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冷静な怒り

「セレスティア。」


 病室には、顔も声も聞きたくないくらい憎む相手がいた。本当は会いたくないけど……。君を欺くためなら仕方ない。


「レオン様。……来てくださって嬉しいです。」


 君はいつも笑顔だね。毒のせいでいつもより弱々しいけど……。君のせいでリアナが笑顔でいられない。そのことを忘れないでほしいな。できることなら今すぐにでも君の笑顔を壊してやりたいよ――。


「体調は良くなったかい?」

「ええ……。まだ少し頭がぼんやりしますが……。」


 毒には回復魔法は効かない。だから、薬で少しづつ治していくしかないのだ。自分が死ぬ可能性だってあるのに毒を飲んでリアナを陥れる。どうしてそこまでしてリアナを苦しめる?リアナを殺したいなら彼女に毒を飲ませればいい。自分が毒を飲んで彼女に疑いを向けるなんて回りくどいこと……。


「レオン様……。リアナ様はどうなるのですか?」

「リアナのこと……?大丈夫、君は気にしなくていいよ。」

「でも……。私、ずっと不安で……。リアナ様にも事情があったんでしょうけど……。でも、もしリアナ様が居なくなったら、って思いません?」

「思わないよ。セレスティア、憎んでいる人がいたとしても、そんなことを考えちゃだめだ。」

「憎んではいません……。でも、……。」


リアナが居なくなったら、なんて思わないよ。その前に絶対何とかするから。それに、嫌いな人に死んで欲しいなんて思っちゃだめだよ。僕は、君のことも死んで欲しいとは思わないよ。君のこと、死ぬほど憎んでいるけど、それでもやっぱり死んでほしいなんて思えない。人は変われるんだよ。根っからの悪人なんていない。ただ少し選択を間違ってしまっただけで。セレスティアだってそう。昔はこんなことしてなかったじゃないか。リアナに酷いことをされて、心が傷ついてしまっただけ。だから、君もきっとやり直せるよ。リアナを傷つけたことは許さないから、とことん復讐するつもりだけどね。だから、人の変わるチャンスを奪っちゃだめだ。直接その人を殺してなくても、死んでほしいと願ったらそれはもう罪だよ。


「……レオン様?どうされましたか?」

「ん?どうした……?」

「お顔が険しくなっています……。何かありました?」

「ん、ごめん。気づかなかった、大丈夫だよ。」


 何かあっても君に言うつもりはないよ。復讐が終わったらもう何もしない、でも――今はまだだから。君のことは大嫌い。リアナを傷つけた――その罪の重さを実感してもらうまでは僕の敵だよ。愛の力は偉大だから。ちょっとだけ手加減失敗するかもだけど、君なら許してくれるよね?


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