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第八十五話 衝突




「あおい、新しい動画バズってるね、かわいい!」



「ありがと〜」




ラナとあおいがスマホを見てはしゃぐ中、こうきは首を傾げた。




「ばず…?」




「SNSで拡散されることだよ!」




「SNS…」




その単語を聞き、顔を顰めた。




「あんな軽薄なもの、好きじゃないな」




「はぁ?

オレはこれで食ってるようなもんなんだけど」




「狭い世界だな」




「なんだと?」




「やめなさいよ、なんでそんな仲悪いのよ」




「だって顔がいいくせに、逆張りしてるみたいでムカつくんだよ」




「…僕だって、そんな小さな世界で承認されるのは理解し難いよ」




ふんっ!

と2人は仲違いしてしまった。

ラナはため息をつき、これから先が思いやられる。




「はやく陽翔と涼太、学校終わってこないかな…」




「せっかくまだ10代なんだから、別のことに目を向ければいいのに…」




「あおいは10代じゃないわよ」




「プロフィール上は17歳で陽翔たちと一緒だもん」




「え…本当は?」




「21歳!

………なんだよその目はぁ!」




引いてるこうきにムカつく!とあおいは憤慨した。

あおいはそのまま部屋を出て行ってしまった。




あおいが出て行き、気まずい空気がこうきとラナの間に流れる。





「…あとで謝りなさいよ」




「………」




「あー腹立つ。

顔がよくてスタイルいいだけでもムカつくのに」




あおいは自宅でストレッチしながら、愚痴をこぼした。





「妙に男らしくてさ、ムカつくわ本当に!

…男らしくてさ…」




なんとなく沈んだ気分に、顔を振った。




「わたしはあおい。

かわいいみんなのアイドルなんだから。

あんなの現れただけで、狼狽えちゃだめ!」





ストレッチを終え、自撮りも済ませて、天井を見上げた。




「………」




次の日。

あおいはレッスンを終わらせ、警察署に向かった。




「……おはよう」




「おはよ…」




先にこうきが到着しており、挨拶をされる。




「昨日は…言い過ぎた…」




「いいよ、別に…」




「「……」」




「なんで、君は…

女の子のアイドルをしてるの?」



「えっ、似合うから」




「あ…

そう、なの…」




ふーっと、あおいがため息をついた。

このままの空気感では、周りに心配させてしまう、と思った。




「スカウトされたんだよ、女の子としてデビューしないかって」




「え…」




「それで始めたってわけ。

元々はそんなつもりなかったけど」





「最初は本当に軽い気持ちで始めた。

ファンがつくようになって、真剣にこいつらを裏切らないようにって」




「……」




「夢は夢のままでってことで。

男として生きるのはやめた」




「………」





全身脱毛は済ませ、月2回の美容院、大好きなお酒もやめた。





「セカンドキャリアなんてないからな。

だから今、精一杯やるって決めてるの」




「そう…」





「ファンを悲しませたくない。

元気がない時は、SNSを見て元気になってほしい。

ライブだけだと届かない層にも届くからさ」




「……

金鞠が、君のことすごいアイドル、って…」




「そっか。

よかった。

ちゃんと届いてたんだな」 





「言い過ぎたよ…ごめん」




「別に大丈夫だよ。

嫌な側面も、拡散されちゃうコンテンツだからな」




陽翔もそうだったけど、恐ろしいメディアだよ、とあおいは言った。




「嫌だって言う奴いるのは、しかたないって。

だからこそ、それを掻き消すくらいオレがみんなを笑顔にするんだよ」





「……すごいね、君は」




「……君は充分アイドルとして、かわいいし、素敵だね…

でも、それと同時に男らしいよ」




「そうか?

ありがと…」




「君となら、やってけそう…」




その言葉を聞き、あおいはフフンと笑った。




「あ、おはよう」




「ラナちゃんおはよ!」




「おはよ…」




「こうきのために、和菓子買ってきたよ。

みんなで食べましょ」




「え、そんな気使わなくていいのに…

ありがとう、いただきます」




和菓子を見たあおいは、「あ〜…」と頬をかいた。




「ラナちゃん、ごめん。

オレ、和菓子苦手で」




「あ、そうなの…」



「わ、和菓子が苦手!?」




こうきがそんなのあり得ない!と叫んだ。




「こんな美味しいものが苦手だなんて…!」




「なんだよ、ダメなのか!?」




「このこっくりとした甘みを理解できないなんて…!

やっぱり君とは相容れない…!」




「あー、それはこっちのセリフだわ!

和菓子ごときにそんな熱くなれるなんて、子供だな!」




「な、なんだと…!」





ラナはやれやれとため息を吐いた。

しばらくは、この攻防が続くと予想される。

ラナはイヤホンをつけ、いつまでも言い合う2人を無視し、動画を視聴するだけだった。

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