未来に向けて
「レオン。話とはなんだ?」
「……王位継承権を放棄します。」
これを伝えるために、僕は父上と話す約束を取り付けた。王位継承権――これがあれば将来国王となることができるだろう。でも、僕には――。
「なぜだ?」
「……僕には、できません。リーダーシップがないし、責任感も足りません。――何より、1度国に背いた人物が持ってるべきではないと思うのです。」
……立場を捨てた人間に、国王なんて務まるはずがない。弱くて、すぐ逃げるような人ができる仕事では無いと思う。
……それに、僕より弟のルシアンの方がよっぽど向いている。長子相続制のこの国では、僕が継承権を放棄しない限りルシアンは国王にはなれない。器があるのに、生まれた時から越えられない壁があるのは悲しいことだ。
「そうか。」
「……。止めないのですか?」
気づけば僕は、そう聞き返していた。
「お前が決めたことであろう。――止めて欲しいのか?」
「…………。」
僕は何も答えれなかった。自分は、止めて欲しいのだろうか……。自分には相応しくない、そう思っているけど、心のどこかで父に認めて欲しい気持ちがあったのかもしれない。
「後悔はしないか?」
「はい。」
後悔なんてしない。後悔するような選択はもうしないと決めたのだから。
「……では、辺境伯にならないか?」
「辺境伯……?」
辺境伯とは、領地を持つ伯爵位のことだ。侯爵家より立場は低いが、隣国との境界線を守る責任が必要な地位――。
「先日の政変でリーベル領の辺境伯が不在でな。やってみないか?」
「……良いのですか?」
辺境伯でさえ僕には務まらない気がする。――そのくらい、僕は自信を無くしかけていた。
「辺境伯として一から領地の平民と関係を作るのは大変だろう。王家に残ることもできる。どうするのか、自分で選べ。」
「……僕は、辺境伯になります。」
できるか、なんて分からない。……でも、それでもやってみたいと思えた。
「……応援してるぞ。」
「――努力します。」
こんな僕にでも、チャンスをくれた父は優しい。その優しさに僕は応えれる――?正直に言うと、自信がない。上手くやれるなんて思えないし、途中で逃げたくなってしまうかもしれない。
でも、1人じゃない。莉亜がいる。彼女がいたらきっと大丈夫。
僕は自分にそう言い聞かせた。




