私を信じて《セレスティア》
「レオン様、会いたかったです。」
レオン様に会った瞬間、自分の中の想いが溢れてきた。ああ、やっぱり私はレオン様が大好きだ。
……でも、レオン様は返事をすることなく言った。
「あの時、自分で毒を盛ったんでしょ?」
「…………?」
だめ、レオン様には知られたくない。あなたに知られたら、失望されたら、私はどうすればいいの?返答に困って、私は分からない素振りをした。
「卒業パーティーのとき。忘れたなんて言わないでよ。自分で飲んでリアナに罪を押しつけた。そうだよね?」
「……違います。」
なんで笑顔じゃないの…?いつもみたいに笑ってよ。そんな顔じゃ怖いよ。動揺しちゃだめってわかってるけど、震えた声で否定するだけで精一杯だった。
「レオン様は、まだあの方を庇うおつもりなのですか?」
庇うために私にかまをかけているんなら、まだ大丈夫。もうレオン様とリアナ様が会うことは無いから、私がレオン様を振り向かせればいいだけ。そうしたら、私はやってないって信じてくれるよ。私はレオン様がリアナ様の束縛を逃れるまで、あなたのそばにいます。その後も、ずっとあなたを愛し続けます。だから、私を信じてね。
でも、レオン様の洗脳は、思ったより深刻だったみたい。
「庇うって何。事実を訴えてるだけだよ。」
「…………。」
……そんなに、それほどリアナ様に苦しめられているのですね。大丈夫です、私は時間が経っても諦めません。だから、待っててください。
「……レオン様は諦めないのですね。」
少しでも、自分の思考のおかしさに気づいてくれればいいと思って言った。けれど、レオン様が返事を返すことはなかった。考え事をしてそうな、難しい顔。もちろんかっこいいのだけど、なんだか胸がざわざわした。
そして、しばらく経って彼が言ったのは――
「……帰って。」
「…………?」
一瞬、意味がわからなかった。聞き間違ったかな、耳が悪くなっちゃったのかも。
……でも、どうやら聞き間違いではなかったらしい。
「帰ってよ。僕はもう君と話すことは無いよ。君の話も聞きたくないし。」
「……っ。」
胸が苦しい。なんで……?レオン様に完全に拒絶されたのは初めてだった。今日は、笑顔も見せてくれないし、優しい眼差しすらない。冷たい、冷たい、氷柱みたいな鋭い視線。私をいじめていた時のリアナ様を見るような――。私はレオン様の敵ではありません。あなたを洗脳から解こうとしているのです。……苦しいけど、今は拒絶されても構いません。いつか、私を信じてよかったと思う日が来ますから。
あれから、レオン様のところには行けてない。行けなかった。また拒絶されるのが怖い。レオン様を救えるのは私しかいないとわかっているのですけど……。
「セレスティア様。国王陛下が、セレスティア様をお呼びだそうです。」
「陛下が……?ありがとう、ミレイユ。」
陛下が私に何の用なのでしょう?
――!レオン様の処罰かしら……。私は、レオン様についていきたい。たとえ、隣国にいったり平民になったとしても。レオン様のそばにいたい。だって私はレオン様の婚約者なのだから。
この時の私は、決して想像していなかった。私の記憶を見られて罪を暴かれることになるなんて。




