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第五十一話 




「期末テスト?」




陽翔(はると)は牛乳を地面に落とした。




涼太(りょうた)と陽翔は、顔が青ざめた。




「「やばいやばいやばいやばい」」




「ど、どうする?

陽翔?」




「どうもこうもないだろ…」





「「お願いします、ゆうり様!!」」




陽翔と涼太は静かな理数科で大声をあげ、土下座をした。




「よく来れるな、お前ら」




今敵対してるよな?

と、ゆうりは呆れたように言った。




「お願いします、ゆうり様」



「なんでもします、ゆーり様!」




「じゃあデバイスよこせよ」



「「それは無理!」」



「じゃあな」




待ってー!!と、2人はゆうりの脚にしがみつき、ゆうりは勢いよく地面とキスをした。




「なにすんだよ!!」




「お願い牛乳あげるから」



「頼むゆーり!!

またキャッチボール付き合うから!」



「いらねぇし、なんで俺が付き合ってもらう側なんだよ!」




ピキっとゆうりは血管が切れそうだった。



思い返せば、こいつらはいっつもテスト前は泣きついてきたな、と。

ヒーローになっても変わらない2人にゆうりは鼻で笑った。




「新しい家庭教師を探せ。


じゃあな」




ゆうりは無理矢理2人を引き剥がし、昇降口へと向かった。

下駄箱から靴を取ろうとすると、昔を思い出し、ぴたりと動きを止めた。




『ねえ、なによんでるの』




『え…?英語の本…』



『すっげー!

ぜんぶ、えいごだ!』




『てんさいじゃん』




小学一年生のときに1人で読書をしていた際、陽翔と涼太が話しかけてきたのが始まりだった。




『すげえ、なまえもかんじでかいてる』



『かっけー』




『そんなことないよ…』




『ねぇ、あそぼうよいっしょに』




『キャッチボールやろうよ!』




『え、いいの?』




『『うん!』』




———-

あんなの子供のときの話だ。



もう忘れよう。




「なにがまたキャッチボールに「付き合う」だよ」




涼太の言葉に苛立ちを覚える。

ずっとずっとそうだ。




「別にもう関係ねぇし」




ゆうりは校舎を振り返る事なく、久々に自宅へと向かった。




「ただいま…父さん…母さん…いる?」




知らない男の靴。



母さんも変わらないな。




そう思い、ひっそり自室へと向かおうとすると、リビングから知らない男が出てきた。




「あ、あー、君が息子くん?」




「…!?

そうですけど」




まさか話しかけられると思わなかった。

大体30代半ばくらいの男は、酒を飲んでいるのか、フラフラと足元はおぼつかなかった。




「へーえ、かわいいね」




ぞわっと全身の毛が逆立った気がした。




「気持ち悪りぃ」




そう言うと、男はムカついたのか、ゆうりの腹を思い切り殴った。




いきなり殴られ、口から血を吐いた。




「…!?」




驚いて動けないゆうりの腹を蹴り上げる男。




「ぐ…っ」




ふとよぎったのは陽翔の顔だった。




俺はバカだな、あの勉強できない2人より。




殴られ、意識が薄くなる中、ぼーっと考えるしかできなかった。

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