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ヘルハウンドの襲撃

朝日ヶ丘月州軍基地にて。

セレスは昼食を取っていた。

「今日は妙子が学校に通う最初の日か……妙子はうまくやっているだろうか? 電話でもかけて少し尋ねておくか」

セレスはスマホを出した。

朝日ヶ丘小学校に電話をかける。

「はい、こちら東山ひがしやまです」

「東山先生!?」

セレスは驚愕した。

「あらあら、どちら様かと思えば、元問題児のセレス・ファーゼンハイト君ですね?」

「よく覚えておいでですね」

「ふふふ、あなたほどの問題児はそうそう忘れられるものではありませんよ」

「忘れてください」

セレスは心底そう思った。

「忘れられませんよ。それで、今日はどのような件で?」

東山先生――東山 美代子みよこはセレスのかつての担任だった。

今では朝日ヶ丘小学校の校長をしている。

「妙子のことですよ。今日から小学校に通ているはずですが……近況を知りたいと思いまして」

「あなたが養女にした女の子ですね? 担任は鈴木 ゆかり先生です。鈴木先生の報告ではさっそくお友達ができたそうですよ」

「そうですか。それは良かった」

「うふふふふ。懐かしいですね。セレス君の時とは大違いです」

「その話は……」

「わかっていますよ。人は時に何かに反発するものです。あなたはそれが小学校だったということでしょう? 中学校でも荒れたという話は聞いていませんからね」

「まあ、聖騎士を目指したころから安定しましたよ」

「それで、妙子さんはあなたの友人の子供でしたね?」

「……よくご存じで」

「セレス君、うまくできているときほど注意しなければなりませんよ」

「と、いうと?」

「子供は時に親の期待をかなえてしまう傾向がありますからね。むしろ、何か問題のある子のほうが正常な発達をしますよ」

「俺のように、ですか?」

セレスは皮肉を言った。

「そうとも言えますね。妙子さんのことは私も気にしておきましょう。何かあったら連絡しますよ」

「わかりました。お願いします」


セレスとミリアは基地から帰路についた。

個人用ジープで二人は帰る。

「妙ちゃん、ちゃんと帰っているかしらね?」

助手席に座っていたミリアが口を開いた。

セレスは車を運転しつつ。

「妙子はしっかりしているし、問題はないだろうさ。ただ、あの子はどこかがんばりすぎるところがあるからな。そこが心配だ」

セレスは妙子に家の鍵を渡してある。

一人で帰ってきても問題はないはずだ。

外はしだいに雨が降ってきた。

セレスは突然、車を止めた。

「!? どうしたの、兄さん!?」

「気をつけろ! 何かいる!」

車は住宅地の中で止まっていた。

セレスとミリアは外に出た。

すると、前面の角から、黒い犬たちが出てきた。

その犬たちは全身が黒い毛でおおわれていた。

目は赤く血のようだった。

「こいつらは……ヘルハウンドか!」

「どうやら、私たちが狙いのようね?」

セレスは長剣を召喚した。

ミリアは銀の槍を召喚した。

二人とも武術は心得ている。

いくらヘルハウンドの群れとはいえ、それでは二人を止められないし、止まらない。

ヘルハウンドたちは口を開けて、牙を見せてきた。

一匹のヘルハウンドがセレスに跳びかかった。

そのままかみ殺すつもりだ。

しかし、セレスは目を細めると、長剣でヘルハウンドを一刀のもとに斬り捨てる。

ヘルハウンドは地面に転がり、びくびくとけいれんして動かなくなった。

その後そのヘルハウンドは黒い粒子と化して消滅した。

「フン、たわいもない。次はどいつがやられたい? 誰でもいいからかかってこい!」

セレスはヘルハウンドを挑発した。

四匹のヘルハウンドが二匹ずつに分かれてセレスとミリアを襲う。

セレスは正面から突っ込んできたヘルハウンド一体を斬り捨て、さらに跳びかかってきたヘルハウンドを長剣で頭を叩き割る。

一方、ミリアは一体のヘルハウンドを槍先で斬って捨て、もう一匹を槍で貫いた。

四体のヘルハウンドが撃退された。

残ったヘルハウンドは八体。

ヘルハウンドたちは顔を見合わせた。

どうする? と相談でもしているようだった。

「どうやら雲行きが怪しくなってきたようだな」

「私たちの力を甘く見ていたようね」

残ったヘルハウンドたちは全員で攻撃にかかることで一致したらしい。

いっせいに突撃してくる構えを取る。

「ほう、まだ俺たちを襲うつもりか……だがすでに愚策だ。戦力の逐次投入を招いている」

ヘルハウンドたちは全員で攻撃をしけけてきた。

しかし、もはや勝敗は決していた。

ミリアは光の力を集めた。

槍先がきらめきを放つ。

光波突こうはとつ!」

ミリアからすさまじい光の一撃が繰り出された。

この攻撃はヘルハウンド四体を一気に貫いた。

セレスはヘルハウンドに接近した。

それから光の斬撃を出す。

光明斬こうめいざん!」

セレスは左から右へと強烈な光の斬撃を出した。

残ったヘルハウンド四体が五体を切断されて絶命した。

「フン、たわいもない」

「相手を過小評価していたようね」

セレスとミリアは夕方の6時を過ぎたころ家に帰ってきた。

「おかえりなさい、お父さん、ミリアお姉ちゃん!」

ドアを開けると妙子が出迎えてくれた。

「ああ、ただいま。妙子、学校はどうだった?」

「うん、すごく楽しかった!」

妙子が満面の笑みで答える。

「妙ちゃん、一人で寂しくなかった?」

「うん、さびしくなかったよ。でも、おなかがすいた」

「そうね。それじゃあ、ご飯の支度をしましょうか。妙ちゃんも手伝ってくれる?」

「うん、ミリアお姉ちゃん!」

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