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精霊

ギルドの掲示板前で、リリアたちは初めての報酬を手にし、満足感に包まれていた。


「やったな、みんな! これが俺たちの冒険者としての第一歩だ!」


ユージンが拳を握りしめながら笑顔を見せる。


「うん! これからどんどんクエストをこなして、もっと強くなろう!」


ルーシーもやる気満々の様子だ。


アレンも微笑みながら頷く。


「まずはランクを上げるために、Gランクのクエストをどんどんこなしていくのが最優先だな。」


「そうだね……!」


リリアもみんなの勢いに押されながら、徐々に気持ちを高めていく。


「昨日よりも今日、今日よりも明日、確実に前に進んでいけばいいんだ。」


アレンの言葉に全員が大きく頷いた。


「よーし、次のクエストを探すぞ!」


ユージンが掲示板に向かって駆け出す。


「次も楽しいクエストがいいなぁ……荷運びとかじゃなくて!」


ルーシーが期待に胸を膨らませながら、貼り出されている依頼書を見つめる。


「ふむ……お、これなんかどうだ?」


アレンが指差したのは 「迷子の猫探し」 という依頼だった。


「猫探しかぁ……うーん、まぁ戦闘はないし、安全だし、いいんじゃない?」


ユージンが少し悩みつつも、納得した様子で頷く。


「動物好きだし、私もやってみたいな!」


ルーシーは楽しそうに微笑む。


「でも、猫って気まぐれだから、見つけるの大変そうだね……。」


リリアが心配そうに言うと、アレンが通信機を取り出した。


「大丈夫、今回のクエストでは通信機を使って手分けして探すんだ。」


「おおー! なるほど、近代的な技術の力を借りるのか!」


ユージンが感心する。


「この通信機なら一定範囲内なら通話が可能だ。ただし、山の中とかに入ると圏外になる可能性もあるから注意が必要だな。」


アレンが説明する。


「なるほどね……じゃあ、さっそく行ってみよう!」


こうして、リリアたちは意気揚々とクエストへと向かった。


手分けして探し始めて1時間ほど


ルーシーは、草むらの中で丸くなっている白い猫を発見した。


「見つけた! ほら、おいでおいで~!」


彼女が優しく手を差し伸べると、猫は小さく鳴きながら警戒するも、やがてルーシーの手の中に収まった。



「よし、確保! みんなに連絡しよう!」


ルーシーは通信機を取り出し、メンバー全員に呼びかける。


「こちらルーシー! 猫、確保しました! みんな集合して!」


『おー! さすがルーシー!』


『さすが動物好きだな! 今すぐ行く!』


アレンとユージンがすぐに応答した。


あまりにも呆気なく、あっさりと猫を見つける事が出来たルーシーは動物の心を熟知するような特別な才能でもあるのだろうか?


幼なじみの彼らは、ルーシーがすぐに猫を見つける事を確信していた様子だった。


しかし、リリアだけが反応しない。


『……リリア?』


『おい、リリア?』


「……リリアだけ圏外……?」


ルーシーの表情が不安げに曇る。


「さっきアレンが言ってたのに……圏外になる場所には行くなって!」


ユージンが焦ったように通信機を睨む。


「とにかく、リリアを探しに行こう!」


アレンが冷静に指示を出し、3人はすぐに行動を開始した。



リリアは気づけば、フラフラと山の中へと足を踏み入れていた。


(……なんだろう、この感覚……)


どこか遠くから、か細い声が聞こえてくる。


『た……助けて……』


「誰か……いるの?」


リリアは不思議そうに辺りを見回す。


(おかしい……こんなに深い森に入るつもりはなかったのに……)


彼女は無意識のうちにその声の方向へと歩みを進めていた。



突然、周囲が淡い光に包まれた。


「えっ……? ここ……どこ?」


リリアの視界が白く染まり、気づくと、そこにはまるで幻想的な異空間のような場所が広がっていた。


目の前には、小さな光がふわふわと漂っている。


手のひらサイズの、小さく可愛らしい生き物——それが、声の主だった。


「……私はリリア。あなたが、助けを求めていたの?」


リリアがそっと問いかけると、その小さな存在は微かに頷いた。


『……そう、私は……精霊。魔法の源……でも……力が、もう……』


か細い声が、直接リリアの脳内に響く。


「精霊……?」


おとぎ話にしか出てこないようなその存在に、リリアは一瞬警戒するも、直感的にそれが悪意を持った存在ではないことを感じ取る。


「……あなたは、悪い子じゃないよね?」


『……わからない……でも、あなたなら……きっと……』


精霊は弱々しく揺れながら、じっとリリアを見つめていた。


(この子は、ずっと誰かを待っていた……そんな気がする……)


リリアの心に、何かが静かに響いた。



リリアは、光の中で目の前の小さな存在をじっと見つめた。


「あなたは……精霊って言ってたよね?」


小さな生き物は、微かに頷いた。


『……そう。私は精霊。魔法の根源……でも……私の力はもう尽きかけている……』


精霊の声は、どこか寂しげだった。


「どうして? なんで、そんなに弱ってるの?」


リリアが問いかけると、精霊は小さな羽のような体を震わせながら答えた。


『……精霊は、本来……強い魔力を持つ者に仕え、その魔力を糧として生きる……。しかし、私は……主を失った。』


「主?」


リリアが眉をひそめる。


『……私の主は……20年前に姿を消した……それ以来、誰にも仕えず……こうして、一人で……』


「20年も?」


リリアは驚いた。


(……ってことは、私が生まれる前から?)


『精霊は、契約した主から魔力を受け取らなければ、存在を維持できない……。でも、私の主は戻らなかった……だから……もう……』


「……じゃあ、あなたはずっとここで、ただ待っていたの?」


『……うん……。でも……もう、限界……。だから、助けを求めた……』


リリアは胸が締め付けられるような気持ちになった。



『精霊は、一つの世界に複数存在する……私だけじゃない……』


精霊はか細い声で続けた。


『でも……私たちは誰とでも契約できるわけじゃない……。契約には、膨大な魔力が必要……。普通の人間では……とても……』


「膨大な魔力……?」


リリアの胸が小さく高鳴る。


(……私の魔力量なら……?)


『契約のデメリット……それは……主が……継続的に魔力を供給しなければならないこと……』


「継続的に?」


『そう……精霊は、自分の力だけでは生きていけない……だから、主から魔力をもらい続けなければならない……』


リリアは少し考え込んだ。


(……魔力を供給し続ける? でも……私の魔力って、たぶん普通の人とは桁違い……)


『だけど……メリットもある……』


精霊が小さく目を輝かせる。


『精霊は、主に力を貸す……私たちは、魔法の根源……この世界の魔法を司る存在……。私と共にいれば……あなたは様々な困難にも立ち向かえる……』


「……使い魔みたいなもの?」


『……それに近い。でも……精霊はもっと強い……魔力を司る者……』


リリアは、しばらく考えた。


(……確かに、魔力を供給し続けるのは普通の人には負担なのかもしれない……でも、私の場合……)


(むしろ、私の魔力を少しでも吸い出してくれるなら、デメリットどころかメリットになるかもしれない……)


リリアの目が、決意に満ちていった。


「ねぇ……もし、私が契約したら……あなたは生きられるの?」


精霊は、一瞬驚いたように瞬いた。


『……あなたが?』


「うん。私……たぶん、魔力ならたくさんあると思う……」


精霊はじっとリリアを見つめた。


(……この少女が……?)


かすかに疑念を抱きながらも、精霊はリリアの中に秘められた魔力を感じ取った。


『……あなたが、本当に……?』


「試してみればいいじゃない。」


リリアは微笑んだ。


(この子を助けたい……それに、私にもきっと、必要な存在になるはず……)



精霊は、リリアの申し出に対して半信半疑だった。


『……本当に、君にそんな魔力量があるのか……?』


小さな体を揺らしながら、精霊は考え込む。


『試してみないことには、契約するわけにはいかない……。』


「じゃあ、どうすればいい?」


リリアが問いかけると、精霊は小さく羽ばたきながら答えた。


『模擬戦をしよう。この場は現実とは切り離されている。ここなら魔力をどれだけ解放しても問題はない……遠慮せず、全力で戦ってみてほしい。』


「なるほど……それなら、やってみる!」


リリアが頷くと、精霊は小さな手を動かし、光を放った。


『——召喚する。Aランクパーティでも討伐が困難な、強靭な亜種を模倣しよう。』


光の中から、巨大な亜種が姿を現した。


全身を鋼のような鱗に覆われ、赤い目がギラリと光る。

そう、元々凶暴な肉食恐竜の亜種だ。


「……結構強そう……」


リリアは腕輪に手をかけた。


『君は魔力を抑えているのだろう? この空間では問題ない。今こそ、その力を解放してほしい。』


精霊の言葉に促され、リリアは深く息を吸い込みながら、ゆっくりと腕輪を外した。


すると——。


圧倒的な魔力が一気に解放され、辺りの空気が震える。


「……っ!」


それまで威圧感を放っていた亜種の動きが、ピタリと止まった。


『……あれ……?』


精霊が首を傾げる。


「……え?」


リリアも疑問に思いながら亜種を見つめる。


亜種は——。


ガタガタと震え、地面に崩れ落ちた。


『お、おい……?』


精霊が慌てる。


「……え、これって……試練にならないよね?」


リリアが苦笑いしながら言うと、精霊も困ったように羽をバタつかせた。


『……これじゃ、君の実力を試せない。』


精霊は考え込んだ末、小さく呟いた。


『……仕方ない……「バーサク」……。』


精霊が魔法を発動すると、亜種の目が一瞬光り、次の瞬間には狂暴化していた。


「グォォォォ!!」


理性を失い、暴れ狂う亜種がリリアに襲いかかる。


「これなら……試練になるね!」


リリアは微笑み、軽く手をかざした。


『エクスプロード!』


次の瞬間、亜種は爆発し、消滅した。


「…………え?」


精霊は呆然とリリアを見上げた。


「次、もっと強いのちょうだい。」


リリアが無邪気に言う。


『……信じられない……』


精霊は驚きつつも、さらに五体の上位亜種を召喚する。

次も凶暴で有名な、ワイバーンの亜種だった。


『この五体を同時に倒せたら……認めよう。』


「わかった!」


リリアは笑顔で手をかざし、複合魔法を発動した。


『アイスランス+エアスラッシュ——「フローズンカット」!』


次の瞬間、氷の刃が竜巻のように巻き起こり、五体の亜種を一瞬で切り刻んだ。


『…………。』


精霊は言葉を失っていた。


「どう?」


リリアがにっこりと微笑む。


『……君……なんで、そんな高度な魔法を知っているんだい?』


「んー、わかんない。」


リリアは首を傾げる。


「教わったことも、覚えたこともないけど……頭の中に浮かんでくるの。」


精霊は、リリアの瞳を見つめた。


(……普通の人間じゃない……。それどころか、これは……)


精霊の中で、リリアへの興味が大きく膨らんでいった。



リリアの前で、小さな精霊は宙をふわりと漂っていた。


『……キミは、本当にすごいね。こんなに魔力を持っている人間を見たのは初めてだよ。』


精霊は純粋な驚きと感嘆を込めて言った。


『どうして、こんな力を隠して生きているの?』


リリアは、少しだけ寂しげに微笑んだ。


「……いろいろあるんだよ。」


精霊はリリアの表情をじっと見つめたが、空気を察してそれ以上問い詰めることはしなかった。


『……そうか。』


沈黙がしばらく続いた後、精霊は意を決したように小さな体を震わせた。


『もし、キミが良ければ……契約をしてほしいんだけど、どうだろう?』


リリアは驚いた表情を浮かべる。


「……私と?」


『うん。キミほどの魔力量があれば、僕は生き続けることができる。それに……君と一緒なら、僕はもっと多くのことを見てみたい。』


リリアは一瞬考え込んだが、すぐに柔らかく微笑んだ。


「もちろん、いいよ。」


そう答えた瞬間、精霊の身体が淡い光に包まれた。



精霊が手を差し伸べる。


『……それじゃあ、リリア。目を閉じて、僕の意識に触れて。』


リリアは言われるままに目を閉じる。


すると、次の瞬間——。


意識の奥深くに、精霊の存在が流れ込んでくる感覚がした。


光の中で、リリアの過去が次々と浮かび上がる。


——母と過ごした幼い日々。


——人々の期待を避け、力を抑えて生きてきた自分。


——ギルドで仲間たちと出会い、心を許せる場所を見つけたこと。


精霊はそれらを見て、リリアがなぜ魔力を隠しているのかを理解した。


『……そうか。キミは……』


リリアの心に触れた精霊は、静かに頷いた。


『大丈夫、僕はキミの味方だよ。これからもずっと、一緒に。』


『僕は、キミが選ぶ道を支えよう。』


リリアの心に温かなものが広がる。


「……ありがとう。」


二人の意識が重なった瞬間、光が弾ける。


リリアの体を包み込むように、精霊の魔力が流れ込み、契約が結ばれた。



契約が成立した直後、精霊はリリアの膨大な魔力に触れ、驚きに目を見開いた。


『……なんて魔力だ……。』


その力に圧倒されながらも、同時に心地よさに包まれる。


『まるで……前の主のようだ……。』


精霊は静かに呟く。


『こんな人間が……本当に存在するなんて、信じられない。』


『キミは……神にでもなるつもりなのかい?』


精霊はリリアの未来に思いを馳せながら、小さく微笑んだ。


『行く末は、僕がしっかり見守るよ……。』



リリアは深く息を吐き、ゆっくりと腕輪を装着した。


(これで、また元通り……)


一瞬の間に、圧倒的な魔力の奔流が静まり、体の内側がひっそりと落ち着く。


「……よし、戻ろう。」


リリアは通信機を手に取った。


『——ピピッ。リリア、応答して!』


仲間たちの慌てた声が響く。


『リリア!? やっと繋がった! どこにいるの!?』


「えっと……ちょっと迷っちゃって……ごめん。」


『ちょっとどころじゃないよ!! もうとっくに集合してるのに、あんたが応答しないから……!』


『とにかく、今すぐ指定の広場まで来い! 走れ! いや、飛んで来い!!』


「えっ、そんな大げさな……」


『いいから早く!!』


リリアは大慌てで待ち合わせ場所に向かった。




待ち合わせ場所に着くなり——。


「リリアァァァ!!」


「うわぁっ!?」


勢いよくユージンとルーシーが飛びついてきた。


「怪我は!? 無事!? 変な人に絡まれなかった!? ちゃんと食べてた!?」


「泣かなかった!? 寂しくなかった!? お腹すいてない!?」


「服が汚れてないか!? 泥とかついてないか!?」


次々と矢継ぎ早に質問攻めにされるリリア。


「ちょ、ちょっと待って!? 私、迷子になっただけだから!」


「迷子ってレベルじゃないよ! 圏外になって連絡取れなくなったんだから!」


アレンが眉をひそめながら息をついた。


「……まぁ、無事でよかった。」


「本当に……よかったぁぁ……」


ルーシーがホッとした表情で、リリアをぎゅっと抱きしめる。


——が。


その直後、彼女の視線がリリアの後ろに向けられた。


「で……キミの後ろを漂ってる、この愛玩動物はなにかな?」


「えっ?」


リリアが振り返ると、そこにはふわふわと漂う小さな精霊の姿。


(やばっ……精霊のこと、なんて説明すれば……!?)


焦るリリアの脳内に、静かな声が響いた。


『低レベルな念獣が怪我してたから保護して、使い魔にしたってことにしときなよ。』


「えっ……あっ……えっと……」


リリアはそのまま精霊の助言を繰り返すように言った。


「……この子、迷子の念獣で……怪我してたから保護して……それで……使い魔に……。」


『へぇー! 使い魔かぁ! すごいじゃん、リリア!』


ルーシーが感心したように手を叩く。


『使い魔なんて、そう簡単に契約できるものじゃないんだよ! かなりレアな存在なんだから!』


「えっ、そうなの?」


『そうだよ! たまたま使い魔と縁があったなんて、リリア、運がいいね!』


ユージンがニヤリと笑った。


「えへへ……」


リリアが照れくさそうに笑っていると、ルーシーが再び精霊に目を向けた。


『で、この子、名前は?』


「えっ?」


『せっかくだし、名前をつけてあげたら?』


リリアは少し考え込む。


「うーん……それじゃあ……」


彼女は精霊の小さな体を見つめながら、ふと思い浮かんだ名前を口にした。


「……フィーネってどう?」


精霊は少し驚いたように瞬き、やがてふわりと光を放った。


『フィーネ……悪くないね。』


その瞬間、フィーネとリリアの間に、確かな絆が生まれた。


『これからよろしくね、リリア。』


「うん、よろしくね!」


リリアはフィーネを大切そうに抱きしめた。


周囲の仲間たちは、それを微笑ましく見つめながら、いつも通りの和気あいあいとした空気に包まれるのだった。



ギルドの扉をくぐると、ロビーにはいつもの活気が満ちていた。


「よし、俺がクエスト完了の手続きをしてくる。」


アレンはそう言うと、受付へと足早に向かった。


「よろしくねー!」


ユージンとルーシーは軽く手を振り、そのままロビーのソファに腰掛ける。


リリアはその隣で、フィーネと戯れていた。


「フィーネ、ふわふわだね~」


リリアが優しく撫でると、フィーネは嬉しそうにふわりと浮かぶ。


『当然さ。僕は精霊だからね。』


「……使い魔なのに、ずいぶん偉そうだな?」


ユージンが苦笑しながら突っ込むと、フィーネは胸(らしき部分)を張るようにふわふわと漂った。


『僕は特別だからね。』


「特別な使い魔ってことにしときましょー!」


ルーシーが楽しそうに笑う。




しばらくして、アレンが得意げな表情で戻ってきた。


「よし、報酬受け取ってきたぞ!」


彼は報酬袋をポンっとテーブルに置いた。


「で、いくらだった?」


ユージンが興味津々に尋ねる。


「それがな……今回のクエスト、達成度Aランクだってさ。」


「えっ!?」


リリアとルーシーが驚いて顔を上げた。


「依頼主が感動したらしい。猫の救出があまりにも迅速だったってな。」


アレンが誇らしげに胸を張る。


「さすがルーシー、動物好きの本領発揮ってとこだな。」


「いやぁ~、まぁね!」


ルーシーは得意げに頬をかく。




「さらに驚くことが!!」


アレンは報告を続ける。


「なんと、俺たちの冒険者ランクがもうFランクに昇格した!」


「……え?」


ユージンが目を瞬かせた。


「え、そんな早く上がるものなの?」


リリアも驚いて目を丸くする。


「もともと、俺たちがGランクだったのは、リリアの能力値の低さをギルドが懸念してたからだ。でも、普通にクエストをこなせるなら問題ないと判断されたんだろう。」


「……なるほど。」


ユージンが腕を組む。


「しかも、今回のクエストで達成度Aランクを取ったのも好印象だったらしい。」


アレンが続けると、ルーシーが喜んで飛び上がった。


「やったぁー!! これでついに討伐クエストも受けられるってことね!」


「その通り!」


アレンが自信満々に頷く。


こうして、彼らはついに討伐系のクエストに挑戦できるようになったのだった。

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