私のせいで《リアナ》
「莉亜!危ない!!」
…………!優真くんの声で、騎士が私に向かって攻撃魔法の準備をしているのがわかった。――私、もう無理かも。今から避けたところで間に合わない。ごめんなさい、優真くん。あなたは私の事命懸けで守ってくれたのに。私はあなたの為に何も出来なかった。ごめん、優真くんのこと、大好きだったよ――。
私は魔法が来るのを覚悟していたのに、いくら待っても痛みがやってくることはなかった。――優真くんが助けてくれたの?そんな都合のいいことあるわけないと思っても、つい期待をしてしまう。恐る恐る目を開けると、私の目の前で優真くんが倒れていた。
「優真くん……?」
なんで……?なんで優真くんが倒れているの……?幻覚かな……?幻覚だよね……?そう思っても私の視界が変わることはなかった。私を助けてくれたの?そんな……優真くんが死んだら意味ないよ。当の本人は魔法避けられないって諦めてたのに。それでも助けようとするなんて……。そうだよね、優真くんはそういう人だった。私のこと、いつも守ってくれる。ごめん、私のせいで……。
優真くんの近くにいくと、まだ息をしているのがわかった。――まだ間に合う。私は優真くんに治癒魔法をかけ続けた。お願い、また笑ってよ。優真くんの笑顔がみたいな。お願いだから……。また、大好きって言って。一緒に帝国行くって約束したじゃん。叶えてよ。ねえ、お願い……。お願い…………。私は魔法をかけ続けた。――自分の魔力が途切れるまで。魔力切れで多分倒れるよね。騎士団に殺されちゃうかな?でも、最期に優真くんにほんのちょっとだけど恩返しできたならそれで十分。だから優真くん、私の分も幸せに生きてね。
―――――――――――――――――――――――――
激しく揺れる馬車の中で、私は目が覚めた。
「……あれ?生きてる?」
「……起きたか。」
大人の男性の無愛想な声――騎士だ。服装は前のままだし、手首には拘束の魔術具と手錠が2重でつけられていたけど。確かに私は生きていた。
「……なんで殺さなかったんですか?」
「お前が聖女だったからだ。」
あ、そっか。治癒魔法使った時に騎士達に見られたんだ。聖女だってこと隠してたもんね。
「聖女であろうと罪人は罪人だ。殺される前に治癒魔法使って命乞いするなんてさすがだな、悪女さん。」
私、嫌われてるね。そりゃそうだろうけど。断罪される寸前だったもんね。……優真くんがいたら助けてくれるんだけど。……!優真くんは?
「騎士さん。レオン様の様子は良くなりましたか?」
「まだ意識は戻ってない。城に着く頃には戻るよ。」
「そうですか……。」
なんで私が先に目覚めちゃったんだろ。私、優真くんに迷惑かけてばっかりだね。ごめん、ごめんね、優真くん。私、何も出来なかった。優真くんに頼ってばっかだったよ。ごめんね。
いつの間にか涙が溢れてきた。今までの思いが全部出ちゃったのかも。今日くらい、いいよね――。
「人前で泣くなんてはしたない、それでも公爵令嬢かよ。」
「…………。」
そんな身分、捨てれるもんなら捨てたいよ、って思ったけど、まだ魔力が回復してなくて身体がだるい私に、嫌味に言い返す気力なんて残ってなかった。




