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笑顔の君  作者: 来未
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想像の上を行く

「いつになったら出てくるのよ。」

出産予定日はとうに過ぎたのに全く出る気配のない王子。腹を蹴る力は我慢出来ないほど強くほとんど寝られない。そんなこんなで予定日より5日すぎる頃、とうとう無理やり王子は出されることになる。

目の前でやっとご対面できた王子は育ちもよく、肩幅もしっかりしている体格は健康優良児。だが想像通りの難産である。看護実習生までついていた私だったが、痛みに耐えられず実習生を気遣う事は全く出来ず。出産後は王子とのご対面に感動した後、実習生にひたすら謝り出産1日目を終える。

出産2日目

「お母さん小児科の先生が呼んでいるので来ていただけますか。」看護師から声がかかる。出産後の小児科医の面談予定日よりかなり早い呼びだし。これは子供になにかある事を意味する。

「何言われても大丈夫。健康優良児で生まれて来てくれたから。」

小児科医には心房中隔欠損症と告げられた。

「わかりました。教えていただいてありがとうございます。」と私が返すと、

「わからない事はないですか?不安な事はないですか?」と小児科医が聞いてきた。

「不安はありますけど、今、健康に生まれてきた子と頑張れる事が1つ増えただけです。思っていた子育てと少し道が変わっていただけです。多分大丈夫です。」と答えていた。


バタバタな入院中はもうひとつの大きな衝撃があった。

病名がついた王子の入院に必要な保険証。記載された名前が、出産前に決めていた名前ではない事件。

「どういう事だろう。」と夫に聞くと

「顔をみたら、こっちの名前の方が合ってる気がした。」

一瞬頭が真っ白になったが、腹を立てても仕方ない。もう王子の名前は保険証に記載されているのだから。

「うん、良い名前。」精一杯の笑顔をみせた。

笑顔の奥に隠されたショックは計り知れず、それ以降入院中の事は記憶にない。


退院後、半年をすぎた頃仕事に戻る事になった。0才で預ける抵抗はあったのだが、2世帯の我が家で毎日義母に小言を言われたり、近所の義母仲間が週に1度小言を言いに来てくれる時間がストレスで苦痛だった。私が限界になる前に少しの犠牲で平和になるのなら、王子に頑張ってもらい、私も外で頑張りたかった。

仕事に戻る為に王子が哺乳瓶を使う練習を初めてからまた新たな問題が起こる。時々噴水状に吐くのである。消化器系は問題ございません。乳ではないけどアレルギーはあった。

問題は大きく2つ。1つ目、アレルギーがあると説明しても、私が世話をすると言い張る義母。2つ目、哺乳瓶を受け入れてくれない王子。

義母は娘が小さい頃、与えたくない食品を口移しで与えたりが度々あった。それがきっかけでアレルギー症状が出たり発熱もあったので、どうしても私が見ていないところでは王子を預ける勇気がわかなかった。義母の要求は王子単体で義母に預けて欲しいとの事。何度説明しても理解してもらえない。そしてその2人のやり取りが全く理解出来ない夫。それに加え近所の義母仲間。私は呼吸困難に陥る手前だった。

まあ、その話はまた次の機会に。


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