久々の再会
扉を開けると、ベッドの端に彼女はいた。久々に見た、すみれ色の髪の美しい女性。扉が閉まる音がした、次の瞬間だった。
「優真くん!」
名前を呼ばれたと思ったら、視界が一気に近づいて――
「っ、え?」
どん、と胸に衝撃。気づいた時には、莉亜が思いきり抱きついてきていた。
「……っ、ちょ……!」
腕が回る。逃げ場なんてない。勢いそのまま、ぎゅーっと強く抱きしめられた。
「遅いよ!」
顔を上げないまま、はっきりした声。
「……ほんとに、遅いんだから。」
……胸が、ずしっと重くなった。
喉の奥が詰まって、言葉が出てこない。ああ、そうだよね。遅いよね。心配させたよね。ごめん、僕が不甲斐ないせいで。僕、何やってたんだろう。もっと早く――
「……ごめ」
「ちがうちがう!」
言い終わる前に、慌てた声が被さった。莉亜が顔を上げて、僕を見上げる。
「今の、冗談!冗談だから!」
ぱたぱたと胸を叩く。
「そんな反省されると思わなかったんだけど!?私、怒ってないからね!」
「……え。」
「優真くんのこと責めるわけないよ。私のために陛下に言ってくれたんでしょ?」
少し焦ったように、でも笑いながら。
「ありがとう、優真くん。」
その言葉に、胸の奥がじんわり熱くなる。
「……うん。」
そう返すと、莉亜はまた腕に力を込めた。
「だからこれは、おかえりのぎゅーだよ。会えなかった分、長めだから覚悟してね!」
顔を胸に押しつけて、小さく続ける。
「久しぶり、優真くん。」
今度は、逃げなかった。そっと、背中に手を回して、莉亜の温もりを感じながら。
「……ただいま。」
莉亜が、満足そうに小さく笑った。その笑顔が、僕があれからずっと望んでいたもので。今はそれがこんなに身近にある。その事実が、どうしようもなく嬉しい。
「……優真くん、優真くん?」
「あ、ごめん。」
「どうしたの、?」
「幸せだなあって。」
「ふふっ、何それ。……これでもっ?」
「……重いよ、莉亜。」
「淑女に重いって言ったな!?私は重くない!」
「ははっ。そうだね。莉亜は軽いよ。」
「うんうん、よろしい、許そう。」
「閻魔様みたい。」
「閻魔様!?むぅ。そこは神様とかじゃない~?」
「莉亜は貫禄ないから似合わないよ。」
「貫禄!!じゃあ優真くんやってみて!」
「えー。……わしは、やおよろずの神だ……。」
「ふふっ。優真くんも下手だよ。」
何気ない会話。でも、これこそが僕の宝物だ。




