7話隣国側
起きると周りに人がたくさん倒れていた、悲しいことにまだ顔と名前は一致していない人が大半だ、だが隣で寝ている子はわかる、紗加ちゃんだ最近仲良くなった女の子、活発で可愛くてそれでいて山田さんの幼馴染で親友で、私にとって貴重な友人の一人だ。
「紗加さん、起きてください」
「うーーーーん、朝ご飯があああ」
一体どんな夢だろう、朝ご飯がどうしたというのだろうか。
そんなことより早く起こさないと...
「紗加さん、紗加さん早く起きてください、どこか知らない場所ですよ」
「うえーーん、BANANAがああ」
わざとやっているわけではないよね?
こうなったら...
「来季さんが倒れてますよ!」
「マジ!?どこ!?救急車は!?」
飛び起きた、ほんとうにこの子は...
「冗談です、そんなことよりここはどこだと思います?」
「ならいいや、なんか良く見る小説の転生場所みたいな神殿してない?」
「小説の、」
「あれ、見たことない感じ?なろう系とか多いんだけど」
「ごめんなさいよく知らないです」
「んーまあ別に謝るとこじゃないと思うけど、まあそういうこと」
いやどういうこと!?
って思うが一旦スルー、そんなこと気にしてもしょうがないよね
「わかりました」
紗加ちゃんがなにか喋ろうとしたとき向こうの方から誰かが歩いてきた。
「皆様方起きられましたか、はじめましてランテ王国国王でございます。」
周りもこの声で起き始めたらしくざわつく、国王ってどこの国が属するんでしたっけ、そんなことを思っていると紗加ちゃんが言ってきた。
「これあれだ、ガチの方の異世界転生ってやつだ」
「異世界転生というのは聞いたことがありますが、実在したのですね...」
「...」
急に黙り込む紗加ちゃん、いくらこの子でもテンパってるのかなとおもい顔を覗き込む。
「大丈夫?」
「...めっっっちゃ興奮する!!!」
「...大丈夫?」
前言撤回も良いところだと思う、テンパっているどころかこの子はテンションを上げているのだ、ちょっと怖い。
そうしているうちに、国王さんが喋り始める、
「皆様方はこの国を救うために召喚された勇者様です!今この国は魔物に襲われ大変な事になっているのです!ぜひとも皆様には勇者としてこの国を救っていただきたく召喚した次第です!」
わかりやすい、まとめられた文章、まあ予定してたんならそんなもんなんでしょうか。
「私あの人きらーい」
「小学生みたいな言い方しないでください」
紗加ちゃんもあんまり好きじゃないらしい。
そんななかよくわからない男子が叫ぶ!
「ふざけんな!俺達を勝手によんどいて国を救え!?勝手にもほどがあんだろ!」
良くいうなあ、勇気ある少年の行動に拍手。
「わお、テンプレート」
横でつぶやいている子はいったん無視しよう。
「それに関しては申し訳ありません、こちらも急なことだったのでそちらに連絡がいかなかった次第、あなた達にも家族や大切な人がいるにも関わらずこちらの都合でよんでしまったことは大変申し訳なく感じますが、こちらにも家族や大切な人がいます、その人達を救うための最終手段なのです、どうか納得していただけますよう、お願い申し上げます。」
とても丁寧で、説得しやすそうな文章。
やっぱりなんか怪しいかも...
「何あの人、文章生成ロボットみたい」
ほんとにこの子の言うことはしばらく全無視で大丈夫そうだね...
しかし、こういう言い方をされると、こちら側も反論しにくいところではあるね
実際勇気ある少年は黙っちゃったし。
「皆様ご理解いただけたのなら、これからの活動について別室でお話をさせていただきます。」
まあ、そうするしかないよね、と思い立ち上がろうとするとさっきからキョロキョロしている隣の珍獣が、立ち上がって叫んだ。
「来季だけいない!」
「「「え...?」」」
「え、ホントじゃん」
「来季は?」
よく見てみればそうだ35人クラスであるわたしたちのうち34人しかいない。
まって、そもそも、わたしたちは体育館で召喚されたはずで、あそこには学年生徒がいたにも関わらず、なぜうちのクラスだけで集まっているの?
「おお!左様ですか!恐らくその御方は隣国に飛ば..召喚されたものと見ます、召喚は色んな国が同時にやってしまったので不具合が生じたのでしょう!」
「まあ、そういうことなら...来季には会えないの?」
「いえ、多分皆様が勇者として活動すれば会えるでしょう、勇者はどこへでも行きますからね、そうと決まればご友人に会うためにもこちらで、適正調査と訓練の説明をしましょう、おい、案内して差し上げろ。」
「承りました、皆様ついてきてください」
...やはり怪しい、おいのところだけやけに殺気が高かったような...
紗加ちゃんはどうするんだろう?
「ついていくしかないね、私は大事な親友に会わないといけない」
「なら私も行きます、来季さんに言いたいこととかありますし」
もちろん学校で冷たくしてしまったことだ、それに私だって来季さんに会いたい、よくわからないけどあのひとの隣の席だとやたらと落ち着くし。
「じゃあ、行こっか」
そう言ってわたしたちはまっさきに従者みたいな人について行った。




