ガールズバーのかわった客
大阪は日本橋に、かつてA学園というガールズバーがあった。
そこで聞いた話。
日本橋にはたまに世間一般の常識にとらわれない人が現れる。
その人は、「セーラー服おじさん」と呼ばれる、ごくたまに見かける変人だった。
何せ、還暦はとっくにすぎた外見で、女子高生のようなセーラー服を着ているのだ。
そして、頭のてっぺんは禿げ上がり、両側の髪の毛をツインテールのように結んでいる。
ある時、A学園にその「セーラー服おじさん」が現れた。
特になにかあるというわけではないが、異様である。
そして、誰もその髪型の話題に触れようとしなかった。センシティブな話題に思えたからだ。
しかしついに一人の物怖じしないキャストがその話題に切り込んだ。
「その髪型、何と言うんですか」
するとセーラー服おじさん、にっこり笑って答えた。
「サニー・ツーサイド・アップ」
※サニー・サイド・アップとは目玉焼きのこと。
ツーサイド・アップとは頭頂に近い一部の髪を左右で束ねた髪型のこと。