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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人をミンチにする女殺し屋のいるバー

作者: ヒロモト


マスターは老人だった。


「にーに。に用かな?私は忙しいからこの子に案内してもらってくれ」


「おねーちゃん。こっち来て!にーに?にーにー!?」


「にーに」と小さな女の子に呼ばれた女性は背の高い黒髪の美しい女性だった。

「やまとなでしこ」って感じ。

100キロデブの私には眩しいぐらいの美女。


「俺に依頼かい?」


「……ああ。はい」


見た目と違ってだいぶ口調は荒い。

片目が真っ白。カラコンかな?


「聞かせてみろ」


にーにさんは葉巻を吸いながら大きめのグラスでウイスキーを飲んでいる。

とことん見た目のイメージと言動が合わない人だ。




「ふーん。レイプされたのか。よーし殺す」


にーにさんは「殺す」という単語をよく使った。周りにお客さんも店員さんもいるのに。心臓がキュッとなる。


「誰かに相談しなかったのか?」


「できません!親には勘当されてるし、職場では『横綱』ってあだ名でいじめられるてるんです。レイプされたなんて言ったらまた変なあだ名をつけられるだろうし、上司には「僕にもヤラせろよ」って言われるのが目に見えてます!」


「はぁぁぁん?まーいいや。なぁなぁ。俺の殺し方について聞いてくれよ」


「……嫌です」


「だーめ。これは俺の殺しのルールなんだよ」


だから殺し殺しって言わないでよ。


「俺は生ぬるい殺し方はしない。徹底的にやる。グチャグチャに切り刻んですり潰して血だらけのミンチになった人間を丸めて潰してを繰り返して最後はゴミ袋にポーイだ」


「うっ……え」


何でこんな話を楽しそうに出来るんだろう?私が吐いてもお構いなしだ。


「殺す殺す殺す殺す。身体が熱くなってきた。人を殺せる。ありがとうよ。やっぱ殺し屋は人を殺してなんぼよ」



「……あの。やっぱりう……」


「駄目だよ。もうそいつを殺す。話を聞いたからには殺す。邪魔するならお前も殺す。俺の殺し方はさっき聞いたよな?」


「……ひっ」


「俺が狂ってると思うか?」


「……はい」


「じゃあ世界が狂ってるんだよ」




私は変わった。

もういい子のフリをする必要はない。

権利がない。

私は一生性格悪く生きるんだ。


「横綱〜今日の残業もお願い……」


「てめぇでやれ」


「……えっ?」


「なになにー空気重いじゃーん。柔らかくしよう?君のおっぱいみたいに……いてっ!」


「セクハラで訴えますよ?」


「……誰?」


同僚も上司もウザい。全員殺すぞ。

生きる。こんな奴らに人生狂わされてたまるか。

ポケットにはナイフが入ってる。

次にレイプされそうになったら迷わず刺す。

もう怖いことは無い。あれに比べれば。



『小さすぎる』赤ん坊が生命装置の中にいた。

いつまで見ても飽きない。


「……生きろよ」


あの女から取り出した赤ん坊。まーた家族が増えちまったなぁ。


(殺したのは俺だ。お前じゃない。いいか?殺したのは『俺』なんだ。俺が殺したいから殺した)


と言われても受け入れられないって顔してたな。そりゃそうさ『中絶』ってのは赤ん坊を殺すって事だ。

でも俺が悪役になった分。少しは気持ちが楽だろう。

女には赤ん坊は掻爬そうはしたと伝えた。

掻爬。腹ん中にいる赤ん坊を肉塊にして掻き出す手術。

実際は人工的に陣痛を起こさせ、子宮を緩めさせる薬を使って取り出した赤ん坊はこうして生きてる訳だけどな。

レイプされる様な『弱い女』は強くならなきゃいけない。

私もそうして強くなった。

あークソ。『眼射』されて見えなくなった片目がいてぇ。


「にーに!おじーちゃんが『たぁげっと』の情報分かったってー!これ写真!」


「おう。センキュウ」


やっとか。女をレイプした男。

筋肉質で一重のマッチョ。○大ラグビー部名門だねぇ。


「さぁ。こっからが本当の仕事だ」


今度は殺す。本当に殺す。絶対に殺す。

こいつをミンチにしてやる。


「今夜行くのかい?にーに?」


「もちろん」


俺はバー『22』の裏口から外に出た。


妊娠から22週。これを過ぎると法的に中絶は出来なくなる。


俺はこれからも『にーに』として女を助け男を殺す。









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