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守るべき仲間

ギルド本部の広間には、試験を終えた新米冒険者たちが集まっていた。


今日から彼らはギルドの正式な一員となり、クエストの受注が可能になる。


「では、これよりパーティ分けを行う!」


試験官の声が響くと、ざわざわとした空気が静まり返った。


「ギルドのルールでは、身の安全を確保するため 4人1組のパーティ制 を採用している。万が一、パーティメンバーが死亡・脱退した場合、補充メンバーの募集をギルドに出し、4人組になるまでクエストの受注は不可となる。」


「安全第一ってことですね!」


明るく反応したのは ルーシー。金髪ツインテールが揺れる。


「そういうことだ。命を預け合う仲間だからな、慎重に選ぶんだ。」


試験官が話を続ける中、アレン・ユージン・ルーシー の3人は、それぞれリリアの測定結果を思い返していた。


(リリアが……星1つだなんて……)


彼らは幼なじみであり、長年リリアの成長を見守ってきた。


そして何より、リリアの母が 規格外の魔力量 を持っていたことを知っている。


魔力は遺伝の影響を受けやすい。


そんな中、リリアの測定結果が 攻撃1、防御1、回復1 という最低ランクだったのは、どうにも腑に落ちなかった。



「ギルドに掛け合って、もう一度測定してもらおう!」


ユージンが拳を握りしめる。


「そうだな……測定器が壊れたっていうし、データもおかしかった可能性はある。」


アレンも冷静に頷いた。


「いやいや、私たちのリリアが星1なわけないでしょ!? もう一回だよ、もう一回!」


ルーシーは納得できない様子で、リリアの腕を掴む。


「え、ええと……その……」


リリアは 必死に止めたかった。


(だめ! もう一度測られたら……!)


「リリア、気にしなくていいんだよ! 私たちがちゃんと証明するから!」


「ち、ちがうの! そうじゃなくて!」


リリアは慌てて首を振る。


「……でも、リリア、ずっと動きが鈍かったし……」


アレンがふと、学生時代のリリアを思い出した。


「そういえば、リリアって運動苦手だったよな?」


ユージンも考え込みながら言う。


「ほら、昔、かけっこで先生に心配されたことあったし。」


「ああ! 私の後ろで転んでたよね!」


ルーシーが笑いながら思い出す。


「いやいや、まだまだあるぞ!」


ユージンがニヤリと笑い、話を続ける。


「リリアが木に登ろうとして、途中で足を滑らせて……枝に引っかかってしばらくぶら下がってた事件!」


「あったあった! 『助けて〜!』ってめっちゃ叫んでたよね!」


「リリアが運動会で綱引きしてるとき、縄に絡まって転がった事件!」


「えええ!? もうやめて!?」


リリアは顔を真っ赤にして、大袈裟に手を振りながら必死に誤魔化そうとする。


「いや〜、やっぱり星1は妥当だったか!」


ユージンが満足そうに頷いた。



「でも、私、みんなにとっては足手まといになっちゃうかも……。


3人とも優秀だから、もっと強いパーティの方がいいんじゃ……」


リリアは遠慮がちに言う。


アレン:攻撃型・星4


ユージン:防御型・星4


ルーシー:回復型・星4


全員がかなりの実力を持っている。


「そんなの関係ない!!」


ユージンが豪快に叫び、ドンとリリアの肩を叩いた。


「そうそう! こんなときに遠慮するの、リリアらしくないよ!」


ルーシーも満面の笑みを浮かべる。


「リリアが弱くても、私たちが守ればいいじゃん!」


勢いに押され、リリアは呆気に取られたまま、申請書に捺印した。


「……ありがとう、みんな……」


涙が滲むリリア。


こうして、4人のパーティが正式に結成された。

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