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脅威のお料理クエスト

ギルドのクエスト掲示板に、一風変わった依頼が貼り出されていた。


「新メニュー開発……?」


ルーシーが興味津々に指を差す。


「お菓子作りとか楽しそうじゃない?」


「料理?楽勝だろ!」


ユージンが自信満々に腕を組む。


「……本当に大丈夫か?」


アレンはすでに 全員の料理スキルに不安 を感じ始めていた。


「リリアはどう?」


「えっと……私は料理得意じゃないけど……」


リリアは少し戸惑いながらも、みんなの楽しそうな様子を見て、結局参加を決意した。


依頼の内容は 「新しい看板メニューを考案し、店主に試食してもらうこと」



クエストを受注して店を訪れる一同


店主はにこやかに笑って言った。


「君たちのオリジナル料理に期待してるよ!」


こうして、リリアたちは 喫茶店の新メニュー開発クエスト に挑むこととなった。



「よーし! じゃあ早速作ってみよう!」


ルーシーが気合いを入れ、最初にキッチンへと向かった。


「料理っていうのはね、勢いが大事なのよ!」


そう言いながら、ルーシーは ありとあらゆる調味料をぶち込み始めた。

•砂糖→OK

•塩→まぁOK

•醤油→??

•酢→!?

•唐辛子→????

•生クリーム→!?!?!?

•ハチミツ→なぜ入れた?


アレンが眉をひそめる。


「……なあ、それ本当にお菓子になるのか?」


「大丈夫大丈夫! なんでも適当に混ぜれば美味しくなるって!」


ルーシーは無邪気に笑いながら、ぐるぐると勢いよく生地をかき混ぜる。


そして――


ドカァン!!


突如、 ボウルの中で爆発が発生 した。


煙がモクモクと立ち込め、店内の天井がうっすらと黒く焦げる。


「おいおいおい!!!」


ユージンが思わず叫ぶ。


「おいおいおいおい!!!」


店主の悲鳴が重なった。


「え? 違うの? こういう演出じゃないの?」


ルーシーは まったく動じることなく、むしろドヤ顔で胸を張っていた。


アレンは 顔を覆いながらため息をつく。


「……俺、ここに来たこと後悔してるかもしれない……」



「料理?簡単だろ、肉を焼けばうまいんだよ!!」


ユージンが 勢いよく肉をフライパンに放り込む。


「俺に任せろ!豪快に焼けば、だいたいうまくなる!!」

•調味料は一切なし

•焼き加減?知らん。強火で焼けば全部美味い

•ひたすら放置


「……なあ、ユージン。そろそろ裏返さなくていいのか?」


アレンが呆れながら声をかけるが、ユージンは 堂々と腕を組んでいる。


「いや、肉ってのはな、しっかり火を通さなきゃダメなんだよ!」


そして 10分後――


「そろそろいいか……おお、しっかり焼けたぞ!」


ジュッ……ではなく、バキィン!! という音が鳴る。


アレン「……おい、今の音なに?」


ユージン 「……え?」


カチンッ……!!(ナイフが刺さらない)


カンッカンッ!!(床に落としても割れない)


店主「いや、これはもう料理じゃなくて武器だろ……」


ルーシー「むしろ新しい武器の開発だったんじゃない?」


ユージン「……なるほどな。(違う)」



「私も頑張る……!」


リリアは意を決してキッチンに立った。

•卵を割る → 殻ごと投入

•牛乳を入れる → なぜか3倍量投入

•粉を混ぜる → なぜか生地が紫色に変色

•焼く → なぜかウネウネ動き始める


リリア「……あれ? おかしいな……?」


ユージン「おい、動いてねーか?」


ルーシー「新種のスライムかな?」


フィーネ「リリア、料理ってそういうものじゃないからね?」

•そのままじっと見ていると、本当にモンスターに見えてきてしまう。


リリア「も、もう駄目だ! こいつ、倒さなきゃ……!」


ドゴォォォン!!!


リリアが反射的に魔法を放ち、料理(?)は跡形もなく消し飛んだ。


店主「なにやってんだお前ぇぇぇ!!?」


リリア「ご、ごめんなさい……でも怖くて……」



最後にアレンが静かにキッチンに立つ。


「……はぁ。普通に作るか」


淡々と材料を準備し、計量し、適量の砂糖やバターを加える。


生地はしっとりと滑らかで、焼き上がりは 黄金色の美しいスイーツ だった。


結果→めちゃくちゃ美味しいスイーツが完成。


店主「おおおおおっ!! これだよこれ!! 喫茶店のメニューはこういうのでいいんだよ!!」


ルーシー・ユージン・リリア「ズルい!!」


アレンは呆れた感じで呟く

「いや、料理って普通に作れば美味しくなるんだよ……」



店主は アレンの料理を一口食べると、感動したように頷いた。


「……うん、これは美味しい。普通に喫茶店のメニューにできるな!」


そう言いながら、他の料理が跡形もなく消し飛んだ調理台をチラリと見る。


ルーシーは納得がいかない様子

「えっ、私のは!? 創造的な一品だったと思うんだけど!」


ユージンもくらいつく

「俺のも、食べ応え抜群だっただろ!?」


店主は勢いに圧倒されてしまう

「いや、あれは……食べ物じゃなくて凶器だから……」


ルーシー・ユージン

「納得いかねぇ!!」


リリアは1人落ち着いた表情を浮かべる

「むしろ私のは選ばれなくてよかった……」


静寂にフィーネのツッコミが響き渡った

「いや、リリアのは消し飛んだから、そもそも審査対象になってないよね?」

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