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104話 非常に美味でした




真っ白なまるで雪の女王のような少女にマリアは睨まれたじろぐ。




「子ども…?」




こんな少女を紹介され、どうしろというのだろうか。





『こいつの歳は?』




『22だそうです』





梅と少女がなにやら話しているが、マリアはさっぱりわからなかった。

けれど、梅の一言で少女はふいっと自分に興味をなくしたことはわかった。




「この人は、百合というんです」




「はぁ…

妹は…?」




正直な話、この子はどうでもいいから妹に会わせてほしい。





「あの…妹は…?

えっと………

I want to see my sister…?」





もしかしたら、妹という単語を知らなかったのかもしれない。

曖昧に伝わっていたのかもしれない。

英語だと通じるだろうか。





「…?

はい、妹さんならいますよ」




「えっと……

この子は妹じゃなくて…」





なぜあんなに意思疎通できていたのに、今こんなに通じないのだろうか。




もしかして、今まで話がずれていただけで妹は本当は助かっていなかったのでは…と不安が徐々に強くなってきた。




「失礼します」




それなら今すぐ警察に行かなくては。

大使館にとりあえず向かえばいいだろうか。

きっと日本語がきちんと通じるはず。





「どうしようどうしよう…」




不安だ、1人では。

どうして顔が崩壊してる間なにもしなかったんだろう。

姉さん、お願い助けて。




「姉さん…妹に会いたい…」





「大丈夫ですか?」




「あの…っ、私を大使館に連れて行ってください…お願いします…」




「大使館?

なにをするんですか?」




「妹に、姉さんに会いたい…お願いします…なんでもしますから…」




「え?なんでも?」




「はい、だからどうか…」




「でしたら私の仕事、手伝ってもらえませんか?」




「え、し、仕事、ですか…」





もしかして、看護師とかになってほしいのだろうか。





「えっと…私にできることなら………」





にこっと梅は笑みを浮かべた。




「なにができますか?」




「え…と……




「法学部を出てるので…法律には詳しいです…」




「法学部?」




「日本の法律学んでました。

将来は検察官か検視官になりたくて…」




「検視!

素晴らしい」




「でも、だとしたらなぜ法医学部に行かなかったんです」




「えっと…実は落ちちゃって…」




「なるほど。

では、私が教えましょう」




「えっ」




「私は医学部出てるんですよ、貴方は目標があり素晴らしいですね」




「あ、ありがとうございます…」




なぜここまでしてくれるのだろうか。

しかし待てよ、私は就労ビザを取っていない。

いいのだろうか。

いやしかし…ここまでしてもらって給料まで受け取るのは、図々しいのかも。

顔の再建治療だって無料な上に、衣食住だって無料だったのだ。




正直グレーゾーンではあるが、ここまでしてもらってそんなことは言えない。





「こんなしてもらっていいのでしょうか…?

技術まで教えてくれるなんて…」




「大丈夫ですよ」




「私、なんでもします。

妹に会えるなら…あなたに恩返しもしたいし…」




「………もう、妹さんには会ってるんですけどね」




「はい?」




「ふふ」





百合はその様子をジュースを飲みながら、声を上げて笑った。




「…百合ちゃん、なんで笑ったの…?」




『馬鹿な女』




「?」




『お前の妹、すごく美しくて大満足でした。

血も美味しいし、こんな馬鹿な女によく付き合えるわね梅』





「…なんて…?」






『梅にまで馬鹿にされて!

妹の血をおかわりしに行くわ。

こんな楽しいことないわ。

せいぜいもう存在しない妹のために、働くことね!


あー美味しかった』





「…??

あの、私、役に立ちたいので、言語も勉強します」




「努力家は好きですよ」




妹に会うため、梅の役に立てるよう頑張りたい。

まずは言語を習得し、きちんと意思疎通できるようにしなくては。

妹をきちんと探すためにも。





「住めば都、てやつですね」




「よく知ってますね」



「日本にいる子が教えてくれたんです、今なにしてますかね」




今日通話しちゃお!と、梅は楽しそうに語った。




「とにかく、今日はまだ休んでください。

まだあなたはダウンタイムが明けてないので」




「で、でも大使館に…」




「まだ感染症を引き起こす可能性が高い期間です。

とにかく安静に興奮しすぎないように」




「わ、わかりました」




医者が言うのだから、そうなのだろう。

確かに今大使館に行って血が昇ってはいけない。




「本当に私…なんでもします。

梅…さんの、ために」




「はい」




危うく様付けで呼ぶところだった。

けれどそれくらい梅が神様に見えた。

少しあやしげに笑う梅にドキっとした。




その様子を見ていつまでも百合は高笑いしていた。

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