュしながら昇っています!
「何ぃ!」
ファントムが驚いている間に、私は口笛を吹き、彼を呼んだ。
「Come on! 紅龍」
すると何処からか刃渡り150センチはある巨大な剣が現れた!
それを空中で掴みとり、縦に一回転して、私は全体重をかけた[兜割]を、奴の脳天にかました!
奴は槍で防ごうとしたけど、意味などないに等しく、私に真っ二つにされた!
「グハァァ!?」
奴はゆっくりと倒れ、灰になり始めた。
「ぐぉ、き・・貴様、ただの人間ではないな・・・何者だ!」
奴は消えていくなかで私に問いた。
しかし、暫くするとどうやら私の正体に気づいたらしく、目を見開き、驚きを露にしていた。
「まさか・・・グラム、グラム=プフェルトナか!?あの魔界の三柱のグラム=プフェルトナ!?そんな馬鹿な・・・」
「大当たり♪」
そう、私が言うと奴は笑いながら満足そうに死んでいった。
あの戦いの後、私はやっぱり迷子になっていた。
迷子になりながら私は考えていた。
何故ファントムほどの悪魔が人間界にいたのか、普通、私達中級から高位悪魔は滅多に人間界に来れない、何故ならば自然に出来る影世界と人間界の歪みは私達では小さすぎて入れないのだ。
私達ほどの力ある悪魔がここに来るには人間に召喚してもらうか、歪みを強引に広げるかの2拓になる。
どちらにもデメリットしかなく、前者は暫くは召喚してもらった人間の命令を聞かなければいけないし、後者は魔力を膨大に使う。
私は後者でここに放り込まれた。
まあ、シロウのことだ、歪みをこじ開けた位じゃあバテたりしないだろう。
ともかく、私はそんな事を考えながら、迷子になっていたのだった。
・・・・うん、ガチでここどこ?
誰か教えてエエエエエ( TДT)
ファントムに関しては本編にて!
武器紹介!
蒼薔薇
グラムの愛銃で、強力なコルトパイソンというマグナムの弾を二つ同時に吐き出す、ダブルバレルの大口径ハンドキャノン。
総弾数は12発で、普通の人間が撃つと肩が千切れる。
魔力強化で、大型車も一撃で粉々にする!
でも、チャージに時間が掛かりすぎるので滅多に使わない。