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第六十話 勘違い



最近ゆうりくんに会えてなくて寂しいなぁ…

はなは友達とカフェに入り、ふとそう思った。

ゆうりくん、バイトも辞めちゃったみたいだし、お兄ちゃんとも遊んでないみたいだし、このままもう会えなくて終わっちゃうのかな…

そう友達に相談すると、とんでもない提案をされた。




「デートに誘ったら?」



「え!!?」




むりむりむり!

と、顔と手を振った。



「小さい時から好きなんでしょ?」



「うん…」




あの顔かわいい人でしょ?



とカフェの外を指さされる。




「え」




「彼女いたんだね…

年上そうだけど…



はな?



はなー!?」




ゆうりよりも年上の女性と歩いている姿を偶然にも見てしまった。


その瞬間、はなは血の気が引きふっと倒れそうになった。




それからはなは空っぽになったように、毎日を過ごした。

家族が心配し、声をかけてきても、なんでもないとすら言う気力はなかった。




「家が静かになったな」




陽翔(はると)、お前はそれでもお兄ちゃんなのか!」




家族が自分のことで喧嘩していてもなんにも気にならない。




「はな」



「…」



兄が話しかけてきても、ミルク(愛犬)が駆け寄ってきても、なんにも感じない。





「誰なの…」




「お兄ちゃんだよ」




「わかってるよ、そんなこと」




「親父、はなが喋った。

俺のことわからないみたいだけど」



「陽翔お前はなに言ってるんだ」



「だって、誰なのって言われたんだもん」




「もういいからほっといてよ」




はなはミルクを抱えて部屋に篭ってしまった。




「あ、これからお散歩なのに。

はな。

はなー!?」



「お兄ちゃんうるさい!」





「あの綺麗な人、誰なの…」




ゆうりと歩いていた女性はすごく綺麗な人だった。




「別に、私と付き合ってないから関係ないか…」




小さい時から好きだった恋に終止符を打つには時間がかかりそうだ。

はなはぎゅっとミルクを抱きしめ、涙を流した。




どれだけ泣いても登校しなければならない。



「学校行きたくない…」



腫れた目をどうにかしようと、あたためたり、冷ましたりし、マシにさせる。



「なんで泣くとビジュ悪くなるの…」




泣くのはいいことだと、なにかで読んだのに、こんな浮腫んで目も腫れるならなにもいいことじゃない。




自転車を押しながら歩いて登校する。


なんとなく乗る気になれず、やたら重く感じながら自転車を押す。




「え」




「?

…はな」




登校してて久々にゆうりを見かけ、思わず声が出てしまった。

はなに気づき、ゆうりは「おはよう」と声をかけた。




「え、あ、おはよ」




え、気まずいんだけど…と、はなは顔を逸らした。





「じゃ」




「ま、待って!」




ゆうりがはなから距離を取り、はなは思わず引き留めてしまった。



なぜ引き留めてしまったんだろう。

ゆうりも、怪訝な顔をしている。




「ひ、久しぶり…」




「あぁ…」




前よりもゆうりは口数が減ったような気がする。

なんだか避けられている気がする。

彼女がいるからしょうがないよね、とはなは言い聞かせた。




「なに?」



「え…ううん、別に…

あの、ね、この間…」



「用がないなら行くけど」



「あ、…

ゆうりくん、この前歩いてた人、彼女…?」




ゆうりはその言葉を聞き、目を丸くした。




「この間…?

いつだ…?」




「えっと…

金曜日…」




「…金曜日…

あー…

彼女じゃないよ。

てかいねぇし」




「え、そうなの!?」




彼女じゃなかった…



その言葉を聞き、元気が出た。

今までなかった食欲もいきなり湧いてきた。




「そうなんだ…」




「うん」




どうしよう、もっと一緒にいたい。

もうすぐで、分かれ道になってしまう。




「ゆうりくん…」




「ん?」




「もう少し一緒にいて…」

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