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自殺しようとする同級生を助けたら乙女ゲームの世界の王子になりました  作者: 夜月海歌


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卒業の挨拶

卒業式。貴族学園の卒業式は秋に行われる。3年生は半年間と短いのだ。学園を卒業したら、様々な職に就くことになる。騎士、側仕え、文官……。僕は、王族としての公務をすることになる。成人したらセレスティアとの結婚も。セレスティアは聖女として人々の怪我を治していく。エリオットは騎士団の内定が決まったそうだ。5年も経てば騎士団長になると思う。卒業したら、それぞれが別の道を歩んでゆく――。当たり前の話だけど、想像がつかない。僕は、前世が高校生で終わったからそれ以上の経験がない。だから、卒業したらどうなるかなんて分からなかった。


 卒業証書の授与はこの世界でもあるけど、少しだけ違う。魔法を使って、一度に全員に渡すのだ。演台から一斉に証書が飛び出して空中を舞う姿は圧巻だった。卒業式というのは卒業証書を渡すのが長くて苦痛だと思ってたけど、これなら楽しい。魔法のある世界ってやっぱり便利だね。この後は、僕のスピーチがある。噛まないように、早口にならないように。大丈夫、きっと失敗しない――。


「では、卒業生代表のスピーチです。レオン・アーデルハイトさん、お願いします。」

「はい。」


 壇上に上がると、たくさんの顔が見えた。緊張する。注目されるのは、あまり得意ではない。僕の気持ちを伝えるために――。


「本日は、私たちの旅立ちの日を祝うためにお集まり頂き、心より御礼申し上げます。私たちは、3年前、この場で学園に入学しました。暖かな春の陽気のなか、初めての場への不安や、新しい出会いへの期待、入学の喜びなど、様々な思いを胸に抱きながらです。この学園では、勉学だけでなく様々なことを学びました。友達と切磋琢磨したり、たまにはぶつかったり……。今思い返してみると、日常の何気ない会話がとてもかけがえのないもの時間だったなと感じます。私は、この学園で、誰かに支えられ、誰かを支えながら生きていく。そんなことを学びました。私たちは1人では生きていけません。貴族同士ではもちろん、平民にだって、支えられ、支えてゆくのです。そのことを、忘れないで生きていきたいと思います。そして、私はもう1つ忘れたくないことがあります。それは、自分の気持ちに誠実になることです。周りの反応を見て自分の感情を無視したり、押し殺したりしていませんか?私は、そうして大切な人を守れなかったことがあります。私は、二度とそんな過ちを犯したくないと思います。我慢をしなくてはならない場面は、みなさんもこの先あると思います。それでも、せめて自分の気持ちには誠実でいたいと思うのです。この学園で学んだこと、出会った人々、その一つ一つが私に生き方を教えてくれました。みなさんも、新しい発見があったと思います。これから私たちは、それぞれの道を歩んでゆくことになるでしょう。みなさんも、この場所での記憶を胸に、どうか自分の未来を恐れずに歩んでください。人生に正解なんてありません。失敗してもいい。迷ってもいい。それでも、自分には誇れる生き方をしてください。私もまた、みなさんに誇れるように、自分自身に誇れる人間となれるようこれからの道を歩んでゆく所存です。ご卒業おめでとうございます。みなさんのこれからが、より良いものとなりますように。」


 ――言い切った。僕は、アクシデントなく終われたことに対する安堵でいっぱいだった。

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