表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/111

102話 ミヤコの過去





「姉さんも行かない?」




「仕事があるから…」




アザミは2人で行ってきなさいと笑った。

大学の卒業旅行に長期休みを使って行くつもりだった。

友達とは時間がなかなか合わず、妹が海外行ってみたいと言っていたので姉妹で行くのも悪くないか、と思った。



三姉妹で仲はよく、姉のことも妹のことも大好きだった。

3人で行けないのは残念だったけれど、またみんなで計画を練って行けばいいや、とこの時は考えていた。





「最近は物騒だから、気をつけてね」




父と母に言われ、自分たちが事件や事故になんて巻き込まれるわけない、自分たちは大丈夫だ。

家族全員警察家系で育ったため、警戒心だけは誰よりも強いと自負していた。





海外の空港に到着し、日本とは違う言語、光景、飛び交う会話がまるで違い、それだけでもかなりテンションが上がった。




「お姉ちゃん、ストーリー撮って!着きました!ってやつ」



「いいじゃない、わざわざそんなの」




妹は現代っ子で、なんでもかんでも写真や動画に収め逐一SNSに載せた。




「現在地なんて載せて、危ないわよ!」




「別に海外なんだから、私の見てる人わざわざ来ないもん」





まぁ確かにそれもそうか、と思い、スマホで妹を撮る。




妹のストーリーを撮っていると、妹が知らない男性に肩を掴まれた。




「〜〜〜!」




海外の言葉でなにを言っているかわからない。

もしかして、勝手に撮るな!と言っているのだろうか。




「sorry」




マリアは妹と体躯の良い男性との間に割って入り、目の前で動画を削除した。





しかし、相手の男性はマリアの腕を掴みなにかを言っている。

マリアはスマホの翻訳機を使おうとするが、早口でなにを言っているかスマホも判断できず、困惑した。




「お姉ちゃん、どうしよう…」




「えーと…空港の人呼びに行きましょう。


Excuse me」




空港の人に声をかけるが、無視されてしまった。





男性の友人なのだろうか、2人やってきてなにかを捲し立てるように話している。

マリアと妹の腕を引っ張り、空港の入り口に停めていた車に押し込まれた。

力が強すぎて、振り払うことはできなかった。





「え?え?お姉ちゃんなに、やばくない、これ」




マリアは頭が真っ白だった。




「大丈夫、大丈夫だから…」




マリアは妹の手を掴んだ。




マリアは窓を開け、help!と叫んだ。

男は妹にナイフを突きつけ、恐らく黙れと言った。

マリアはその様子を見て、静かに窓を閉じるしかなかった。





きっと伝わらないと思ったが、なんとか妹だけは見逃してほしい、妹だけは日本に返してほしい。

誰にも言わせませんから。とマリアは頭を下げて必死に頼み込んだ。




案の定伝わるわけもなかった。




どうしてこんなことに…妹は恐怖で固まっている。




「どうか、妹だけは見逃して」




そんな言葉も虚しく、頭に袋を被せられ、どこかに運ばれ、気づいたら値段がついていた。




妹や私を売るつもりなんだ。

この人たちは…




よくも、妹をこんな価値の低い値段をつけたな。

こんなものでよく私の妹を…




「こんな値段でよくも…!」




この子をそんな値段で売らせない。

そんなものはつけさせない。

私の妹を侮辱するな!


世界で一番大切な妹をよくも、売ろうだのと思ったな!




そう主張をし、絶対に私たちを売らせない。

妹だけは無事に帰したい。

姉さん、お願い、力をかして。

私は妹を家に帰したいの。




そう抗議をしていると、刺青が入った男に殴られた。





「痛い!」




やめて!痛い!と叫んでも何回も顔を殴られ、腫れ上がってしまった。

きっと、鼻は折れてる。





妹だけは助けて…と亡霊のようにつぶやいた。

耳鳴りが止まらず、妹の泣き叫ぶ声を聞き、気絶するわけにはいかない、と、妹を売らないで…と言い続けた。




意識が遠のく中、聞こえたのは耳障りがいい男性の声だった。




『貴方は美しい姉妹愛をお持ちですね』




なにを言っているかわからない。

そう言われ、気を失ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ