第六幕 監視されている街
さて、前回までのハイルの私生活は?
ある日ハイルのもとに一通の手紙、それはバチカンの悪魔狩りのプロ集団「王立聖院書師兵団(略して書師隊)」からの依頼だった。
悪魔が大量発生しているらしい勇町、謎の黒い影、これはただの悪魔大量発生なのか、あるいは・・・
それでは皆様御一緒に!
アインス、ツヴァイ、ドライ♪
裏道を通り抜け、俺とハイルは町の大通りに出た。
そこには流石に悪魔どもはいなかった。
「全く、何体いるんだよ、此所はかたずいたけど他にたくさんいるんだろ」
俺はつい言っても意味のない愚痴を言っていた。
「諦めなさい、下の悪魔ほど数で攻めてくるもの」
ハイルが言った、俺もそれくらい分かっている。
それでもこれは多すぎる、俺とハイルあわせて1000体近く倒したのにまだ気配が微かに残っている。
全く泣ける話だ。
「取り敢えず一時どっかの宿にいって体制を立て直そうか、俺は聖銀弾が底についた」
「そうね、一旦体制を立て直・・・」
その時、何処からか銃弾がし、ハイルの頬を掠めた。
ハイルの頬から血が垂れ始める、しかしその血の色は何時もの赤い血ではなく黒い血だった。
ハイルが悪魔である証拠の黒い血、普段は赤い血なのに何故?
考えてしまおうとした時
「あぁぁぁぁ!!」
ハイルの絶叫が中断させた。
「どうしたんだハイル!」
ハイルは応えず、先程から血を流している頬を押さえていた。
ハイルはこの程度の傷では痛がらない、なのにこの絶叫だ。
まさか!と思い、俺は先程地面に落ちたハイルの血を見てみた。
ビンゴ、血は綺麗な水に変わっていた。
悪魔の血はある事をすると清水に変わる、そのある事は実に簡単で聖水や聖銀などで洗うことだ。
そして今、ハイルの黒い血は清水に変わった、つまり先程の銃弾は聖銀弾の可能性が高い!
「そう言えば悪魔も人間の皮で出来た手袋を使えば、聖銀に触れたんだった!クソ!!」
毒を以て毒を制す、まんまとやられた。
俺達には、逃げる以外方々がなく、俺とハイルはその場を去った。
街の中心街まで俺達はやって来た、ここまでくれば奴らも手は出せないはず。
聖銀弾を撃った奴も振り切ったようだし、一旦ここで体制を立て直すことにした。
迂闊だった、まさか聖銀弾を持ち出してくるとは流石に予想外だった。
「さて、対策を考えないと・・・ん?」
その時俺はある監視カメラがこっちを見ていることに気が付いた。
あんなとこにカメラなんて無かったはず・・・?
俺はその時最悪のことを考えた、まさかと思い聖水で出来た目薬を俺は目に垂らした。
この聖水の目薬は、幻覚等を打ち破る力があり、幻覚を使ってくる悪魔にはかなり役立つ。
現に今役に立った、あの監視カメラは幻覚で、正体は大きな目玉の悪魔「サーチャー」だ。
こいつは造られた悪魔で、戦闘は一切出来ないが、索敵能力が非常に優れていて、幻覚等を使ってターゲットを監視する、奴が見たものは全て召喚者の脳に送られる。
「クソ!!もうバレたか!?」
俺は悔し紛れに聖水爆弾をサーチャに投球した。
爆弾はサーチャの目の前で炸裂し、辺りに聖水をばらまいた。
聖水をモロに浴びたサーチャは真っ黒な煙を上げて消滅した。
あれから逃げ続けているが、其処らじゅうにサーチャが張り巡らされており、休む場所など何処にも無かった。
「クソッタレ、まるで 監獄だ此所は」
とにもかく、俺は先程の銃弾で苦しんでいるハイルを抱えて走っていた。
以外とハイルって軽いよ、あとやっぱ女の子ってよく柔らかいとかふかふかしているとか聞くけどよ、本当にそうでした。
ってどぐさに紛れてなに言ってんだ俺!
と、その時後から銃弾が飛んできた!
「うおわた!?なんだ!」
振り向くと、なんと視たことがない悪魔がいた。
そいつの右腕は対物ライフルの様になっていて、左肩にシールドがあり、オマケに左手には人間の皮で出来た手袋がはめてあった。
アイツかよ!聖銀弾を撃った奴は!!
今アイツはスコープを覗き込み、こちらを狙っている、うん逃げよう♪
いくら聖銀でも弾は弾だ、当たれば人間も殺せる。
オマケにあの対物ライフル、ざっと視口径は結構デカイ、当たったら・・・原型残るか・・・俺。
とにもかくにも俺は走って、走って、走りまくった。
その結果、今は高層ビルの屋上だ。
「サーチャもいない、やっと一息・・・」
着けなかった、何故?偵察型攻撃ヘリコプターOH-1『ニンジャ』が飛んできたからだ。
何故日本の現役偵察ヘリがここに?
そう思っていたら、発砲してきた、よりによってSAM-2(91式携帯地対空誘導弾ミサイル)を!
「へ?は?へ!え、まっちょ!!」
訳がわからないまま、俺はその場から離れる、強烈な爆音が数秒後発生し、ビルに穴を開けた。
「くっ、なんでだよ!」
何故攻撃してきた、そう言おうとしたとき、ヘリのコックピットが見えた、なんとコックピットに人は乗っていない!
「あ~、そう言うこと?・・・もう死にたい」
俺は逃げるのを諦め、すっかり存在を忘れていたパンドラボックスからとある人から貰ったブツを取り出した。
「稲光お初目にかかるよ、さてその威力、見せてもらうよ!!」
そう言って俺は稲光のトリガーを引いた。
撃ち出された銀の弾丸は俺が込めた白い魔力を稲妻に変えて亜音速で飛んで行き、ヘリの真下にある増築タンクを撃ち抜いた。
爆発!燃料タンクがぶっ飛んだ威力で悪魔が取り付いたOH-1は体制を建て直せず、そのまま落下しその後ビルの下で爆四散した。
かく言う俺は稲光の射撃時の反動で後頭部を打ち付けていた。
「ハハッ痺れるねぇ稲光、気に入ったぜ!」
稲光、俺は長い間世話になる頼もしい相棒をこの日手に入れるのだった。
武器紹介!!
稲光
アメリカの対物ライフル「バレットM99」を魔改造したもの。
と言っても、変わったのは射程距離と威力だけだが・・・
射程距離は城助の魔力による(現在は3㎞が限界)
威力もまた城助の魔力による(現在3㎞の地点で食らうと被弾箇所が抉り取られる)
雷を纏って飛んでいくので水の中にいたら感電間違いなし!
唯一の欠点は、撃った反動が強すぎて撃った本人が吹き飛ぶこと?




