表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/49

第十七話 無慈悲


陽翔は、平和だと感じていた。

でも今この瞬間も、誰かが犠牲になっていると思うと、いてもたってもいられなかった。


放課後、自宅に到着しソファに腰掛けると親父から電話が入った。




『陽翔。お前に頼みたい仕事がある』



「!なに?」



『滋賀県大津市に、いなくなったと思われていた女性がいることがわかった。


この女性に接触し、保護することが役目だ』




「…わかった」



『ラナがサポートする。

2人で頑張ってほしい』




そう言い、勝は通話を切った。




陽翔は冷蔵庫から牛乳を取り出して、一気にぐいっと飲み干した。




「…よし」





後日、滋賀県大津市に到着した。



今回は県外ということで、アザミが監修、涼太は温泉で日々の疲れを癒すためについてきた。

主軸はラナと陽翔だ。



————-


「私、あなたのために頑張ります。

だから、私のこと、好きになって?」



「わがままな子ですねぇ」



普段は白衣の中にチャイナを着ている男だったが、今日ばかりは白い着物を少し着崩している。



そんな男の太ももに、女の子は縋った。



「お願い、好きなの」



「ありがとうございます」



「いじわる」



「ありがとうございます」



男は顔色ひとつ変えず、そう答えた。



————


宿に荷物を置き、街へとラナと陽翔は繰り出された。



「いい?雄琴のこのお店に、被害者女の子がいるの。

この子を救出できれば、なにか情報を選ばれるはずよ」



「あい。でもどうやって」



「そうね………陽翔は173センチでまぁまぁ高いし…仕事終わりの尾行を一緒にしましょう。

どの女の子かは、私が潜入して探すから、わかり次第いうわ」



「…あい」



「じゃあまたあとで」




—————



ラナは待機所にいる女性をぐるりと見渡し、写真にいた女性を見つけた。

綺麗めな女性でありながら、どこか虚げな表情を浮かべていた。



「あの…私、まだここ入ってわからなくて。

よかったら教えてくれますか」



「……はい」



彼女はスマホから気だるげそうに頭を上げ、すぐまたスマホに目を向けた。


彼女が見ていた写真…


白衣の男だった。



「ねぇ、その人…」



「え、知ってるの」




ギッときつい目でラナを睨む。

その女はラナの手を力強く引っ張り、店に早退しますと告げ、路地裏に連れ込む。



「なにするの」



「あんたこの人のなんなの」



「……私は警察です。

この男を追っている者です。」



ラナは特殊部隊である身分証を提示すると、黙ってしまった。




「あの人を逮捕するの?」



「ええ」



「お願いやめて、私からこの人を奪わないで!」



店前で待機していた陽翔はなんだかおかしいと思い、声をかけた




「ラナ、どうした」



「陽翔…

この人が以前から行方不明だった、高橋れいなさんよ」



「無事でなにより」



「さ、あなたのこと教えて?ひどいこと、なにかされた?」



ラナは子供をあやすように、高橋れいなの背中をなでる。

するとれいなも落ち着いたのか、鼻をスンッと鳴らした。




「私たちはあなたを守りたいの」



「…私は」



—————


上京したばかりのとき、バイトにおわれ、当時付き合ってた彼氏に浮気されて。


そんなとき、あの白衣の方が私のことを、美しいって。



お姫様のように扱ってくれたの。



彼は毎日綺麗だ、美しいって言ってくれたの。

そんな彼が、なにか悩んでいて。


新しい病院を開院するのに、資金が足りないんだって。


だから私決めたの。


彼のために頑張って、彼のほんとのお姫様になりたいって。



だからこうして転々として、仕事してるの。



彼はなんにも悪くない。



私が好きでやってるの。


—————-


「………」



陽翔はある疑問が浮かんだ。


食べない、場合もあるのかと。

一体それはどんな基準なんだろうか。



「ねぇ、君は」



陽翔がれいなに声をかけようとすると、



ドスっ



と、れいなの額にメスが深く刺さっていた。




「ペラペラとおしゃべりするのは美しくないですよ」



カランカランと下駄の音を響かせ、メスをさらにれいなの顔に投げる、男。




「やめなさい!」



ラナが身をかがめ、男の腹を殴ろうとしたが、男は交わし、首元に手刀を落とす。



「か…っ!」



「ラナ!」



「陽翔くん。ラナちゃん。

ここで会ったのも、なにかのご縁。

一緒に温泉でも入りませんか」



「お前…、こんなに慕っていた女の子になんでこんなこと!」



「その子は私を慕ってません。

王子様である私に囚われていただけですよ」



「私は、美しくないものは嫌い。

それだけです。



では温泉を楽しんできます」



「待て!」




追いかけようとする陽翔の足に、無数のメスが顔に刺さったれいながしがみつき、陽翔の追跡を阻止した。



「だ…め………私……だけ…の」



そう言って、れいなは事切れた。



「……なんなんだよ、この組織。

なにが、目的なんだよ…」



陽翔は拳握りしめ、頭を抱えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ