重すぎる罪悪感
小屋の周りの見回りをしていると、気づいたら朝日が昇っていた。森は霧に包まれていて、騎士がいても至近距離じゃないと気づかないだろう。まだ、気は抜けない――。そう思っていたら、小屋の扉が軋む音がした。
「……優真くん、起きてたの?」
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫。でも、優真くんはちゃんと寝れた?」
寝てないよ、なんて言ったら莉亜に無駄な心配をさせてしまう。
「うん。寝れたよ。」
そう微笑みかけたら、彼女は笑って応えてくれる。ごめんね、莉亜。嘘ついちゃって。でも、正直に言ったら莉亜は自分のせいにするでしょ?僕が悪いのに。そうはしたくない。
「じゃあ、朝食べたら東に行こう。」
「うん。……本当に行くの?」
「……行きたくない?」
「ううん、でも……。今優真くんが私を殺して王様のところにいけば、きっと罪はそこまで重くならないよ。」
「……何言ってるの、莉亜?」
意味がわからないことを言っている莉亜の顔はいつも以上に真剣で、そんな莉亜の顔は見たくなかった。
「王国に戻ってセレスティアと結婚して、王様になってよ。私、地獄から見てるから。優真くんが幸せなとこ見たら私も幸せになれるよ?」
「違うよ、そんな未来幸せじゃない。」
「……?なんで、?どうしてそんなこと言うの?」
「莉亜がいなかったら幸せもないよ。」
莉亜がいないなんて無理。僕は弱いから一人で生きるなんて無理だよ?どうしてわかってくれないの……?なんで自分を犠牲にしようとするの?
「大丈夫、そのうち私の事なんか忘れるよ。」
「忘れるわけない。ずっと莉亜のこと考えるよ。」
莉亜のこと忘れるわけないじゃん。忘れたら、もうそれは僕が廃人になるときだよ。莉亜が居なくなったら僕は生きる意味を見失う。
「優真くん、私ね、ずっと幸せだったよ。優真くんが何度も助けに来てくれて、私の事を好きでいてくれて。昨日なんて私と一緒に暮らそうって言ってくれた。優真くんのおかげで幸せな夢たくさん見れた。もう私には幸せすぎるんだよ。だから、次は優真くんの番だよ。優真くんが幸せにならなきゃいけないの。だから、私のこと殺して正しい道に戻って。」
「僕にとっての正しい道は莉亜と一緒に過ごすことだよ。莉亜を殺すなんて無理だよ。そんなの間違ってる。もうやめてよ、私なんかなんて言うのは。」
「分かった。じゃあそんな事はもう言わないね。だから、優真くんはセレスティアのところに戻って。それだけでいい。そうしてくれたらもう私は何も言わないから。」
「だめだよ、そんなの。莉亜は僕のことが嫌いなの?」
思わず強い声が出て、思ってもいないことを言ってしまった。
「違うよ、優真くんのことが大好きだから――。もうね、優真くんに迷惑かけたくない。」
「迷惑なんて一回も思ってない。かけてるのは僕の方だよ。」
「……。優真くんはどうしてそんなに優しいの?そんなに優しくされたら駄目ってわかってるはずなのに甘えたくなっちゃう。」
「甘えていいんだよ。」
莉亜は自分のせいにしすぎだよ。僕は君と一緒に過ごしたいんだ。君がいない未来なんて生きる意味がわからない。僕はそっと罪悪感が重すぎる彼女を抱きしめた。彼女が心の底から僕に甘えてくれますように。




