第五十六話 村人Aの苦痛
最近つまらなさそう。
梅の横顔を見つめながらミヤコは思った。
なにか楽しいことないかな、そう考えているに違いない。
ミヤコといる時の梅はピクリとも笑わない。
蜜樹やゆうりや日向がいるときはあんなに楽しそうなのに。
「最近ゆうり君が頑張ろうとしてるんですよね」
「そうですか」
話題はいつも他人のことばかり。
ミヤコと話した内容は梅は覚えていないことが大抵だし、何回か同じ話を繰り返す事が多々あった。
それだけミヤコとの時間が梅にとって意味がないものなのだと、痛感せざるを得なかった。
「幼馴染同士が敵対したのに、いまいち盛り上がりに欠けるなぁ…」
「そうですか…
わたくしがなにか、スパイスを加えたら、喜んでくれますか?」
「え?」
「わたくしが、陽翔とゆうりの物語を盛り上げたら、喜んでくれますか?」
「いいんじゃないですか?」
梅は興味がなさそう…というよりは、お前にそんなことができればね、というようなニュアンスで言った。
「…はい」
————
ゆうりは古くなった参考書をまとめてゴミ箱に捨てた。
もう全て中身は暗記してしまい、もう読む必要はない。
「…参考書を捨てるのは簡単だな」
いつもならもっと難しい本を暗記しようか、次はどの言語で同じ小説を読もうか、などと考えるがしばらくはいいや、と思い、ブックショップの通販サイトを閉じた。
「ゆうり君」
「?ミヤコ」
「少し、お話しをしましょう」




