表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自殺しようとする同級生を助けたら乙女ゲームの世界の王子になりました  作者: 夜月海歌


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/90

闇のような夜明け

 朝になった。世界が勝手に光り始めただけなのに、胸の内側を殴られたように気持ち悪い。リアナの処刑の日――そんな言葉が頭に浮かぶだけで吐き気がした。


 昨夜から、後悔が頭蓋の中で暴れ続けている。痛くて、うるさくて、どうしようもない。どうしてもっと考えなかったんだろう。僕がもっと計画的にできたら。僕の詰めが甘くなければ。そうしたらこんな日を迎えずに済んだかもしれない。後悔すると、芋づる式に思い出が引きずり出される。全部が自分の愚かさに繋がって、胸の奥を焼いた。


 昨夜、父に見つかった瞬間が何度もよみがえる。別の道を選べば成功したかもしれないパターンが無限に浮かんでくる。その全てが自分への罵倒となって首を絞める。


 そして――最悪の想像に辿りつく。


 リアナが今日、処刑台の上で――。


 そこまで考えた瞬間、胸の中に黒い決意が膨れ上がった。恐怖でも絶望でもない。もっと冷たい、鋭いもの。


 もしリアナが殺されたら。僕はセレスティアを徹底的に潰す。彼女が大切にしている全てを奪う。地位も、名誉も、信頼も、愛も。息をしている価値すら感じなくなるほどに追い詰める。リアナを死なせたら。そんな復讐じゃ足りないよ。何をしてもその絶望を埋めれない。


 そして最後に、自分の存在がどれほど無価値で惨めなのか思い知らせて――絶望の底へ落としてやる。婚約者?そんなのいい。僕は全部捨てるよ。リアナのいない世界なんて生きててもつまらない。セレスティアを道連れにしてやる――。


 そうする未来が、すぐそこまで形になりかけていた。


 だが――ふと気づいた。


 そんな未来は間違っている。それでは、リアナが処刑される現実を前提としているじゃないか。処刑を“起きるもの”として受け入れている。駄目だ。そんな未来は存在してはいけない。リアナが死んだらだめだよ。


 リアナが処刑される未来が間違っている。狂っている。認められるはずがない。セレスティアの思惑通りになるなんておかしい。

 リアナは生きるべきで、救われるべきで、幸せになるべきなのだ。彼女がいない明日なんて、あってはならない。


 だから今日、何があっても彼女を奪う。王家でも国家でも、世界を敵に回しても関係ない。誰が立ちはだかっても壊す。処刑そのものを壊してやるよ。僕はそのために生まれ変わったんだ。


 そして――彼女を傷つけた原因を作ったセレスティアには、相応の未来を与える。死よりも苦しい、しっかりとした絶望を。


 リアナ。昨日は失敗したけど、それでも僕を信じてくれる?今度こそ、絶対に君を救うから。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ