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第三十八話 おかえり



「あおい…」




電話に出ない。

恐らく、電源すら切っている。



陽翔はあおいが持っているはずのデバイスを取り出し見つめる。




あおいはいつも1人で頑張っている。

誰も味方などいない、自分は自分。

明るく話しかけてくれるが、陽翔の目にはそう映って見えた。




「舞台中くらいまかせてくれたらいいのに」




陽翔はあおいに「今どこなの」とメッセージを入れ、しゃがみこんだ。



「あ」



陽翔は見たことがある、と目の前を通りかかった男性を見て声をかけた。



「レオナルド」



「!?」



「レオナルド。あおい、どこか知らない」




「な、なんなの?君…

さっきから変なのばっかり…」




「変なの?

俺あおいと知り合いだよ」




ほら、とメッセージを隠しながら、知り合いだということを陽翔は主張した。



「だ、だとしてもいきなり声かけてこないでよ…」



「ごめんなさい」



「あおいちゃんなら、変な仮面の男と鬼ごっこするだとか…」



「仮面の男」



「もう関わりたくないよ…じゃあね」




「仮面の男…」





————


「逃げ足がはやいな」



ははは、馬鹿め不審者!

オレはダンスで鍛えてるんだ!






「はぁはぁ…しつっこいなぁ…!」




「追い詰めたぞ」



「は、はは、お前、身長高いし、殺陣できるなら、舞台俳優やりなよ…向いてるって、口調も芝居くさいし」



「ふん、そのような職には興味がない。

そろそろ変身をしたらどうだ」




仮面の男は剣をあおいの顔に向ける。



「いやぁ、あおいちゃん路地裏でピーンチ、誰か助けてぇ」



「ふざけているのか」



「ふざけてねーよ、田邊の前で空気読めないこと言いやがって」




「貴殿はずっとふざけているな。

水沼を思い出し、腹が立つ」



「誰だよ、それ…

オレはふざけてねーよ」



「そうだよ。

あおいは水沼のおっさんとは違う」




「!?陽翔…どうやって…」



「そんなに変身した相手がいいなら、俺でいいでしょ」




「貴殿が竜胆陽翔か。

水沼がえらく執着していた」



「そうなんだ」



陽翔は興味がなさそうに、変身をした。




「馬鹿、お前…!

もう22時なんだぞ!?

まだ17なんだから帰れよ!」



「言ったでしょ、1人にしないって」



「お前…」



「これは私とこの男との一対一の勝負だ。

邪魔しないでいただきたいものだな」



「あおいと俺たちは一つだから。

4人で1人だから」





「なるほど…

気に入ったぞ竜胆陽翔」




「どうも」




「水沼がなぜあれほど執着していたのか…

少しわかったぞ」



「あっそ」




陽翔はそう言い、踏み込む。

仮面の男は陽翔のわずかな動きを察知し、ほぼ同時に踏み込んだ。


陽翔は振り下ろされる剣を避け、その剣が近くにあったゴミ箱を真っ二つになったことに、冷や汗を流した。




間合いに入ってもすぐに距離を取り、確実に急所を狙ってくる男に陽翔は、こいつは戦闘慣れしていると感じた。


アザミに指南を受けそれなりに特訓は積んだが、こいつは異次元だ。




「す、すげぇ…」





あおいは、2人の動きがはやすぎて、全くついていけない。

きっと陽翔は変身しているから動体視力や身体能力が上がっているのだ。

だから順応している。




「陽翔…」



お前、こんな事できたのかよ…そうあおいは思った。



情けない。

オレはつい最近ヒーローになって舞台でメンタルをやられ、すぐにヒーローを降板した。


馬鹿か。

高校生が、オレのためにわざわざ駆けつけて命を張ってる。





「覚悟が、足りなかったよ」




「く…っ!」




「観念しろ。

今すぐ水沼と同じ場所へと葬ってやろう」



「あんなおっさんと同じ場所…やだ」




あおいは陽翔に突きつけられた剣を握り締めた。




「な…」




「あおい…!?」




「オレは田邊と一緒だったんだ。

あいつと同じで、自分の立場を理解してなかった。



オレの仲間に剣突きつけるなよ、不審者!」




あおいは剣を両手で握りしめ、仮面の男の腹を蹴り上げた。




「ぐ…っ」




「陽翔…もう一度…ヒーローに抜擢してくれる?」




「…おかえり」




「ヒーローあおいちゃん電撃復帰!」



あおいは陽翔から受け取ったデバイスで変身をする。



「まだ決めポーズ決めてないんだよな」




「明日みんなで考えよ」




「…ようやく変身したか」




先程の攻撃など痛くも痒くもなかったかのような仮面の男に、2人はグッと身構える。

すると、その時。




「ねぇ、なにしてるの?」




仮面の男はギクっとした。




「か、金鞠…」




「ねぇ………なんであおいちゃんが血、流してるの?」



「金鞠…落ち着け」




「お、お姉さん…?」



「巨乳のお姉さんだ」





あおいは素直すぎる陽翔を肘で突く。





蜜樹は仮面の男に三日月蹴りと呼ばれる肝臓を狙った蹴りをお見舞いした。



「が…っ」



「「えぇぇー!?」」




「か、金鞠…お、落ち着け…っ」




「黙って」



蜜樹は追い突きを何度も男に食らわせ、ひょいっと男を蜜樹は軽々と持ち上げた。




「すみませんでした」



蜜樹はそう言い、仮面の男を片手で担ぎ上げ去ってしまった。




「…オレさ」



「うん」



「お姉さんを救いたいって言ったけど、なんかいらなさそう」



「うん。そうかも。


でもあおいが必要な人はもっとたくさんいるから」




「そうね…」




「陽翔…ただいま。



「うん。おかえり。

あおいならすぐ戻ると思ってた」




———



「ぐ…つぅ…!」




「反省してよね。

あおいちゃんに手ェ出したら今度は殺すから」




「金鞠…!

私が女に手を出せないのを知ってて…」



「黙って」



「…」



「いい?わかった?」




「く…」



仮面の男は涙目になり、蜜樹から目を背ける事しかできなかった。

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