表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/51

第二十話 実は…


「本当にいいんだね」



「…はい」



ゆうりは白衣の男にデバイスを手渡す。



「手が震えてるよ」



「気のせいです」




ゆうりはそう言い残し、部屋を出て、水槽のカニを眺めた。

ぷくぷくとなにか言いたげなカニに、ゆうりは「なんだよ」と問いかける。



カニは最初からこの水槽にいたんだろうか。

それとも、広い海から連れてこられたのか、はたまたどこかで買ってきたのか。

どちらにせよ、カニたちはもうどこにも行けないし、この水槽の中で暮らしていくしかないのだ。



「…お前らも大変だな」



ゆうりはそう呟いて、天井を見上げた。



「金鞠、少年たちのことはどうなっている」



「は、はい。

今は、様子を見てます…」



「そうか。

…それにしても今日もかわいい。

かわいい私の蜜樹」



蜜樹はざらりとした百合の視線にビクリと肩を振るわせ、喉を鳴らせた。

笑わなきゃ、この人を、喜ばせるために。



あたしはまだお気に入り、大丈夫。




——————




「疲れた」




蜜樹はため息をつき、スマホであおいのSNSをチェックする。

そうすると緊張の糸がほぐれ、高揚感に包まれてゆく。




「今日も尊い尊い尊いです…っ」




「はぁ…あおいちゃんほどかわいい女の子いないし…まだ17歳なのに、こんな完成されてる子いないよ…こんな衣装、あたしが着たらただの機動戦士だよ……貢がせていただく(敬具)」



「こんな女の子になりたいなぁ…」



—————




都内某所。




アイドルグループ、Peridotの握手会が今しがた終了したところだった。

グループメンバーは適当な挨拶を交わし、個々に解散してゆく。




「お疲れ様でーす」



Peridotのメンバーのあおいは、そそくさと会場をあとにし、電車を乗り継ぎ帰路に着く。

自宅に到着し、チョーカーを丁寧に外し、シャワーを浴びる。



冷蔵庫から缶ジュースを取り出して、一気飲みをした瞬間、ドッと本音が溢れ出た。




「あ〜〜〜酒呑てぇ〜〜〜」



「あ〜かわいい女の子抱きてぇ〜」



あおいは17歳でも女の子でもない。

21歳成人男性だ。




「バレたらおしまいだから、お酒も飲んでないし、女の子とも付き合えないし………


かわいい女の子といちゃいちゃしたいよーえーん」



「こんな缶ジュースで満足できて偉いオレ!

今日も頑張った………」



あおいは缶をゴミ箱に捨て、リンパマッサージをし横になる。



「おやすみ、オレ」




あおいは自分を労り、夢の世界へと落ちていった。



—————



「ゆうりくん」



「…はい」



白衣の男に手招きされ、近づくと耳元で「仕事をあたえます」と、囁かれた。




「内容は…」



「…!」



「大丈夫かな?」



「………はい」




—————-


「美容外科の広告塔?

……オレ、整形してないけど」



「でもいい案件だし

美容医療受け放題でいいってさ。

ここ最近若い子に人気だし、仕事は選ばないで、とりあえず引き受けようよ」



あおいのマネージャーは、あおいが男だと知る数少ない内の1人だ。

仕事を選ぶ段階にまだないだろ、と厳しい意見をあおいにぶつける。




「そりゃそーだけど…

その代わり、整形の案件は受けないよ」



「多分大丈夫、そう伝える」




「とりあえず院で撮影できるかって。

俺はこの日、別のメンバーのドラマ案件に付き添いしなきゃだから、1人でいける?」



「りょ。それくらい大丈夫よ」



「ありがとう、じゃあ失礼のないように」



いいなぁ、ドラマ。

俺もそっちがよかった。

水着のシーンがあったから、ダメだったんだけどさ。



————-



月に2回、蜜樹は肌管理のため、白衣の男の美容外科に通っている。

無料でできるという謎の福利厚生は使わねば損だ。



スマホをいじりながら入ろうと、ドアに手をかけると同じタイミングで手が触れ合った。



「あ、すみませ…え?」



「すみません、急いでて」




蜜樹の頭の中に

Now loading…と文字が表示される。



な、な、なんであおいちゃんがここにいるのー!!???



お先にどうぞとばかりにドアを開けてくれているあおいに、小さな声で、ありがとうございますと言い、サッと入り、椅子に腰掛ける。



「あおいさん」



聞き慣れた声に、蜜樹は顔をあげる。

ゆうりだ。



「どうぞ、こちらへ…」



ゆうりは、そう言い、あおいを奥の部屋に案内した。



ま、まさか………あおいちゃんが次の標的って…コト…!?



ど、どうするのあたし…———!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ