第五十八話 河原で
「最後まで一緒にいましょう」
ミヤコはにこっと、ゆうりに笑いかけた。
こんなの簡単。
自分が欲しい言葉を相手にかけるだけ。
よくもまぁ、言われたこともない言葉がスラスラと出てくるものだ。
ミヤコはそう自嘲気味に鼻を鳴らした。
「最後まで一緒なんてあるわけないだろ」
…よっぽど警戒心が強いようだ。
「あなた1人でずっと頑張ってきたのよね。
でも、陽翔くんも涼太くんも、気づいてくれなかったのよね」
「別にあの2人のために頑張ってたわけじゃねぇし」
「でも、幼馴染なのに、あなたの孤独を気づけない。
本当に味方なら、普通は気づくわよ。
そんな近くにいたら」
ゆうりはミヤコの顔を凝視した。
純粋にびっくりしているようだ。
「あんなに側にいたのに、あなたの話を、聞こうとしたことはあったかしら?」
「それは…」
わかるわ。
近くにいても、話を聞いてもらえないって本当に苦しいわよね。
あちらが察することもない。
声を上げられないだけなのに。
ミヤコがそう言うと、ゆうりは口をへの字に曲げ肩肘をついた。
「お前、俺になに求めてるわけ?」
「うふふ、わたくしは別に」
陽翔とあなたが梅をよろこばせるよう動いてくれたら、それでいいのよ。
「幼馴染たちに教えてあげましょ。
もう友達じゃないってこと」
「………」
ゆうりはミヤコの顔を見つめ、目を伏せた。
「そうだな」
「うふふ。
じゃあ、まずは一緒に女の子を探しに行きましょう。
2人なら、すぐにできるわ」
死刑執行も、複数人でボタンを押して罪悪感を分散させるでしょう?とミヤコは付け足した。
陽翔のスマホのロック画面は1年生のときに、入学式に撮影したスリーショットのままだ。
ずっと変えていない。
多分スマホを替えても、ロック画面が変わることはないだろう。
変えるのが面倒くさいなど、他にいい写真がないなど理由は複数あるが、陽翔のお気に入りだからだ。
陽翔はよく一緒に来ていた河原に、座った。
ここでよく一緒に遊んだし、涼太とは殴り合いの喧嘩をしたこともあった。
陽翔は自身の着ている制服の袖を見つめた。
特待生の涼太と、推薦のゆうりに追いつくために、すごく努力したな。
先生に無理だからやめとけ、と言われても、2人と同じ学校にどうしても行きたかった。
この河原でキャッチボールして遊んだのが、遠い昔のようだ。
「大人になるって寂しいんだな」
大人になるということがこんなにも孤独なことなのだとはわからなかった。
「寒」
このままでは風邪を引く。
「あ」
そういえば、ゆうりが拾った猫にマフラー巻いてあげてたな、昔。
「結局、あの猫どうなったんだろう」
小2くらいだったかな。
ゆうりが家に連れて帰って、それから全く話を聞かない。
「今度聞いてみよ」




