波乱の幕開け
エルナーダ王国。獣人、エルフなどの亜人種とも共存している魔法国家だ。
そこで今事件が起きようとしていた。
エルナーダ王国の王宮にて二人の人物が向かい合っていた。
「はぁ?第二王子が男爵家の令嬢に惚れた??何言ってるの?」
将来有望な絶世の美少年が怪訝そうな声で部下に問う。
問われた部下は何とも言えない微妙そうな顔をしながらも主人に告げた。
「はい、信じがたいことですがどうやら本当のようで。学園内ではその噂が絶えず、しかも騎士団長の息子や宰相の息子まで惚れてるようで」
「は?」
弟のみならず、騎士団長の息子(脳筋)や宰相の息子(腹黒)まで?
あいつらが好きになるってどんな奴だよマジで。
あいつらの好みを合わせるとなると、天真爛漫、頭脳明晰な女子力()系女子しか思いつかないんだが?
「因みに第三王子は?アイツどうなってんの?」
「いつも通りです」
いつも通りとは兄大好きブラコンである。最早ブラコン通り越しているのではというレベルの第一王子溺愛ぶり。
ここまでの執着ぶりには普段何事も気にしない彼も貞操の危機を感じていた。
「時間の問題ですよ、ルーファス王子」
そんな部下の言葉に少年、第一王子・ルーファスははぁとため息を吐く。まるで疲れた大人のような態度は見た目に不相応で、ひどくアンバランスであった。
少年、ルーファス・フォン・アルベルクは見た目こそ12歳くらいの少年の姿をしているが、実年齢は18歳である。
これには理由があり、七つの大罪の悪魔の一柱、怠惰を司る悪魔・ベルフェゴールと契約したことで年を取らなくなり、幼い肉体から世継ぎを作れないことを理由に王位継承権も放棄した。
しかし、ルーファスは世継ぎを作るのが難しいこと、側妃の子である以外には欠点はないのだ。
寧ろ現王太子であるアレクシスより優れていた。
容姿も、勉学も、運動神経も、戦闘能力も、魔術も、帝王学も劣ることなど決してなかった。
そのため、多少の欠点こそあるものの、ルーファスの方が王に相応しいと騒ぐ連中は少なくないのだ。
例え本人は望んでいなく、面倒くさいと思っていたとしても。
今回のアレクシスの失態で第一王子派は意気揚々と騒ぐだろう、ルーファス様こそが王位に相応しいのだ!と。
再びため息が漏れそうになるのを抑え、疑問に思っていることを部下に訪ねた。
「あの子はどうしている?一応アレクシスとは婚約者だろ」
「どうやら、これ幸いとばかりに応援しているそうです」
「……」
アレクシスは仮にも王太子であるので婚約者がいる。婚約者は公爵家の令嬢、エミリア・カーティス。
実はルーファスの元婚約者なのであるが、ルーファスの王位継承権放棄に伴い、王太子となったアレクシスと婚約した。
そんな彼女は才色兼備で性格も良いのだが…。
「馬鹿なの?未だに俺に執着して、愛してるだなんて。ショタコンなの?」
婚約者候補であった時からルーファスに惚れていて、現在はアレクシスの婚約者であるのに彼女は未だに俺が好きらしい。
謎だ。謎すぎる。一途といえば聞こえはいいものの俺は未だに幼い姿のままなのだ。ショタコンなのかと思うのも仕方ないだろう。
エミリアはアレクシスとお世辞にも仲が良くないらしい。
まあ彼は俺に劣等感と敵対心剥き出しであるから兄の元婚約者など嫌なのだろう。
それに加えてエミリアがアレクシスよりも優秀なせいで疎まれてるようだ。無駄に高いプライドを持つくせに努力を怠っているのはどうかと俺は思うのだが。