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第四十一話 模倣犯



『今日未明、○○市内で人体の一部とみられるものが発見されました。

警察によりますと、同様の事件は11月以降すでに6件確認されており、同一人物による連続事件の可能性が高いとみて捜査を進めています。』




遺体が見つかるのは、これが初めてだった。

陽翔たちが追っている組織は、決して遺体や証拠を残さない。




「……これは、模倣犯の可能性が高いな」




アザミは淡々と、しかし断定的にそう述べた。



「おそらく、どこかでこの事件を知り、

「自分もやってみたい」と考えた、

極めて稚拙で、身勝手な犯罪だ」





「なら、まずこの犯人をどうにかしないと!」



涼太はそうアザミに訴えた。



「そう…これは早急になんとかしないと…


でも、きっと…」



「?」



「いや、なんでもない。

この後も指導するから、覚悟しておきなさい」



「う…はい」




———



男には妹がいた。



特に仲がいいわけではない、再婚相手の血の繋がらない妹だった。


この上なく、生意気で口が悪かったが、顔がとてもかわいかった。




そんなある日、妹がこの世のものとは思えない、美しい男性に話しかけられ、車に乗り込むのを見かけた。



すごく、美しい人だった。



男は、同性などに興味はなかったが、あまりの美貌に心が惹かれた。

 

 


それから妹が帰ってくることはなかった。




うるさい義理の妹がいなくなったところで別に気にならなかった。



そんなある日。




また見かけたのだ。

あの美しい男性を。



今度はロングヘアのスタイルがいい女性と、少しふわふわした髪の小柄な少年と3人でいた。



——なんて絵になるんだろう。




この世のものとはいえない、美貌の持ち主たち。




妹もかわいい顔はしていたが、あの3人に比べたらカスだ。




気になる。



思わず、3人の後を尾行すると、綺麗な屋敷に入って行った。



完璧な3人組だ。



角に隠れ、屋敷を一瞥する。



すると、ウルフカットの男性が、門を開け中へと入って行った。




———ここは美しい者のみが入れる桃源郷なのだろうか




見たい、もっと。



中にはもっと美しい者たちがいるに違いない。




男はコソコソと屋敷の庭に侵入し、窓を覗く。



するとそこには、真っ白な美しい少女がおり、桃を食べていた。



やはりここは桃源郷なのだ。

生きているうちに見られるだなんて、思いもしなかった。



そんな少女が、桃と……あれは一体なんだ。








指………?




指だ、あれは。

人間の。




まさか、そんなわけないだろう、あんな美の化身のような少女が、人間の指など食すはずはない。

きっと、それを模したお菓子かなにかだ。




しかし、だとしたら噛むたびに、吹き出る血はなんなのだ。

ああ、次は舌、目玉、あれはなんだ細かく刻まれた内臓か。




恐ろしい光景なはずなのに、異様な興奮を覚えた。



まるで、麻薬のようだ。




それから男は見つからぬよう、この屋敷に出入りする者たちをストーキングし、段々なにをしている団体なのか、理解していった。




いつしか男は、この美しさに自分も近づきたいと思うようになり、少女を誘拐し、解体し、食し、死体を遺棄するようになった。




ずっとあの美しさを見ていたかったが、警察に捕まったらもう見れない。



男は泣く泣く、東京を捨てることにした。




「最近、滋賀県で死体遺棄が頻発してるわね…」



ラナがぼそっとつぶやいた。




「滋賀…」




陽翔はれいなのことを思い出した。




なぜ人はあそこまでなるのだろう。

そして、自身を慕っていた人間に、なぜあんな仕打ちができるのだろうか、と梅を思い出し、口元を抑えた。




「止めに行こうぜ」




涼太はしずかにそう言った。

しかし、力強いその言葉に、アザミは首を縦に振るしかできなかった。




————



「全くもって不快だ」




百合はそう言い捨て、持っていたグラスを壁に投げつけた。



グラスは粉々になり、百合は梅と笑みを浮かべた。




「教えてやろう」




猟奇的な2人の笑い声は屋敷に木霊し、幽霊さえも震え逃げ出す、恐ろしいものだった。

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