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第九十五話 住所不定無職脱却





「ほらぁ、かわいいでしょ小さい頃の陽翔」




「牛乳顔にこぼされたときのだ!」




「あはは…こんな小さな時から牛乳、好きなんですね…」




「ちょっと」




学校から帰宅すると、母とはながこうきにアルバムを見せていた。

幼い頃の陽翔の写真。




「恥ずかしいからやめてよ」




「いいじゃない、ねーこうきくん」




「ははは…」




「ほらぁ、このおもちゃ指さす陽翔いい笑顔!」




「やめろって」




陽翔はアルバムを奪い、自室へと持って行ってしまった。




「あーほら、お母さんが調子に乗るからぁ!」




「全く、陽翔ー!

ミルクのお散歩行きなさーい!」




「あの、僕行きますよ。

陽翔も帰ってきたばっかりだし…」




「いや、それは…」




「はな行こっか?」




「ダメだよ、もう16時過ぎたんだから、女の子はあぶないよ。

僕、行きます」




「陽翔にも見習ってほしいわ…」




「ねぇ〜…」




ミルクはリードをくわえ、こうきの足元にちょこんと座った。




「よしよし」




「じゃあ今日だけ、お願いしてもいい?」




「いつでも行きますよ。

おいで、ミルク」




ミルクを抱っこし、こうきは玄関を出た。




「ミルクは元気だなぁ…」




今すぐ走り回りたい!というミルクに引っ張られ、こうきは苦笑いを浮かべた。




「平和だなぁ…」




こんな日常、送れると思わなかった。

竜胆家に居候をしているが、よくよく考えたら職を探さなければまずいのではないだろうか。




「25歳住所不定無職…」




「ミルク、さすがにやばいよね…?」




ミルクは首を傾げ、キャン!と吠えた。




「…やっぱりそうだよね。

ミルクもそう思うよね…」




「キャン!」




「仕事見つけよう!

………前科しかないや、どうしよう………」




一応、大卒ではあるのに…!と頭を抱えた。




「待って………

そもそも住所がないのに、雇ってくれるところなんて、ない…」




詰んだ。




圧倒的詰み。




うう…と、膝をつくこうきを周りの人は訝しげに見つめた。

こうきはサングラスをかけ、マスクをしているため、明らかに不審者そのものだからだ。




ミルクはこうきの手に、自分がついてるぞ、と言わんばかりに、ちょこんと手を乗せた。




「とりあえず、貯金はずっとしてきたし…

当面はこれでなんとかするしか…」




こうきはコンビニに入り、残高を確認し、青ざめた。




「…………え、0になってる………」





やられた。

梅の仕業だな。




「ミルク………僕は今すぐ君になりたいよ………」




ミルクはなに言ってんだ、みたいな表情を浮かべ、自身の鼻先を舐めた。




「なにやってんだ、お前」




「ミルク…ついに僕もミルクの声が聞こえるまでになったか………」




「本当になに言ってんだ」




ふと振り返ると、マスクに帽子を深く被ったあおいが立っていた。




「あおい…、

僕は人権失ったんだ………」




「はぁ?」




「…なるほどなぁ」




あおいが乗っていた車に乗り、事の端末を説明した。




「………車とか持ってたんだ…」




「まぁな」




ミルクは後部座席でぐでーと横なっている。




「お前もアイドルなる?」




「僕歌えないけど…」




歌ってみ、とあおいが言うと、恥ずかしそうに顔を覆ってしまった。

それでもなんとか、歌ってくれたが。




「ダメだ、音痴すぎる」




「そ、そんなはっきり言わなくても…」




ミルクも耳障りだったのか、低い声で唸り始めた。




「うーん、どうしようか…

住所はいいよ、オレん家の使って」




「え……でも、迷惑じゃ…」




「別にいいよ、そんくらい」




「ありがと…」




「あ、でも出入りは禁止!!

今だって車に乗せてんのリスキーなんだから!」




「え、あ、ごめん」




「いいって、別に」




「お前せっかくかっこいいんだから、モデルとかやればいいのに…」




「無理だよ、僕には…」




「接客も下手そうだしなぁ」




「うぅ…」





「まぁーミルクも飽きてるし送るわ。

なんか探しとく」




「ありがとう…」




竜胆家に到着し、ミルクを抱き、重い玄関開けた。




「こうきくん、おかえり」




「え、あ、勝さん…

は、はい…お疲れ様です」




「浮かない顔だなぁ、どうした」




「いや………あの…」




こうきを勝の自室へ招き、経緯を詳しく聞く。





「そんなこと悩んでたのか」




「そ、そんなこと…!?」




「こうきくんは家事もやってくれてるし、さっきだってミルクの散歩行ってくれたんだろ?」





「そ、それは居候だから当たり前で…」





「うーん………とはいえ、その悩みはわかるよ。

………今、この仕事空きあるんだけど、やるか?」




「え、どんな仕事ですか?」





「それは…………」





「え………っ、できるかな……」




「こうきくんなら大丈夫かとは思うけど……

まぁ考えてみてくれ」




その日勝から聞いた職をこうきは床につき、天井を眺めながら考えた。



ベッドで陽翔が寝ており、陽翔ならどうするだろうか…と考えた。





「でも………

いや………

いやだな、これは…………


でも、僕にやらせてくれる………



く…………っ」





背に腹はかえられない…

こうきは布団から出て、陽翔の机を借り、作業を始めた。




「今日は新しい教育係の人が来たので、紹介します」





部屋に入室してきた男を見て、新人の警察官たちはギョッとした。


変な仮面をつけた男が入ってきたから。




「今日から私が貴殿たちを鍛え上げてみせる。

皆、音をあげずついてくるように」





あまりの厳しさに初日から悲鳴があがったという噂を陽翔が耳にした。




「やっぱりこうきは面白いな」




そう言い、陽翔はミルクとお散歩に出かけた。

ミルク(ポメラニアン)の自認はシェパードです。

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