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確信のない証拠


 セレスティアが住んでいるルヴァリエ家のお屋敷。セレスティアが王城で療養している今しかない。セレスティアの侍女のミレイユに聞くために僕はここに来た。セレスティアに口止めされていたとしても、ここで絶対に証拠を見つけるしかない――。


 セレスティアの部屋に入ると、そこでミレイユは掃除をしていた。


「ミレイユ。話がある。」


 彼女は振り向いて僕の顔を見ると、びくっと肩を震わせた。


「レオン殿下っ……!すみません、仕事があってっ……!」


 言い訳をして逃げようとする彼女を、僕はできるだけ優しく引き止めた。


「ミレイユ。聞きたいことは一つだけだ。少しでいいから時間を貰えないかな?」


 思ったより声が低くなってびっくりしたけど、ミレイユはもっとびっくりしていた。ひっ、と声を出して、目が泳いでいた。――彼女は何か知っている。

 僕は部屋のドアの前に立って、逃げれないようにすると彼女に問いかけた。


「――セレスティアが飲んだ毒の出処を知っているか?」

「し、知りませんっ。毒を盛ったのはリアナ様では……?」

「嘘はつかなくていいよ。知っているだろう?」

「わ、私は何もっ……。」

「セレスティアに口止めされているのか?」

「し、知りませんっ……。」

「言いたくなかったら無理に言わなくていい。でも、今この瞬間もリアナは地下牢に一人でいるんだ。寒さと恐怖の中で、ひとりで戦っている。それでも君はセレスティアに従い続けるか?」

「や、やめてください……。」


 ミレイユは頑なに話すことを拒否した。絶対に何か知っているのに――。何も聞くことの出来ない状況がもどかしい。――でも、何を聞いても時間の無駄だ。僕はもう、彼女から聞くのを諦めることにした。


「……わかった、もういい。怖い思いをさせてすまなかった。知ってるのに隠したんなら――許さないからね。」


 彼女は終始怯えていたけど、気にかける余裕はなかった。証拠をつかめなかった――。セレスティアがしたのは間違いないけど、明確な証拠は無い。このままではリアナを助けれない。そんな心の焦りが僕の理性をなくしていった――。


 リアナ。どうしたら君を助けられると思う?君が罪を受け入れても、僕は受け入れられないよ。君は、人を傷1つつけられないほど優しい心の持ち主なのに。もしセレスティアがやったって証拠がなかったら――。もし父を説得させられなかったら。脱獄するしかないかな?――一緒に逃げよう。君のためならなんだって投げ出すよ。二人で暮らせるなら、案外幸せな未来かもね――。

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