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第九十九話 我欲



「今からこの醜い子、売っちゃうので」




醜い?

え、みもが?

うちのメンバーは他の追随を許さないくらいかわいいのに?





一人一人個性もあってかわいいのに。

まだ中学生の子に醜いだなんて言ったら、どんな影響を及ぼすかわかっていないのだろうか。





あおいはそう思い、デバイスを握りしめた。





「醜い…」




「あ、もう麻酔かけますので」




「やめろ!」




「日向くん、こうきくんとお茶しててください」




「お茶かぁ…

今お茶菓子なにがあったかな…」




「ふざけてるのか…?!」




こうきがデバイスを構えると、ブレーカーが落ち、部屋が真っ暗になった。




「はぁ………。

日向くん、ブレーカーあげてきてください」




「ついでにお茶入れてくるね」




「いらないよ…!」




「全く…

これじゃ、こうきくんのかわいい顔も見れない…」




「こ、こっち来るな!」





あ、あの女の子は…!?と、こうきは暗闇の中寝台に目を向けると大人しくしている。

デバイスのライトを照らし、寝台に近づく。





「あれ……梅は…」




「後ろにいますけど」




「ひぇ!!!」






こうきは驚き、デバイスを落としてしまった。

梅はデバイスを蹴り、滑ってなにかに当たる音がした。




「く…」




デバイスの光を失い、梅がどこにいるかわからない。





こうきは数歩下がると壁に当たった。

フッと耳に風が当たり、悲鳴をあげた。





「な、な、なんで…」




気配もなく、近寄って来れるんだ…。




そう言うと、梅はこんな面白いことはないと言うように笑い声を上げた。





「あ、あお…」




あおいの名前を叫ぼうとした瞬間、パッと部屋の明かりが戻った。




「あ、あ…」




あおいは変身しており、寝台の上に立っていた。




「………

あなた、何者です…!?」




「名乗るほどの者じゃねーよ。

…って一回やりたかった!

聞いてくれてありがとな!」




「やっぱりここは聞くのが定石かなと…」




「わかってんじゃーん!」




「な、なごむなー!」




「おいお前!

さっきこいつに醜いって言ったな!?」




「だから?」




「ひどいこと言った上に、なに売ろうとしてんだ!

こいつがいなくなったら困るんだよ!」




「え、私がいなくなったら、困る…?」




「私は困りません。

だって誰かわからないですし」




「はぁ?」




「だって、私この子知らないですよ。

かろうじてグループ名は聞いたことありますけど。


大衆なんてみんなそんなものでしょ?」




「世間のアイドルへのイメージなんてそんなものでしょ。

個として見るのなんて、グループが大成してからでは?」




「なにが言いたいんだ」




「同じグループで誰か1人が有名になったら、グループも売れる。

その構造はわかります。

素人の私でもね。



我欲のみ強い、そんな女の子、グループにとって癌なのでは?」




「我欲…」




みもはそうつぶやいた。




「同じグループ内での醜い争いを勝手に見せられ、こちらは大変不快です。」





「我欲がないと売れるわけねぇだろ」




「個性というものは、噛めば噛むだけ深みを味わえるものですよ。

同じグループ内での争い、大変不毛では?



人間は切磋琢磨し、素晴らしいチームだとわかった瞬間、個を見るもの。



この子がいなければもっと上にのし上がれたかもなのに」




「こいつがいるから、みんな負けねーように頑張れてんだよ!

こいつが今のグループを育てたんだよ」




「私が…」




「大丈夫?」





「あぁ…はい」




こうきは隙を見計らい、みもを固定していたベルトを外す。




「まぁ、いいですよ。

そんな子。

いらないです」




「ふざけんなよ!」




あおいが殴りかかるが、梅はつまらなさそうに避けた。




「日向くんはお茶まだですかねぇ」





「あれ、なにやってるの」




日向は部屋に入るなり、きょとんとする。




「日向くん、お茶は?」




「なんかなんもなかった」





「ふざけんなよ、お前ら…っ」




「あれ?」




日向はこうきのデバイスを拾い、片手でつまんでふーん、と眺めた。




「木陰…」




「…………?

え、君こうきくん…!?」




いっつも仮面つけてるからわかんなかった!と日向は薄ら笑いを浮かべた。




「それを…返して…」




「うーん、梅くんどうしたらいい?」



「別にどちらでも」




「じゃあ、捨てちゃおっと」




「な…っ」





日向は廊下にデバイスを投げる。




「こうきくんと戦うなんて、死にに行くようなものだし…僕はまだ死ねないから」




「木陰…っ、」




日向は壁に足をかけ、こうきが通れないようにする。




「木陰…どいてくれ」




「どいたら減給だから…ごめんね」




「なんなんだよ、お前ら揃いも揃ってバカにして…!」




「だって、私も日向くんも、あなたには興味ないですし」




やっぱりこうきくんか陽翔くんとかが相手じゃないと…と、梅はあくびを抑えた。




「オレやみもに興味ないなら、かき乱すなよ!」




あおいは殴りかかるが、その腕を梅に捕まれ、メスを刺された。




「あお…っ!」




こうきがあおいに手を伸ばすが、日向に羽交締めにされる。




「木陰、離せっ」




「減給はいやだって、言ったでしょ?」




あおいの服にじわりと血が滲む。

梅は容赦なく、メスをあおいの腕から抜いた。




「おい…!

マイク持てなくなったら、どうすんだ…!」




「さぁ…」




なんとかして、日向の拘束を解かねば。

こうきはどうする、と考えを巡らせた。




「いたっ…?!」





日向の頭になにかがぶつかり、日向はこうきの拘束を解いた。

みもの足元になにかが落ち、みもは拾い上げる。




「スマホ…?」




「ぼ、僕のデバイスだ…誰が…」




「ごめん、ミスった」




「は…」




「「陽翔!」」





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