3話隣の席の子
転校生が来て一ヶ月たつ。
五月雨さんは今日も静かだ、そう、一ヶ月間最初に話したとき以来話しかけてもらってないのだ。
業務連絡とかはするのだがそれ以外で一言も喋りかけてもらえない。
「まあそりゃそうか」
つぶやきながら思う、あんなにキラキラして美人なら私なんかよりもっと言ってしまえば学級委員長みたいな人と仲良くしたいだろう。
ずっと物思いにふけっていると紗加がこっちにきた。
「ねえ、来季ー」
「ん、何?」
「今日さあ委員会決めだよね、何に入りたいとかある?」
ああ、そうか今日委員会決めだ
「とくにこれといってはないんだよな」
「そーなんだ、私はね...特に決めてないんだよね」
「紗加もかよ」
私達はこれと言って入りたいものがないからいつも余ったところに入っていた。
「そういえば今年から生徒会に入れるんだっけ?」
「あーそうだったね入る?」
「入らないよ流石にw来季は?」
「私も無理かな、入れる人尊敬するわ」
私が言ったら五月雨さんが少し反応したような気がしたが気の所為だった。
そうして先生が入ってきたので私達は一旦席に戻る。
「はい、では一時間目を始めます」
「起立!礼!お願いします!」
「一時限目はHRだ委員会を決めていく」
うちに学校には美化委員、図書委員、学級委員、生徒会、生活風紀委員、保健委員、新聞委員がある。
私はちょっと生徒会に興味があったが面倒くさそうだし皆の前に立って発表する度胸もない。
そうして学級長の指揮のもと意外とあっさり決まっていった。
「では次、生徒会に入りたい人!」
だいたいこういうのでは皆手を挙げない、大体余ってしまったとか誰々さんが良いと思いますとかそんな感じで決まるものなのだが、結果は私の予想を裏切った。
隣の席の子が手を上げたのだまっすぐピンと伸ばして。
「えーと、では五月雨さんでよろしいでしょうか他に立候補したい人は?」
誰も手を挙げない、そう、立候補したのは五月雨さんだった。
まだ転校してきて一月、すごい度胸だ。
「では、決定ということで五月雨さんは1週間後にある生徒会総選挙で選挙をしていただきます。」
みんなから拍手が起こる。
「ほんとに度胸あるなあ」
おっと声に出ていたようだ。
隣を見るが、表情は殆ど変わっていなかった。




