人は見た目によらない。
山奥でひっそり暮らす女性
茶道家として生計を立てているが、その正体は、何百年も生きている蛇女。
仕事以外でめったに町に降りてこないが、またにやって来る客にもてなすため買い出しに出る。
「買いたいものは買えましたし、これくらいで良いですかね。」
店を出て、人通りが少ない路地を抜けて戻るのが習慣だが。
「・・・また、面倒な方々が」
出来るだけ目を合わさないように過ぎようとする。
しかし、和服というのはその場では違和感がある。すぐに気がつかれ声をかけられる。
「おいっ!今ぶつかっただろ?」
「ごめんなさい。荷物が多いもので」
面倒にならないように穏便に済ませようとする。
「そんな荷物抱えて狭い路地通るんじゃねえよ!くそっ!」
掴み掛かろうとしたのが、運の尽きだった。
「っ!?体が動かねえ!?」
「次は気を付けますね。あなたも、なりふり構わず文句をつけると痛い目にあいますよ?」
緑子は、微笑みその場を去る。
家に戻り、たまに来る客人にその話をする。
「で、その後大丈夫だったんですか?」
「えぇ、追ってくることもありませんでしたよ」
「いや、緑子さんじゃなくて・・・その因縁つけた方。緑子さん、力使ったんでしょ??」
「大丈夫ですよ、ちょっと脅かしただけですから。」
固まっちゃってまるで、蛇に睨まれた蛙のようでしたよ。
「緑子さんが言うと洒落にならないですから気を付けてくださいね」
「ご心配ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ自分の身は守れますから」
これは、友好的な妖怪との交流の記録。